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大崩山は日本全国から登山者が訪れる山
大崩山(おおくえやま)は宮崎県と大分県の県境に位置する標高1643mの岩山です。大崩山この名称は風化した花崗岩により、斜面が崩れたように見えることに由来するようです。山頂下の石塚付近からは、九重山、阿蘇山、祖母山、由布山、などを一望することができます。周囲には直立する岩峰群があり、北東には祝子川渓谷、南西に鹿川渓谷があります。見どころがたくさんある景勝地で、訪れる登山者や観光客で賑わっています。アケボノツツジの群落があり、GWの頃に満開になるので、シーズンには多くの登山客が入山してきます。一方で、登山道によっては大変危険な岩山なので毎年のように事故が発生しています。
大崩山は祖母傾国定公園
1965年(昭和30年)には、祖母山や傾山とともに祖母傾国定公園(そぼかたむきこくていこうえん)に指定されました。その後、訪れる登山者とハイカーが増加し、現在は年間2万人にものぼるようになりました。祖母傾国定公園にある山は、登山道により難易度の差が大きくなっており、初心者から経験者まで楽しめる山です。
祖母傾国定公園の概要
祖母傾国定公園は、九州東部の大分県と宮崎県との県境に位置する山脈や河川からなる国定公園です。この名称は、県境に位置している祖母山(標高1,756m)と傾山(標高1,602m)からつけられました。公園内にはここで紹介する大崩山など多くの山を含んでいます。祖母傾山系は大地の褶曲で形成された構造山地であり。その仲間では、九州本土で最も標高が高い山脈です。
大崩山登山はここが素晴らしい
大崩山には様々な名所が有ります。最大の見所は各所に点在する巨岩です。数百メートルも有る花崗岩は自然の雄大さと美しさを知る事ができます。一方で美しい渓谷や滝も見事です。登山口付近を流れる祝子川は荒々しい川ですが、奥に入ると浅くなだらかな地形となり、多くの滝が見事です。平らな川底(ナメ)も見事で、渓流専用の靴を履いて沢の中を歩くことも可能です。様々な魅力・楽しみ方があります。
大崩山は登山事故が多い
宮崎日日新聞掲載記事より
祖母傾・大崩山系においては事故が絶えません。特に、日本百名山に含まれている祖母山では事故が頻発しています。多くが九州の外から来られている登山者によるもののようです。低い山だと思って侮らないように注意してください。
高千穂峰で転落、死亡 2001年10月15日
十四日午後二時半ごろ、高原町の高千穂峰御鉢の通称「馬ノ背」で、下山中だった男性が登山道を転げ落ち、全身を強く打って死亡した。小林署の調べでは、現場は御鉢から頂上に向けて約百メートル行った地点で、急なこう配のガレ場。この男性は、鹿児島県霧島町の高千穂河原から登り、同日午後一時ごろ山頂に到着。同二時ごろ下山を始め、現場で先行する人を追い抜いた後、転倒したらしく、急に姿が見えなくなった。同行者が一一九番通報し、同四時ごろ鹿児島県警国分署員や地元消防署員が現場に到着、発見したが、心肺機能は停止していた。同県の防災ヘリで陸上自衛隊国分駐屯地に運び、国分市内の病院に搬送、同五時十七分、死亡が確認された。男性は、山登りが趣味でたびたび各地の山に登っていたという。
大崩山周辺は渓谷美が美しい
大崩山の山中に端を発する「祝子川」は、大変清らかな水をたたえ、巨岩や穿った岩などがたくさんあり、壮大さと自然美の調和した渓谷となっています。登山道が渓谷を横切ったり、渓谷を登ったりするコースもあります。
祝子川渓谷
祖母傾国定公園の東入口に位置する祝子川渓谷(ほうりがわけいこく)は、美人の神コノハナサクヤヒメが海、山幸彦の双子を生んだとき産湯に使った川と言われています。花崗岩の岩肌を清流が走り絶壁の奇岩と原生林は魅力がいっぱいです。
鹿川渓谷
鹿川(しかがわ)沿いの全長18kmに及ぶ渓谷です。標高は約700mに位置しており、春はシャクナゲやイワツツジ、秋は紅葉が美しい名所です。
大崩山登山は初心者でも大丈夫?
