激戦地ニューヨークを制したベンジャミン ステーキハウスとは?その人気の秘密に迫る!
日本では飲食や衣料などさまざまな業界で、「ニューヨーク発」という言葉をよく聞く機会があります。
東京・六本木に2017年6月にオープンしたステーキハウス、ベンジャミン ステーキハウスも、ニューヨーク発のブランドです。
ニューヨーク発と聞くとそれだけで安心してしまいがちですがよく考えてみると実際ニューヨークでどれほど人気なのか分かりづらい部分がきっとあるはず。
ベンジャミン ステーキハウスもニューヨークにある本店はどんな雰囲気なのでしょうか? 現地ではどれくらい人気なの? ニューヨークの人々は、どのくらいステーキを食べているの? 競合はどのくらい?
同店の創業者&オーナーであるベンジャミンさんとベンさんに話を聞いてきました。
左:ベンジャミン・プレブカイさん 右:ベンジャミン・シナナージさん
ベンジャミンステーキハウスのニューヨーク本店が店を構えるのは、マンハッタンのミッドタウン41丁目。
近隣はオフィス街で、ビジネスピープルや観光客で多く賑わうエリアです。そんなニューヨークの一等地で11年間にわたり、最高級の熟成ステーキを提供しているのが、創業者のベンジャミン・プレブカイさんと、義理の兄であるベンジャミン・シナナージ(通称ベン)さんです。
2人はブルックリンの老舗ステーキハウス、ピータールーガーで10年働いて経験を積み、同じくそこでシェフとして25年間腕をふるったアーテュロ・マクレッドさんと共に、このベンジャミンステーキハウスを2006年にオープンしました。
創業時は20人のスタッフでスタートしたそうですが、11年経った今では、系列店も含めニューヨークエリアに全4店を擁し、朝食、昼食、夕食メニュー担当すべて含めて総従業員は300人と、大成長を遂げています。
ニューヨークエリアには、名の知れたクラシックタイプのステーキハウスが約15軒前後(新しいタイプのステーキ店を含めばそれ以上)存在するそうですが、その中でもベンジャミンはステーキやホスピタリティーの質が高く評価され、レストランの格付けガイドブック『ザガット・ニューヨークシティ・レストランズ』のステーキハウス部門で、2015年以来3年連続でベスト3にランクイン。
マンハッタンの店としては3年連続1位に選ばれるなど、不動の人気を誇ります。
2人はどのように人気店としてブランドを築き上げたのか、まずは創業時のことから振り返ってもらいました。
人気の理由その1: 家庭的な温かさ
ベンジャミン:義理の兄ベンと共に、ピータールーガーで一生懸命に働いてきました。
10年ほど経った頃に、そろそろ自分たちの店を持ってもいんじゃない?という気持ちになってきて、今の場所が見つかり、2006年にこのベンジャミン ステーキハウスをオープンしました。
新しい事業を起こし、軌道に乗せ、人気店にし、ブランドを維持するには、相当な努力が必要でしょう。
これまでの努力や苦労は計り知れません。どのように今日(こんにち)の成功へと導いてきたのでしょうか。
ベンジャミン:ニューヨークという街はレストランの数も競合の数も多いので、非常に厳しい世界であること、そしてそこで新しいお店を開くことはチャレンジングなことだというのはあらかじめ予想していました。
ですから、私たちはとにかく、最高品質のステーキを最高のサービスで提供し、全精力をかけて店を育て上げようと誓いました。
近年、ザガットに認められるようになったのは、これまで年月をかけて少しずつ努力してきたものが積み重なった結果だと思っています。
ベン:私たちのレストランに関わるすべての人々を「ファミリー」だと思って接しています。
スタッフも家族の一員ですし、お食事をされるゲストもすべて、家族の一員だと思っており、家庭的な温かさでお迎えすることを心がけています。
ベンジャミン ステーキハウスの人気の一つは、創業者の熱い思いと家庭的な温かさにあるようです。
人気の理由その2: 最上級のビーフを提供
お店で提供しているステーキも、相当のこだわりがあるようです。そもそもアメリカで流通しているUSDA(米国農務省)が認定した牛肉のグレードは、「プライム」「セレクト」「チョイス」に分かれており、プライムは全体のたった約2%しかない最上級の品質。
もちろん、ここベンジャミン ステーキハウスで提供しているのはすべて、USDA認定のプライムビーフです。
数が限られている最上級のプライムビーフを仕入れられるのは、選ばれたお店だけが成せる技です。
ベン:私たちが店で提供しているすべての肉は、牛の飼育に最適な気候の土地、カンザス州とネブラスカ州の契約農家で飼育されたものです。
国内のプライムビーフの流通の10%のシェアを持っているニュージャージーのプロバイダー(卸売業者)、パット・ラ・フレイダ(Pat La Freida)を介して仕入れ、専用熟成庫で最低28日間エージング(熟成)させたものをお客様に提供しています。
ベンジャミンと私は毎週木曜日に欠かさず、パット・ラ・フレイダに足を運んで自分たちで実際に質を確認し、買い付けしています。
ベンジャミン:パット・ラ・フレイダとの取り引きも長年のものとなり、彼らが調達した貴重なUSDA認定プライムビーフの10%を取り引きさせてもらっています。
決して多く流通できない貴重なプライムビーフをわれわれが確保し、お店で提供できているのは、そのような理由からです。
ちなみに、東京店で提供しているメニューの質も2人で徹底管理しているため、牛肉は日本で調達せず、パット・ラ・フレイダから空輸しているそうです。
