米中間選挙、女性候補が過去最多に

L-R Democrat Sharice Davids, Republican Susan Hutchison and Democrat Rashida Tlaib, who is almost certain to be the first Muslim woman in Congress
Image caption (左から)民主党のシャリス・デイビッズ氏、共和党のすーざん・はちそん氏、民主党のラシダ・トリーブ氏。トリーブ氏は初のムスリム女性議員となる

米国で11月に行われる中間選挙では、史上最多の女性候補が知事職や下院の議席を争うことになりそうだ。

7日にカンザス、ミシガン、ミズーリ、ワシントンの4州で行われた予備選の結果、全体では知事候補に11人、連邦下院議員候補に185人の女性が選ばれ、女性の政界進出の成功例として称賛されている。

また、オハイオ州では連邦下院補選が行われ、ドナルド・トランプ米大統領が与党・共和党の勝利を宣言したが、報道各社は接戦すぎて勝者は確定していないと報じている。

改選対象の議席は1983年以来共和党が保持しているものだが、今回の結果が中間選挙を占うものになり得ると注目されている。中間選挙では、野党・民主党が下院で過半数を奪還できるが焦点のひとつ。

女性が大躍進

7日に4州で投票が締め切られた後、知事選と下院選に進出する女性候補が過去最多になることが確実となった。

民主党の知事候補選が行われたミシガン州ではグレッチェン・ウィトマー氏が、カンザス州ではローラ・ケリー氏がそれぞれ勝利し、知事選には11人の女性が出馬することになった。これは1994年の記録を上回っている。

米国女性と政治センター(CAWP)はツイッターに「公式発表。カンザスとミズーリ、ミシガンでの投票が終わり、米下院選挙の女性候補者が過去最多となった。前回は167人だった。今回、5人の女性が対立候補のいないまま勝利し、1カ所では候補者全員が女性だったので、今晩中にも女性候補が168人になる。さらに増える可能性もある」と投稿した。

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少なくとも182人の女性候補が下院選に出馬することになり、2016年の167人を超えた。このほか3人の女性が、接戦の予備選で優勢となっている。

CAWPのデビー・ウォルシュ局長は「今年の選挙では女性候補が様々な記録を更新してきた。この物語は今夜も続く」と話した。

ミシガン州の民主党知事候補選では、4人の候補全員が女性だった。

同性愛者で元格闘技選手のシャリス・デイビッズ氏(38)が、カンザス州の予備選に勝利した。先住民女性として初の連邦下院議員になる可能性がある。

デイビッズ氏は米先住民ホ=チャンク・ネーションの出身で、米軍訓練官だったシングル・マザーの母親に育てられた。選挙キャンペーンの宣伝で、デイビッズ氏はサンドバッグを殴っている。

デイビッズ氏はキャンペーン中、インスタグラムに「シャリスのようになりたい? 今すぐ『シャリスを下院へ』Tシャツを買ってください。※力こぶは付きません」と投稿している。

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6月にはニューメキシコ州でも、先住民のデブ・ハーランド氏が民主党候補に選ばれた。

ミシガン州ではすでに、初のムスリム(イスラム教徒)女性下院議員の誕生が、ほぼ確実となっている。民主党候補となったラシダ・タリーブ氏は、11月の中間選挙で共和党の対立候補がいないまま不戦勝で当選する見通し。タリーブ候補はパレスチナ系米国人としても初の女性議員となる見込みだ。

ワシントン州では11月、女性同士の選挙戦が2件、行われる。

民主党のリサ・ブラウン候補は共和党のキャシー・マクモリス・ロジャース候補と下院の議席を争う。上院選では、共和党のスーザン・ハチソン候補が現職のマリア・キャントウェル議員に挑む。

最近の調査によると、11月の中間選挙後、民主党では女性議員の数が白人の男性議員を上回る可能性も出ている。

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Image caption 予備選における女性候補者の数。青色が民主党、赤色が共和党。2018年は8月3日時点の人数

オハイオ州はどうなった

オハイオ州第12選挙区で行われた下院補選では、共和党のトロイ・ボルダーソン候補と民主党のダニー・オコナー候補が争った。同州は中間選挙を占う鍵となる州のひとつとされる。

トランプ大統領はツイッターに「トロイ・ボルダーソンのオハイオでの勝利を祝福する。とても特別で重要な選挙だった!」と投稿した。

しかし、米メディアはまだ当選確実とは報じていない。ニューヨーク・タイムズによると、開票率100%でボルダーソン氏は得票率50.2%で、オコナー氏との票差は1754票。ただし、数千の不在者投票分や暫定票が未開票のため、オコナー氏が再集計を要求する可能性もある。オコナー氏は「もう立ち止まらない」と話している。

米国では、投票者が有権者かどうか疑問がある場合に暫定票として計算される。

Troy Balderson and Donald Trump Image copyright AFP
Image caption トランプ大統領(右)はボルダーソン候補の応援演説に駆けつけた

民主党のベン・レイ・ルーハン下院議員は、オハイオ州の議席は共和党が「スラムダンク」で圧勝するはずだったが、これほどの接戦になったと指摘。共和党にとって、11月の中間選挙の「不吉な前兆」になったと話した。

トランプ大統領は2016年、同選挙区で11ポイント差を付けて勝利している。

ボルダーソン氏とオコナー氏は、11月にも再び議席を争うことになる。

11月の中間選挙で争われるのは?

11月の選挙では、下院の全435議席と上院100議席のうち35議席、そして36州の知事職が争われる。

民主党が下院で過半数を得るには、23議席を新たに獲得する必要がある。

多くの共和党議員が今年で政界を引退するため、民主党が下院を奪還する可能性もある。

一方の上院では、民主党は2議席を奪えば過半数になる。しかし、共和党が過半数を維持する、ないしは差を広げる可能性が強いと言われていりう。

3日の世論調査では、民主党に投票するつもりと答えた人が共和党を6.1ポイント上回った。

(英語記事 Women break records in US election

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