大崩山は日本アルプスや八ヶ岳などの山のよりも難易度が高いと言われます。標高が低いからと侮っていると大変な目に遭います。6~8時間程度を行動できる体力と、岩場や梯子場等を確実にクリアできる技術が必要です。また、深く切れ落ちている岩場が続くため、高所が苦手な人は注意です。登山道ごとの難易度を確認し、綿密な計画で登りましょう。
大崩山は鎖場のある岩山
登山道は難易度の違う4つの登山道が知られています。中には危険な箇所がたくさんあり、ロープ渡り、はしご登りの連続地帯が随所に見られるコースもあります。上級者でも遭難や滑落の事故が起きていることから、初心者向きの山ではありません。初心者はベテランとパーティーを組んで登山することがおすすめな山です。
初心者の注意
そんな大崩山ですから、何度も言うように初心者の単独行や初心者だけのグループでは危険です。初心者が入れるコースをしっかりと確認すること。岩登りや沢渡の経験者と同行すること。登山靴や手袋や帽子など安全面に配慮した装備で登ること。できれば、ヘルメットが荒れば安全です。
大崩山の登山口
国土地理院の地図です。大崩山の位置や、登山口までのアクセス、登山道の様子などを確認できます。大崩山の登山口は一般には4つの登山口が知られています。ここでは、それぞれの登山口へのアクセスや駐車場の情報などを紹介します。また、難易度が高くここでは紹介しませんが、バリエーションルートとして、地蔵岳に取り付いて尾根沿い大崩山に向かう登山道もあります。
登山口①:大崩山登山口(湧塚・坊主尾根ルート)
大崩山登山口は一般者がたくさん訪れる宮崎県北部、大分県境に近い地域にあり、祝子川沿いに位置する大崩山への登山口です。九州自動車道御船ICから約104kmです。約10台の駐車スペースがあります。この登山口から山頂へは、4つのルートがあり初心者から経験者までレベルに応じた登山が楽しめます。坊主山登山道は技術的難易度が高く事故が多いため、初心者にはおすすめできません。
登山口へのアクセス
登山口までのバスはありません。マイカーでの登山が一般的です。九州自動車道熊本ICから約138kmで大崩山登山口へ到着します。大分自動車道大分米良ICからも大崩山登山口へ行けます。 大崩山登山口には駐車場はありませんが、路肩には10台程度が停められます。紅葉などのシーズンには駐車スペースを探して、登山口からかなり手前の路肩に停める車もいます。
登山口②:宇土内谷登山口
宇土内谷登山口は、鹿納山への登山口でもあります。登山口九州自動車道御船ICから約104kmです。約10台分の駐車スペースがあります。
登山口へのアクセス
宇土内谷登山口へは登山口九州自動車道御船ICから約104kmです。約10台分の駐車スペースがあります。途中の林道は道が悪いので注意してください。
登山口③:お化粧山(五葉)登山口
五葉岳から大崩山に向かう登山口です。夏木山方面へ向かうコースもあります。この登山口から大崩山山頂へは、いくつかの山を縦走するコースとなります。
登山口へのアクセス
登山口までのバスはありません。マイカーか延岡からタクシーで登山口へ向います。ゲートが開いていれば大吹登山口まで上がることができます。九州自動車道御船ICから約117kmでお化粧山登山口駐車場へ到着します。10台分程度の駐車スペースがあります。大吹登山口にも30台ほど駐車ができます。
登山口④:夏木新道登山口
夏木山への登山口です。夏木山から大崩山に縦走します。バスはありませんから、マイカーでのアクセスとなります。登山口までの林道は悪路なので注意しましょう。登山口には登山ポストがあります。
登山口へのアクセス
東九州自動車道佐伯ICから約2時間半で夏木新道登山口に到着します。途中は悪路の山道で登山口まではけっこう大変です。林道終点付近の路肩に10台程度の駐車スペースがあります。