ベンジャミン:輸送費はかかりますが、品質管理を私たちでするためにはこれは譲れません。東京にも専用熟成庫があり、そこでエージングさせてお客様に提供しています。
ベンジャミン:ポーターハウス・ステーキは、1500度から1600度のブロイラーで一気に焼きます。好みの焼き加減にもよりますが、定番のミディアムレアだと3〜5分で焼き上がります。
同店のステーキが、肉のうまみが凝縮され、噛むほどに肉本来のうまみを味わえるのは、そのような調理方法にも理由があったのですね。
ちなみに、ベンジャミン ステーキハウスのマンハッタン店とウェストチェスター店では、年間40万5,000ポンド(約1万8,3705キログラム)の牛肉が提供され、1日平均の消費量は平均400〜600ポンド(約181〜272キログラム)だそうです!(数字は2016年のもの)
人気の理由その3: 上質のサービスとホスピタリティー
ニューヨークでは一般的に、日本のような細やかなサービスやおもてなしはあまり期待できません。
しかしそのような土地柄でも、ベンジャミン ステーキハウスはサービスとホスピタリティーの質の高さに定評があります。
どのようにサービスの質を保っているのでしょう。
ベン:先ほどもスタッフは家族だと言いましたが、おかげさまで、ここで働いているスタッフの離職率は低く、多くのスタッフがオープン当初から苦楽を共にしてきた初期メンバーです。
長く働いてもらっているというのは、自分の仕事に誇りを持って取り組んでもらっている証だと思います。
ダイニングルームではほとんどのスタッフはまずバスボーイ(サーバーの補助業務)から始めてもらい、経験を積んで、サーバー(ウェイター)、そしてマネージャーに昇進します。キッチンでも、補助業務から始め、スーシェフ、シェフ、エグゼクティブシェフへ昇進します。
一例ですが、一人うちのスタッフで、バーテンダーとしてがんばっている者がいました。すごく働きもので、私たちは彼の仕事ぶりを評価し、姉妹店のマネージャーに任命しました。
彼は「まだマネージャーの器ではない」と謙遜しましたが、「いや心配するな、君ならできるよ」と背中を押しました。このように、一人ひとりのスタッフを、私たちは注意深く見ており、実力とやる気があれば昇進させています。
ベンジャミン:新しいスタッフを迎える場合は、面接で入念にチェックします。
ここでの仕事を心から楽しんでほしいので、まずその人自身が人生を楽しんでいるか、接客業がもともと好きか、働きものか、そしてチームの一員として同じ目標に向かっていける人かなどは、私たちのスタッフとして重要な要素です。
ゲストに対して最高級のサービスを提供するために、スタッフトレーニングも日々欠かしません。
質の高いホスピタリティーが評判を呼び、多くのセレブリティーがベンジャミン ステーキハウスを訪れているそうです。
ベン:日本の安倍首相はこれまで2度来店されました。ほかにキム・カーダシアン、マリオ・ロペス、ビル・マーレイ、ウィリアム・シャトナー、ウーピー・ゴールドバーグ、タイガー・ウッズなど、お越しいただいた著名人の方々は数え切れません。
店内の壁には、ここを訪れたセレブの写真でいっぱいです。本店を訪れる機会があれば、これらもぜひチェックしてみるといいでしょう。
ベンジャミン ステーキハウスがこれからも追求しつづけるもの
このように現地では、厚い信頼を寄せられているベンジャミン ステーキハウス。今年は、海外初店舗となる東京店をオープンしたばかりですが、今後どのようなお店を目指していくのでしょうか。
ベンジャミン:海を越えて日本のお客様にも私たちの誇るべき質の高い熟成ステーキを提供することができ、大変うれしく思っています。今後もお越しいただいた方に思い出に残る最高の食体験をしていただけるようなお店作りをしていきます。
ベン:そもそも日本店がオープンしたきっかけは、ニューヨーク店にお越しいただいたゲストに「日本にもオープンしてよ」と声をかけてもらったからです。
今後もゲストの要望に応えるべく、日本のほかの都市、ハワイ、シンガポールや台湾などの地域も視野に入れ、タイミングをみながら国際展開していく予定です。
ベンジャミン:ただし、私たちは店舗拡大を急いでいません。日本の店をオープンしたのも5年の歳月をかけました。
プライムビーフは限られた供給量しかないので、日本で今のところオープンできるのは1店舗だけなのです。最高の肉を提供するためには、これが現段階でできることです。
大切なのは高いクオリティーの食とサービスをお客様に提供し続けていくこと。時間をかけてじっくりとベンジャミンブランドを成長させたいと思っています。今後のベンジャミンステーキハウスに、ご期待ください。
創業者2人から直接お店に対する思いを聞き、ニューヨークというステーキ激戦区にもかかわらず、たった10年で頂点に登り詰め、不動の人気を確立している同店の秘密を垣間見た気がしました。
決して一時のトレンドではない確たるブランドを築き上げたベンジャミン ステーキハウス。六本木店に足を運んで、本場の味をぜひ堪能してみてはいかがでしょうか。
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BENJAMIN STEAKHOUSE ROPPONGI
東京都港区六本木7丁目14-4 レム六本木ビルB1F
TEL:050-3187-9089
[営業時間] Lunch 11:30-15:00 (LO 14:00)
Dinner 月~土/ 17:00-23:00 (LO 22:00) 日・祝/ 17:00-22:00 (LO 21:00)