日本ボクシング連盟の山根明会長(78)が様々な不正疑惑で告発されている問題が劇的な展開を迎えた。これまで山根会長を支えてきた会長代行で副会長、専務理事の吉森照夫氏を筆頭に約20人の理事が6日、一連の騒動と告発を受けた諸問題の責任を取る形で電撃辞任する意思を固めた。関係者の話により明らかになったもので、すでに約20人の理事が辞任届けにサインし文書化したという。これらの理事は、いずれも山根派と言われた幹部たちだが、代表者が山根会長へも共に身を引くように退陣を迫った。山根会長は筆者が、この日、独占取材した段階では「潔白が晴れるまで辞任はしない」と退陣を拒否する姿勢を明らかにしている。約20人の理事は、辞任の説得に失敗した場合、今日7日にも大阪市内で臨時理事会を招集し解任を決議する考えだ。
ついに側近から“クーデター”がおきた。
“ドン”山根会長の“イエスマン”として絶対服従を誓っていた連盟幹部である約20人の理事が揃って電撃辞任の意思を固めて造反したのだ。すでに署名捺印した辞任届けが作成されており、会長代行でもある吉森副会長でさえ、その“クーデター”に加わったと見られる。
約20人の理事は、告発状を提出した日本ボクシングを再興する会への“寝返り”ではなく辞任して連盟の役員から身を引くことで、山根会長と“一蓮托生”とも言える責任を取り“ドン”へも筋を通したのだろう。
そして辞任を決めた理事の代表者が山根会長にも退陣を促した。身内からの辞任勧告だ。
関係者の話によると、現在、岐阜で開催されているインターハイに参加している数十名の常務理事、理事は、今回の助成金流用や、奈良判定など、数々の不正疑惑問題が起きて以来、何度か会合を重ねて対応を協議していた。だが、山根会長が、反社会的勢力との交友を認めたことにより、状況は一変。高体連が、山根会長の大会への出入り禁止を打ち出し、鈴木俊一五輪担当大臣が「論外」との談話を出すなど、もはや山根会長の退陣は避けられない状況になった。
また一般社団法人のトップが反社会的勢力とのつながりがあることでコンプライアンスを逸脱した形となり、JOC(日本オリンピック委員会)、スポーツ庁などの監督団体が問題視。連盟の存続だけでなく、ペナルティ次第では、2年後に迫る東京五輪への出場さえ危ぶまれる事態にまで追い込まれた。ボクシングは、国際ボクシング協会のガバナンス問題でIOC(国際オリンピック委員会)から除外競技の対象とされており、その開催国の連盟の最高トップに発覚した反社会的勢力との交友や数々の不正疑惑とガバナンス不全は、それらの悪い流れに拍車をかける懸念がある。
理事の数名は、これまで山根会長に絶対服従を誓ってきたが、この現状を危惧。これ以上、現体制を支えることは難しいと判断し、ボクシングの信頼と名誉を失墜させた責任を取り、事態を悪化させないためにボクシング界の将来を考えインターハイに参加していた理事を中心に電撃的な集団辞任という大胆な行動に踏み切った。第三者委員会の裁定を待つのではなく、その前に自浄作用を働かせておかねばならないという決意。未来と組織を守るため自分たちの“首”を差し出して“ドン”の退陣を迫ったのだ。