“コミケ雲”は発生する? 気象予報士・依田司が語る猛暑対策「コミケ雨が降る可能性も…」
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■“コミケ雲”発生は初日10日が濃厚? 前触れは「メガネが曇る」こと
夏のコミケで、ある種の伝説として語られる“コミケ雲”。屋内会場で来場者が発した水分・水蒸気が、空調により天井付近で冷却され、白い霧のようなものが発生する…という現象だ。気象のプロである依田は、これをどう見るのだろうか?
「“コミケ雲”は、“環八雲”(都内の環状八号線上空に沿うようにできる雲で、大気汚染を象徴するもの)と同様。来場者の熱気と大量の汗が空気中に水蒸気として溶け込み、エアコンの冷風に冷やされてできたものですから、“会場内の大気汚染でできた雲”と言ってよさそうです」
「ちなみに、気象学的に見ると、雲と霧(靄)の違いは地面に接しているかどうか。会場内の天井付近に漂っているということなら、“雲”で間違いありません。発生する過程も、自然界にできる雲と同じ理由です。また、発達すると『室内に(コミケ)入道雲ができる』、『コミケ雲から雨が降ってくる』という伝説があるようですが、実際にはあり得ません。雨を降らせるには、雲の厚さが数千メートルなければならないからです。ただし! 天井部にある格子状のパイプに水滴がつき、それがぽたぽた落ちてくれば、“コミケ雨”と認定してもいいかもしれませんね。来場者皆さんの汗の結晶の雨ですから、私は絶対に濡れたくありませんが(笑)」
「前回“コミケ雲”が確認されたのが、『コミックマーケット84』が開催された2013年8月11日。この日の東京の最高気温は、8月としては歴代4位となる38.3度と記録的酷暑でした。今年は、初日の10日が最も気温が上がり、35度前後の予想。台風一過で湿度も高く、身に危険が及ぶような蒸し暑さになります。とはいえ、前回に比べると3度ほど気温が低いので、“コミケ雲”発生の確率は高くはありません。しかし、通勤ラッシュのような混雑が数時間続き、参加する皆さんがお宝探しに熱くなると、ゲリラ的に“コミケ雲”が発生するかもしれません。前触れは、メガネが曇ること。そんな時は天井を見上げてみてください」
■朝8時ごろには30度超え、台風一過後のぶり返し猛暑に注意
もちろん、真夏の3日間で心配されるのは“コミケ雲”や“コミケ雨”だけではない。台風一過、その後のコミケの気象状況とは?
「台風13号の影響で酷暑は落ち着きますが、通過後は盛夏が戻り猛暑がぶり返す見込み。コミケが行われる週末からお盆休みにかけて、三度目の暑さのピークを迎えそうです。予想では、朝8時ごろにはすでに30度超え。この時、直射日光にさらされている後頭部は50度にも達するほど炎天下は危険です。日差しを遮る帽子や日傘をお勧めします」
■熱中症予防の三種の神器とは? 利尿作用ある水やお茶よりスポーツドリンクを
猛暑がぶり返すとなると、心配なのは熱中症だ。日光をさえぎるもののない待機列、熱気のこもった屋内など、厳しい状況が予想されるコミケにおいて、備えるべき物事とは?
「会場で飲料水がすぐに購入できないことも考えて、必ず持参してください。お勧めはスポーツドリンクです。即効性があり保水性も高いため、トイレに行く回数が減ります。一方、水やお茶は利尿作用が高いため、根本的な熱中症の解決にはつながりません。水やお茶派の方は、同時に熱中症用のタブレットや塩キャンディーも忘れずに摂取してください。会場に着いたら一口水分補給。その後は20分に一度など、時間を決めて水分補給することが肝心です」
「三種の神器として、上述のスポーツドリンクのほか、うちわ(扇子、ハンディ扇風機)、タオル(冷涼・涼感タオルと併用)は必須。また、緊急用に瞬間冷却材もお勧め。めまいや頭痛、吐き気、足がつるなどは熱中症の症状です。そんな時は、涼しい場所に移動して水分補給と同時に、瞬間冷却材で首元やわきの下を冷やして様子を見てください。症状が改善されなければ、速やかに救護室に向かってください」
■コスプレ熱中症に注意! 我慢も無理もせずに楽しむこと
屋外で活動する場合は、暑さはもちろん強い日差しにも気をつけたい。さらに、コスプレを行う場合には特に注意が必要だ。
「日焼け止めクリームは汗で流れてしまいますので、こまめに塗り直す必要があります。女性は軽量な日傘や、冷感アームカバーもお勧め。また、コスプレをする場合、衣服のデザインや生地によっては、熱中症のリスクが格段に高くなりそうです。人前に出る時間は短く、休憩は長くとり、自身の体調に細心の注意を払って絶対に無理をしないでください。写真撮影を受けるときは、必ず日陰を選びましょう。周りの人たちで声を掛け合って、未然に事故を防ぎましょう」
会場に到着した後や活動中だけではなく、前日は十分な睡眠を取り、当日は朝食をしっかり採ってくることも重要。さらに、「もし体調がすぐれなければ、無理をせず参加を見送る英断も必要です」と依田。開催直前で盛り上がる来場者に警鐘を鳴らすとともに、メッセージを送った。
「近年、国内では年間500人~1000人の方が熱中症で死亡しています。これだけの人数が命を落とす気象現象は、他にはありません。楽しいはずのコミケが悲劇になりえるのです。無理することが死に至る恐れがあると、肝に銘じてください。異常気象時代の昨今、自分だけは大丈夫という意識が命取りになります。くれぐれも我慢も無理もせず、帰りの電車で『楽しかったね』と言えるよう、ゆとりのある気持ちで楽しんできてください」
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