「しょぼい起業」におすすめの「ディスプレイ広告」の意外な効果

 いつもありがとうございます。林です。

0. 「しょぼい起業」における広告出稿の是非

近年、「しょぼい起業」という言葉が一部で頻繁に聞かれるようになっています。これは、家賃・人件費・原価などを極力抑えることで、就職とは違うまた別の生き方をしようという考え方です。

私の周りでも、「しょぼい起業」をしている起業家が数人いるのですが、一部の店を除いては、あまり売上が上がっていません。その原因は、マーケティングをSNSのみに頼り切っているため、安定した集客が出来ず、売上にばらつきがあるためではないかと考えています。

私自身は、起業して、SNSマーケティングで3ヶ月ほどでタネ金を作り、その後は広告を打って集客する形に切り替えて、安定的に売上を上げてきました。その経験から言えることとしては、SNSに頼ったマーケティングは水物で、広告を出稿して集客できるようにしたほうが経営は安定するということです。

広告費をかけずにジリ貧になるよりも、打てる余裕があるときに広告を打ち、また広告を打っても成り立つようなビジネスモデルを模索しながら事業を行ったほうが、将来的な売上拡大や売上の安定も楽にできると私は考えています。これはリアル店舗でも同じです。今日は私が繁盛しているリアル店舗のオーナーや上場企業の経営者(みなさん「しょぼい起業」から起業家人生をスタートされた方です)から聞いたリアル店舗・ネットビジネス双方の「しょぼい起業」での広告の使い方、特にディスプレイ広告の使い方についてお話します。

1. リマーケティング広告・リマケ広告(リターゲティング広告・リタゲ広告)は価値がないという仮説の真偽

今日は、ディスプレイ広告についてお話したいと思います。ディスプレイ広告というのは、かつてはバナー広告と言われていましたが、ようはネット上で画像などであちこちに表示される広告のことです。この広告については、その効果を疑問視する向きもあり、どのように扱えばいいか分からないユーザーさんも多くいらっしゃいます。今回はそうした方のために、ディスプレイ広告との付き合い方についてまとめてみたいと思います。

 まず、広告運用をされている方から多く伺うのは、代表的なディスプレイ広告である、リマーケティング広告・リマケ広告(リターゲティング広告・リタゲ広告)は効果がないのではないかという懸念です。リマーケティング広告というのは、一度サイトをご訪問いただいた方に向けて配信する広告ですが、こうした広告については、サイトを頻繁に訪問しているユーザーに対して集中的に配信されることから、そうしたユーザーがもう既にサービスを使ったり商品を購入していることもあり、効果が薄いことが多いため、リマーケティング広告の効果を疑う声が根強くあるのです。

2. リマーケティング広告・リマケ広告(リターゲティング広告・リタゲ広告)が効果があるマーケット・効果がないマーケット

 実際、私の周囲の上場企業経営者も含めた数人に聞いてみたところ、リマーケティング広告の効果は業種によってかなり分かれることが分かりました。一つの目安としてですが、少額の寄付を募るサイトの経営者や、雑誌の定期購読サイトの経営者、サーバーレンタル会社の経営者など、少額の月額課金を売り込むサイトの経営者についてはリマーケティング広告はかなり効果があるようです。これは、購買行動としては「ついで買い」「なんとなく買い」が比較的発生しやすいからではないかと考えられます。

 一方で、私が運営するネット家庭教師のような単価が高い事業では、その効果はわりと限定的でした。そうしたサービスをもうすでに契約しようと思っているユーザーは、初めて広告を見た段階で多くの場合お問い合わせなどをしているからです。一方、お問い合わせがあったユーザーに毎日リマインダを送ること自体にはついてはこうしたセグメントでも大きな効果が期待できます。

3. リマーケティング広告・リマケ広告(リターゲティング広告・リタゲ広告)にふさわしい単価設定とは?

 これらの状況を踏まえると、リマーケティング広告の単価設定は、50円~70円程度に抑え、通常200円前後で推移するリスティング広告のだいたい1/3程度の単価で運用をしてみて様子を見るべきでしょう。リマーケティング広告の単価設定で200円代を出すと、たいてい必要のないターゲットの必要のない画面にまで広告が配信されますし、これでは真の広告効果はわかりません。サイトに頻繁に通っていただいている方が、しばしば目にする程度の露出に留めるべきです。

4. ディスプレイ広告は効果があるのか?

 では、今日の本題ですが、ディスプレイ広告についてはどうでしょう。ディスプレイ広告というのは、地域・性別・年代などでユーザーを限定した上で、その地域のその性別のその年代のユーザーに集中的に広告を配信する手法です。こうした広告については、とかくターゲットに届くかどうか分からないため、これまでは否定的に扱ってきました。

 しかし、先日、先輩が経営するバーで飲んでいたときに、脱毛サロンの経営者からディスプレイ広告の有効な使い方についてお話を伺い、なるほどこういう使い方であれば、効果は大きいよなと得心した使い方がございましたので、みなさんだけにお伝えできればと思い、この記事を書くことにしました。

