ちょっとしたキッカケで『鬱』が回復した話

私は10数年間、鬱に苦しんできました。

きっかけは公務員になった18歳の時。
上司からの強烈なパワハラ。

「おまえはダメだ!」と毎日責められ続け・・・

めまい。おう吐。不眠。といった症状に襲われました。

いつだって人の心を苦しめるのは『恥』ですよね。

 

公務員はクビ。恥を食べて鬱はさらに悪化した。

しかし働かなくては食べていけないので・・・

鬱を隠してアルバイトを始めました。

「ちょっと疲れてるだけ、きっと今に治るさ!」と安易な考えだったと思います。
「鬱を認めたくない!」という気持ちがあったのかもしれません。

まぁ・・鬱が無理をしても何も良いことはありません。

 

「コレ運んで!」とバイト先の店長からダンボール箱を渡される。
箱を手に持ち運ぼうとした瞬間・・・

ドンッ!と床に箱を落としてしまった。

店長が(コイツまたか・・・)という顔をする。

こういう意味のわからないミスを繰り返す私に対して、
バイト先の同僚達は呆れるとか、怒るよりも

私を怖がるようになってしまいました。

(こいつは普通じゃない、どこかオカシイぞ)と。

 

つまり・・・・私が必死に隠していた『鬱』
周囲の人にはバレバレだったのです。

 

鬱が生み出す
めまい。吐き気。不眠。

もちろん全て恐ろしいモノでしたが・・・
しかし・・・そんなことよりも何よりも・・

 最も恐ろしいのは・・

フラッシュバック

過去のトラウマ・・恥の記憶がよみがえった瞬間、

パッと意識が飛んでしまう。

そうなると・・・手にしていたものすべてが、

手からスルっと滑り落ちていきました。

これが10数年間続いたのです・・

この間、鬱の状況は良くなったり悪くなったりを繰り返すだけ
むしろ・・・年々悪化していたようにも思います。

人間は生き続けると『恥』が増える一方ですからね、
私の恥を食べながら鬱がブクブクと膨らんでいくように感じておりました。

 

当たり前の話ですが・・社会人生活の中で、
鬱だから誰かが特別に気を使ってくれることはありませんでした。

みんな自分が生きるだけで精いっぱいですからね。

 

不眠に苦しんで会社に行けば「自己管理が出来ていない!」と怒られる。

めまいや吐き気で苦しめば「やる気があるのか!」と怒鳴られる。

 

 

もちろん周りに迷惑をかけているのは私ですから、
何も言い返すことは出来ません。

悪いのは私。

そして・・・いろんな人に騙された。

 

家具屋の店員だと言われて入社したら死体の跡片付けだったし。

「成功できる!」と言われ給与5万ほどで3年ほど働いたこともあった。

もう人生メチャクチャ。

鬱の時って・・・・簡単な甘い言葉で騙さてしまうんですよね。

いやぁ・・・もうウソでも良かったのかもしれない。

ウソでも良いから希望が欲しかったんだと思う。
ウソでも良いから信じられる何かが欲しかったんだと思う。

 

鬱に苦しみながら、どうにもならなくて
生きづらくなってる人ってけっこーいるんじゃないかな?

 

わたしも気付けば鬱の泥沼にハマっていました。

 

そして当たり前のように仕事を無くし、

30手前には立派な『浮浪者』になっていた。

具体的には知人の中東人たちが住むマンションに転がり込んで、
ボーッとしたり街を徘徊するだけの生活をしておりました・・・

 

しかし、この最下層でいろんな出会いがありました。
その一人がボロボロの私に面白がって話かけてくる10代の女の子。

 

ある日「今まで何してたの?」と身の上話を尋ねられたので
すでに張る見栄も無い私は、正直にこれまでのことを話しました。

 

親からの虐待の話。
18歳で警察官をクビになった話。
給与5万程度のマルチまがいの会社に勤めてた話。
「家柄が合わない」と婚約破棄された話。

 

などなど・・・これまで人に言えなかった話を
張る見栄も無くなったので「まぁいいか」って面白おかしく話して見せた。

するとそれを聞いた女の子は・・・・

「かわいそ~ウケる~」と言ってゲラゲラと笑うのです。

もちろんコレは私をバカにして笑っているのですが・・・

 

その笑い声を聞いてハッとした。

(そうか・・私を長年苦しめていたトラウマや劣等感なんて

しょせん他人から見れば笑い話でしかないんだ)ってね。

そう思うと、なんだか気持ちがスーッと楽になった。

それに・・・こんなに楽しんでもらえるんだと思うと、なんだか嬉しかった。

 

キレイごと抜きで話しますが・・・

みんな他人の不幸が大好きなんです。

 

だけど不幸側も自分のツライ話を聞いてもらえたり
誰かに楽しんでもらえるとスッキリする。

 

幸いにも需要と供給がマッチしている。

これはすべて私の経験談ですが・・・

 

自分の不幸や失敗や痛みや辛さを、

他人に『面白おかしく話す』と鬱が劇的に回復していきました。

 

面白おかしくっていうのが非常に大事なポイントです。
ただの自慢話や愚痴になってはいけない。

そういう『正直な自分を出せる環境』はあった方が良い。
職場でもサークルでも良いのですが・・それが難しければネットでも大丈夫。

私は『警察官クビになってからブログ』というブログを書いていますが・・

Youtubeのような動画配信サービスでも。
Podcastのようなラジオメディアでも。
Voicyのようなボイスメディアでも。

現代ではすぐに無料で『自分を発信できるメディア』は沢山ある。

 

沢山の人に聞いてもらう必要はありません!
一人でも二人でも貴方の話を楽しんでくれる人が居れば良い。

あなたの話を聞いてくれる人もきっといる。

 

なにより自分を発信できる場所があると、

何があっても全部ネタだと思える。

 

私もついこの間、知人に50万騙し取られましたが・・・

ネタにしてメディアに寄稿して、お金に変えて速攻で焼肉に行きました。

※ガチです。

どうしたって心の弱っている人間を狙う悪党はいるもんだ。

まぁこうしてネタになったと考えれば、
悪い感情を防いでくれるバリアにもなる。

自分の失敗で誰かが楽しんでくれたのなら・・それで良いじゃないですか?
あなたの不幸や失敗や辛さも、きっとどこかの誰かにとっては学びや教訓にもなる。

きっと無駄じゃない。

私も10数年間、鬱で悩み続けてきましたが・・・
おかげさまで最近はもうだいぶ楽になりました。

 

でも私は特に何も今も昔もなにも変わっていません。
立派になったわけでも、凄い人になったわけでもありません。

「やってみてダメだったらネタにしよう」
そのくらいの軽さで、ありのままで生きる事にしただけです。

君もそのままでいい。

ダメな奴にだって、必ず居場所はある。
誰に笑われても、君が何を笑っても良い。

自分の不幸で誰かを笑顔にして。

そう思って笑って・・笑われていこうじゃないですか。

おしまい