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cover ■「ニセ医学」に騙されないために

 ホメオパシー、デトックス、千島学説、血液型ダイエット、ワクチン有害論、酵素栄養学、オーリングテストなどなど、「ニセ医学」についての本を書きました。あらかじめニセ医学の手口を知ることで被害防止を。

2018-08-07 臨床環境医の利益相反

[]臨床環境医の利益相反 臨床環境医の利益相反を含むブックマーク Add StarBUNTENhokuto-hei

たとえばの話、「日本高血圧学会」の学会窓口を、降圧薬を売っている製薬会社がやっていたら、いくらなんでもまずいと思うよね。少なくとも現在の常識から言えば論外。何が問題かというと、たとえば「この降圧薬の効果はそれほどでもなく、むしろ副作用のほうが大きい」なんてことを学会で発表しにくくなる。また、学会の幹部が大学を退官したのち、製薬会社のビル内でクリニックを開業したらどう思うか。「それとこれとは無関係です。私は医学的に正しいと考える医療を行っています」と医師が言ったとして信用できるだろうか。



さて「臨床環境医学」という分野があります。臨床環境医が提唱した「化学物質過敏症」という病気は、ごく少量の化学物質に反応してさまざまな症状を引き起こすのだそうです。しかし、二重盲検法、つまり試験をする側と被験者の両方が、化学物質かどうかわからない方法で化学物質を負荷すると、症状が出たり出なかったりします。化学物質過敏症は、主流の医学界では正当な疾患概念とはみなされていません。詳しくは■化学物質過敏症に関する覚え書きを参照してください。

臨床環境医の一人にダラス環境健康センターのウィリアム・レイ氏がいます。治療にホメオパシーを使ったりして、当局から医師免許を取り消しの懲戒処分請求をされたりしていますが、「日本臨床環境医学」の学会誌の創刊に祝辞が載るような偉い先生です。

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「臨床環境医学会」雑誌発刊を祝して


ウィリアム・レイ氏はAEHF(アメリカ環境健康財団・American Environmental Health Foundation)という組織を作っています。ウィリアム・レイ氏のクリニックに併設されているそうですが、インターネットでもどういう組織がわかります。普通の製品では症状が出てしまう化学物質過敏症の患者さんのために、さまざまな「安全な」商品を提供しています。化学物質過敏症の患者さんが増えれば増えるほどたくさん商品が売れそうです


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「すべて天然All Natural」の石鹸


日本にもAEHF-JAPANといってAEHFの支部があります。「(化学物質過敏症の)治療活動に必要なアイテムを取りそろえて」いるのだそうです。AEHF-JAPANは、とある食品会社内にあります。日本の化学物質過敏症の患者さんのために頑張っておられるのですね。


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「AEHF(アメリカ環境健康財団)は、アメリカはダラスに存在する組織です。

AEHFJAPANはその日本支部となります。」



日本に化学物質過敏症の疾患概念を伝えたのは日本臨床環境医学会です。さすがに今ではそうではないようですが、少なくとも平成17年ごろは、日本臨床環境医学会事務局はAEHF JAPANにおかれていました。「化学物質過敏症の治療活動に必要なアイテムは実はそれほど必要ではない」ことが科学的に明らかになればAEHF JAPANの売り上げが落ちますが、学会参加者が高邁な精神を持っていれば学会で遠慮せずに発表するので問題ないのでしょう。

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日本臨床環境医学会事務局はAEHF JAPANにおかれていた



日本の臨床環境医学に貢献した医師の一人に宮田幹夫氏がいます。日本臨床環境医学会元理事長で、化学物質過敏症の第一人者とされていて、著作も多数、■電磁波防護製品の効果を立証した研究も発表しておられます。宮田幹夫氏は北里大医学部教授を退官されてのち、「そよ風クリニック」を開業し、いまでも化学物質過敏症患者さんの診療にあたっておられます。このクリニックの住所がAEHF-JAPANがある食品会社と同一です。なんでも、その食品会社の2階にあるとか。クリニックを受診した化学物質過敏症の患者さんがすぐに安全な商品を買える素晴らしい環境ですね。



このたび、■街にあふれる「香害」で体調不良に 「誰もに起こり得る」化学物質過敏症に注意- 産経ニュースにて、宮田幹夫氏がコメントした。記事によれば「においによる被害の多くが「化学物質過敏症」(CS)の発症」とのことだ。しかしながら、記事で問題になっている「香害」は化学物質過敏症とはかなり異なる。臭覚として感知できるレベルの化学物質が体調不良を起こすというのは普通にありうる話で、臨床環境医学によるきわめてユニークな仮説に基づかなくても説明可能だ。化学物質過敏症の疾患概念が疑わしいとされている理由の一つは、臭覚閾値よりもさらに低いきわめて低濃度の化学物質でも症状が生じうると主張だ。臭覚閾値より濃度の濃い化学物質によって起こる「香害」と化学物質過敏症を混同すべきではないし、産経新聞は宮田幹夫氏にコメントを取るべきではなかったと、私は考える。



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