全国共通「夏休み覆面パトカー対策」の基本。私はフェラーリで撃墜されました
当日は交通量が多かったので、しばらく獲物はなかったが、覆面に気付いたクルマが次々と走行車線に入ったことで、追越車線がポッカリ空いてきた。そこを、インプレッサがかなりの速度で、覆面を抜きつつ通過。ソレはすぐさま追尾体制に入り、直後にルーフに赤色灯をせり出させ、ものの1秒後には獲物を仕留めていた。
インプレッサのほうも、追尾直後に気付いて減速したので、「速度を計測できなかったのでは?」と思ったが、濃いフィルムを貼ったリヤガラス越しに、電光掲示で「パトカーに」「続け」と指示。御用となったようでした。
こういった追尾による速度計測は、「赤色灯を点灯させて300m必要」なんて言われているが、都市伝説である。そんなにずっと気付かないクルマなんてまずいないし。まあ1秒で御用と思ってください。
ということで、夏休み、ドライブの機会も増えるでしょうから、今回は覆面パトカー対策の基本を書かせていただきます。
◆覆面パトの全国共通のシンプルな見分け方
第一に、覆面パトカーに捕まる人は、覆面パトカーの何たるかを知らない場合が多い。だから、何の気なしに覆面パトを追い抜いたりして、御用となってしまう。
首都圏の覆面パトのメッカである小田原厚木道路(制限速度時速70km)を走っていると、多いときは片道で3台、覆面に検挙されているクルマを見かけるが、その多くが、いかにも善良そうなコンパクトカー。まったくなんの悪気もなく、フツーに走っていたら捕まってしまいました、という風情がありありだ。
そこでまずは、覆面パトの全国共通のシンプルな見分け方を。
●バックミラーで見る場合
地味なボディカラーのセダンで、座高の高いオヤジのツーショット。これだけでとりあえず警戒すべきだ。オヤジが運転席と助手席に並んで座っているクルマというのは、意外なほど少ないもの。この特徴は、かなり遠くからでも判別できるので、それだけでとりあえず警戒して損はない。覆面パトは1名では取り締まりは行わないので、ツーショットは絶対だ。
近年、小田原厚木道路では、助手席に婦人警官を乗せるという、悪質(?)な例が目撃されているが、レアケースである。
●追い越す場合
地味なボディカラーのセダンを見たら、とりあえず警戒なのだが、覆面パトはリヤガラスに濃いフィルムを貼っているので、オヤジのツーショットかどうか、後方からは判別が難しい。
そこで車種だが、とにかく言えるのは、「クラウンが大部分」ということ。クラウンの他にティアナやマークX、レガシィ等もいるが、ぐっと珍しいので、とりあえず旧型のクラウンを見たら警戒し、速度を落とすくらいの気持ちでいればいい。
そして、ゆっくり追い越しつつ、相手の車内を横目で確認する。ブルーの制服を着て、ヘルメットをかぶったオッサンのツーショットなら、確実に覆面パトカーだ。
覆面パトの取り締まりは、自身はゆっくり流していて、追い越したクルマに飛びつくパターンと、追越車線を猛然と飛ばしつつ、獲物を物色するパターンがある。PAなどに潜んで獲物の通過を待つパターンもあるが、ドライバーとしては、これは後者に属することになる。
つまり、前も後ろも警戒する必要があるのだが、注意力が散漫になっていると、つい後方がおろそかになりがちだ。そんなときに追い上げパターンで狙われると、ベテランでもやられてしまう。
◆私は10代目クラウンの覆面にフェラーリで御用となりました、涙
私も4年前、制限速度70kmの日本海東北道を走行中、正面にキレイな鳥海山が見えていたので、つい見とれているうちに、年代ものの白いクラウンの覆面に、28kmオーバーで捕まってしまいました。飛ばすつもりなんかまったくなかったんですが。田舎の覆面は、とっても古いクルマの場合もあるので注意が必要です。
ちなみに、そのときの車種は、黄色いフェラーリ458イタリアでした。アクセルを1�踏んだだけで、それくらい出てしまうので、鳥海山に見とれたのは命取りでした。そもそも、ものすごく目立つクルマなので、おそらく官憲のみなさまは、はるか後方から狙いを定めていたものと想像します。無念。
そういえば、あのときのおまわりさんたち、クルマについては一言も質問してくれなかったなあ。せめて「すごいクルマですね」くらい言ってほしかった、涙。
取材・文・写真/清水草一
【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com