大崩山登山ルート4選
大崩山、お化粧山(五葉)、宇土内谷、夏木新道の4つの登山口からそれぞれ登山道を選択し、往復の登山時間や難易度等を紹介します。
ルート①:大崩山登山口・湧塚、坊主尾根周回ルート
大崩山駐車場から大崩山荘方面に向かい、その先の湧塚分岐左に折れて、遠見(乳房岩)をとおり石塚から山頂を目指します。帰路は同じルートを下り坊主尾根(1571m)の分岐を右に向かい坊主岩から大崩山荘を通り下山します。約9.1kmで、標準歩行時間は9時間5分です。危険個所は、涌塚分岐から坊主尾根までのすべての区間です。はしごの連続や鎖場が連続します。象岩は大変危険です。坊主尾根コースは難易度が高く危険な登山道です。
ルート②宇土内谷登山口上鹿川ルート
宇土内谷登山口から上鹿川ルートを山頂へ向い、同じルートを下山するコースです。約6.7kmで標準歩行時間4時間55分です。このコースは体力的難易度2技術的難易度1の初心者にはおすすめのコースです。
ルート③:お化粧山(五葉)登山口鹿納山、大崩山縦走ルート
お化粧山(五葉)登山口から、お化粧山を通り、五葉山分岐を右に鹿納山方向に向かいます。鹿納山を越えたら中瀬松吐合に向いそこから大崩山に向かうコースです。帰りは同じ道をたどります。約13.9kmで標準歩行時間10時間半の超ロングでハードな登山道です。距離も長く、鹿納山周辺は崩壊が進みとても危険な登山道ですから、初心者にはおすすめできません。
ルート④:夏木新道登山口・夏木山、鹿納山ルート
夏木新道登山口から夏木山に向い、更に五葉岳、鹿納山を越えて大崩山に向かうコースです。往復では約20,7kmで標準歩行時間約16時間の1泊2日の超ロングコースであるとともに、難路が伴います。経験者でも大変な縦走コースです。
大崩山は宿泊、温泉がおすすめ
大崩山はどの登山口も公共の交通機関がありません。ですから基本マイカーでのアクセスになります。マイカーですから、山頂までピストンのアクセスになってしまいます。また、歩行時間の長いコースもありますので、遠方から来る方でテント泊をしない方は、前泊か後泊をして、ゆっくり温泉に浸かるのもいいでしょう。
おすすめ宿泊所
民宿「大崩の茶屋」は、九州最後の秘境大崩山(おおくえやま)の麓で親子二代でひっそりと営業している民宿です。
所在地: 〒889-0101 宮崎県延岡市北川町川内名10504
電話: 0982-20-1161
二食付いて5000円、(祝子川温泉美人の湯の温泉入浴券付き)
アクセス:【車】延岡市から約27kmで約50分です。【バス】延岡駅から祝子川温泉バス停まで約1時間10分
おすすめ温泉
祝子川温泉美人の湯の泉質はとても良く、温泉施設も綺麗でのんびりできます。 秘湯感があってとても楽しい温泉です。
宮崎県延岡市北川町川内名10358−10
電話: 0982-23-3080
大人:大人:510円
営業時間 10:00〜20:00(月〜水18:00まで、祝日・祝前日は20:00まで)
定休日 木曜(祝日の場合は営業)
アクセス:【車】延岡市中心部から県道207号(道岩戸延岡線)を通って約50分 【バス】宮崎交通延岡バスセンターより、祝子川温泉(終点)まで約1時間10分
まとめ
大崩山は大変難易度の高い登山道があります。しかし、この難所を越えて得られる達成感と絶景は大崩山の虜となることでしょう。九州まで遠征しても登る価値はあります。魅力的で高難易度の大崩山を満期するためには、事前に詳細な情報を得ることが重要です。事故などに合わずに下山することが一番大切です。場合によっては、コースの途中で下山することも重要です。また、九州は素晴らしい温泉がありますから、温泉旅行を兼ねての登山もおすすめです。