私の妻の誕生日は真夏の8月に訪れる。だからといって毎年特に何かプレゼントするわけではない。結婚前は互いの誕生日はプレゼントを買っていたが、結婚してからは互いに誕生日プレゼントはいらないという話をしたからだ。美味しいケーキを食べたり、少し贅沢して普段より高めのお店で外食するくらいで十分だと。結婚後にプレゼントを買わないとした理由は主に2つある。
結婚後にプレゼントを買わなくなった理由
①昔誕生日に買ってあげたネックレスを妻が一切しなくなったため
私が選びに選んだ4℃のネックレス、プレゼントした時は大変喜んでしばらく付けていたが、ある時から一切つけなくなった。あろうことか、銀行で働いていた時代に取引先からもらった商品券で勝手に自分で三越で買ったネックレスを愛用している。デザインも値段も私のあげたものの方がいいのに。絶対に失くしている。しかもそれを白状しない。許せぬ。こんな外道にはもう二度とプレゼントを買ってやるものか。
②私の誕生日に買ってもらったネクタイとタイピンが仕事で使えず逆恨みされているため
貰った時は銀行で働いていたため、どうしてもお洒落すぎて銀行のイメージに合わず付けていくことができなかった。ちなみに今は転職したのだが、年中クールビズを謳っている会社なのでネクタイをつけることがなく、一切使う機会がないのである。「許せぬ。こんな外道には二度とプレゼントを買ってやるものか」と、妻にも思われている。
以上、この相思相哀の理由により誕生日プレゼントを買わなくなった。
というのは嘘だ。
いや、この2つの出来事は実際に起きたことなのだが、これが結婚後に誕生日プレゼントを買わなくなった本当の理由ではない。もしかしたら本当の理由かもしれないが、一応互いの心の奥底にしまいこんでいる感情だ。何かの拍子に出てくる可能性はあるけれども。それでは本当の理由を真面目に述べる。
結婚後にプレゼントを買わなくなった理由(真)
①互いに特に欲しいものがない
私も妻も物欲がない。結婚前は服だったり時計だったり財布だったり、身だしなみやお洒落に気を使っていたけれど、今は特にその必要がない。最低限度の物でこと足りるし、それらのものは購入済みなのだ。使えなくなったら買い換えるくらいで必要以上の物を買う必要がない。だから特に欲しいものもない。
②共通の財布(家計)なのでプレゼント感がない
結婚前は保育士として働いていた妻だが、現在は仕事を辞め子供が生まれてからは育児に専念している。ゆえに私たちの家計の収入は私の給料のみであり、共有で管理している。つまり私の財布でありながら妻の財布でもあるので、プレゼントを買うのも貰うのもある意味相手のお金を使うことになるのでどこか変な気分になるのである。
③誕生日に気を使わないでいたい
これが一番の理由かもしれない。付き合ってた頃は誕生日に何を買ってくれるのか楽しみにしていたし一生懸命に選んでくれたその気遣いこそが何より嬉しかった。だが結婚後は感覚が異なる。
プレゼントを貰ったりしたらそれは嬉しいと思うかもしれないが、それ以上に気を使わせてしまって申し訳ないと思うのである。そもそも互いに物欲がないことを知っている私たちだ。そんな中相手が喜びそうな物を選ぶというのは困難を極める。物のプレゼントなんかいらなくて、気持ちだけで十分なのだ。
とはいうものの・・・
物のプレゼントはしないが、今年は考えていることがある。ハウステンボスのイルミネーションを見に行くのだ。実は付き合って最初に迎えた最初の彼女の誕生日、ハウステンボスに旅行に行った。あの時は高い敷地内のホテルに泊まってプレゼントもしたけれど、今回は見に行って帰るだけ。それでいい。
子供が生まれてからろくにデートらしいデートもしていないし、今回は子供も連れて行くけれど、どこか家族3人で遊びに出かけるのは初めてだろう。そんな考えを昨日妻に話したら、とても喜んでいた。一応言っておくが、これはのろけではない。
妻に内緒にしていたブログがバレて(バレたと私は思っている)以来、実はあれから何もその件について触れてこない。逆に触れてこなくなった気さえする。結局のところ、私は彼女の手のひらで踊らされているだけなのだ。
私が今回のハウステンボスの発想に至ったのも、彼女を喜ばせたい想いよりも、もしかしたら恐怖心からの贖罪なのかもしれない。あるいはその思考に至ったのもすべて彼女の思惑通りだとして、イルミネーションを見ながら私の後ろで悪魔の微笑を口元にたたえているのかもしれない。だが当日はそんなことも忘れて、ただただ親子3人でイルミネーションを楽しむことくらい、許してくれたっていいだろう?
(fin)