JリーグのOBには世界的な選手、監督がそろっている。ざっと名を挙げてみると、リネカー、リトバルスキー、ブッフバルト、ディアス、ストイコビッチ、ストイチコフ、ラウドルップ、スキラッチ、カレカ、ドゥンガ、レオナルド、エムボマ、洪明甫、黄善洪……。
監督にもベンゲル、オシム、ケイロス、オジェック、アルディレス、フェリペ、トニーニョ・セレーゾ、レオン、ハシェックらビッグネームが多い。
Jリーグには世界的に名のあるこれだけの選手、監督との縁がある。彼らはJリーグの無形資産であるにもかかわらず、我々はこのレジェンドたちの価値を軽視しているのではないか。
シャペコエンセへの訪問はジーコが出てきてくれたからこそ、終始、円滑に進めることができた。ジーコの仲介があったから、相手の対応がより前向きになり、シャペコ市長まで出てきて我々を歓迎してくれたのだと思う。
Jクラブの選手が海外に移籍する際、国際親善試合を組む際、アカデミーのチームが海外遠征する際、世界に散らばっているJリーグOBにサポートしてもらえることがたくさんあるはずだ。
JリーグのPRをOBたちにしてもらうこともできる。Jリーグの現状をまとめたリポートを彼らに渡しておけば、Jリーグの国際的なステータスアップに力を添えてくれるだろう。
■Jリーグのあるべき姿見えてくる
今回、ジーコはシャペコエンセの幹部に「Jリーグでは給料の未払い、遅配は決してない」「日本は安全で、日本人は親切」という話をしてくれた。未払いがないという話に相手側は驚嘆の声をあげた。
それを聞き、そういうことが海外ではリスペクトされるのものなのだと気づいた。ジーコの視点でJリーグを見ることで、ふだん感じずにいるJリーグのよさ、価値に気づくことができた。クラブライセンス制度が整備されていることも、その一つかもしれない。
内側にしか視点がないと主観的なとらえ方に終始してしまう。しかし、外側に視点を置くと、ものごとを客観的にとらえることができる。外から見ることで整理されることがある。
ジーコの視点、海外のJリーグOBの視点でJリーグを見ることで、Jリーグの価値、あるべき姿、将来像が見えてくるはずだ。海外にOB会をつくる意味はそこにある。
私の頭の中では想像がどんどん大きなものになってきている。手始めにJリーグに在籍したすべての外国籍選手、監督のリストの作成に取りかかった。たとえば各大陸連盟に支部をつくったらどうだろう。定期的に集まり、Jリーグの現状と将来、より高いステージに上がるためのプランを語り合ってもらいたい。
Jリーグの歴史を築いてきてくれた人たちの声を聞いて、Jリーグの未来図を描いていく。そのとりまとめ役にジーコに就いてもらう。このプランが実現できたら、だれでもジーコこそがOB会長にふさわしいと思うだろう。=文中敬称略
(Jリーグチェアマン)