 (ここまでの話しで、私は何人もの経営者と飲み歩いていますが、マーケティングの勉強をするにはまさにうまくいっている経営者と飲み歩くのが一番で、それ以外に実際に走っているノウハウを手に入れられる方法はほとんどないと言っても過言ではありません。みなさんにもうまくいっている経営者と飲み歩くことはぜひおすすめします。)

5. 日本では「有名であること」にはそれだけで価値がある

 ここで聞いた話しというのは、鉄道沿線地域などを狙って、かなり広い地域に対して、性別・年代を絞って広告配信をする場合には、商材にもよりますが(商材そのものの特性としてターゲットの性別・年代を限定できる必要がある)かなりディスプレイ広告はマーケティングとして有効に作用するとのことでした。また、その時のコツとしては、単価をとにかく安く設定するとのことでした。たしかに単価5円設定であれば、1記事5000円でライターに原稿を頼んでも1000pv行くかどうかわからず、また行くにしてもLPほどのコンバージョンは望むべくもないことを考えれば、ターゲットに刺さるディスプレイ広告であればそれで出稿するというのは一つの解決策ではあります。

 また、もう一つの考え方として抑えておきたいのは、そもそも日本人にとっては「有名であること」そのものが価値であるということです。私がリマーケティング広告を出していたときに、お客様に「この塾はあちこちに広告が出ているから有名なのだとおもった」と言われて契約が取れたことがあります。実際には、一度ご訪問いただいたユーザーにかなり繰り返し広告を配信しただけだったのですが、このように捉えていただいたことについては、非常にありがたいことだなあと思いながらご契約をいただきました。

 その逆もあり、有名だというだけで、私達よりも明らかに品質が劣るサービスを利用されるお客様もいままで数多く見てきました。あなたにもきっとそうした経験があるのではないかと思います。そういうふうに考えると、この日本社会において「有名であること」そのものがまず価値があることであるというのは疑うことの出来ない事実です。

6. 局所的に「有名であること」を作り出すランチェスター戦略に基づく出稿

 しかし、一方で「有名である」という状況を作り出すためには、多額のコストがかかることも事実です。全国展開している大手チェーン店などが、かなりの広告投資をすることからも、そのことは伺えます。ただ、あなたにでもできる「有名である」という状況を作り出すための戦略があります。それは、一部の地域に限定して、いわば局所的に「有名であること」を作り出すことです。

 一つの目安としていうと、10万人規模、30万人規模の地域で「有名である」という状況を作るためには、極論いえば店舗は1つ~3つあれば足ります。100万人規模の地域でも10店舗あれば、その分野においては十分に「有名である」といえるでしょう。このように最初は小さな地域を狙って認知度を高めていき、次いで次の地域に進出していくやり方で成功した企業は数知れません。

7. リアル店舗への集客もチラシよりもディスプレイ広告が効果的に

 たとえば、学習塾であれば、多くの学習塾がいまだに全年代、全性別の人々を対象に広告を配信しています。しかし、本来であれば、地域を限定した上で、小学生・中学生向けの塾であれば30代~40代の女性、高校生向けの塾であれば30代~50代の女性と15歳~18歳の男女に向けて広告を打てばそれで良いのです。こうした広告はチラシよりも効果的で資源の無駄が少なく、かつお問い合わせ1件あたりの単価も極めて安くかなり可能性のあるマーケティング手段であるといえます。

 今後は、スーパーのチラシなども含めてディスプレイ広告がチラシから置き換わっていくはずですが、リスティング広告と比較するとディスプレイ広告についてはまだ黎明期・転換期でかなり割安になっているので、リスティング広告に限界をお感じのユーザーさんはぜひ試してみる価値のある広告媒体ではないかと思います。

8. いわゆる高単価リスティングのコンプレックス商材でもクリック単価5円で出稿可能

 また、ディスプレイ広告の良い点は、塾や脱毛サロン・エステのようなコンプレックス商材でも、結局業種を選ばない枠取り合戦なので、コンプレックス商材としては極めて低い単価での出稿が可能になるということです。これはリスティングで低い単価を謳歌してきた業種の経営者にとっては厳しい流れである一方、リスティングで高い単価に苦しめられてきた業種の経営者にとってはまさに福音というべきものでしょう。

 また、こうしたディスプレイ広告の潮流は、実は不動産ビジネスから見た店舗業のあり方も大きく変えていっています。

9. 全国・全世界を相手にするネットビジネスよりもO2O(Online to Offline)が時代の潮流

 従来、店舗の立地というと、駅前すぐ近くであることが理想で、それこそ顧客導線などから「10mは10km」と言われるほど、人の流れが激しく、滞留が予想されるスポットの店舗家賃が高く付く傾向にありました。しかし、この傾向が、最近では個人経営の喫茶店・バー・居酒屋など顧客の滞在時間が長く単価が比較的高い飲食店を中心に変わりつつあります。

 こうした変化を作り出したのが、まさにこうしたネットマーケティングです。空中5階以上・ターミナル駅一駅ずらし徒歩10分でも満席を可能にするO2O戦略があれば、わざわざ賃料の高い「駅前徒歩30秒」の立地を確保せずとも、連日満員になるだけの顧客を確保できるようになりました。こうしたマーケティングの変化が、街の姿をも大きく変貌させようとしているのです。

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