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SAPジャパンが先頃、都内ホテルで開催した完全招待制の経営者向けイベント「SAP SELECT」のキーノートで、建設機械メーカーのコマツの大橋徹二代表取締役社長兼CEOが、日本発のイノベーションをテーマに、先進のIoT活用プロジェクトである「スマートコンストラクション」とそのオープンプラットフォーム「LANDLOG(ランドログ)」の取り組みについて講演した。
この講演で興味深かったのは、その取り組みの起点となったブランドマネジメントの話だ。コマツのスマートコンストラクションとLANDLOGについては、注目度が高いことから、すでに多くのメディアなどで紹介されているが、これらを生み出したブランドマネジメントの内容については、あまり知られていないのではないか。しかも今回、経営トップによる説明を聞くことができたので、本稿ではこの話を中心に取り上げてみたい。
とはいえ、まずはスマートコンストラクションとLANDLOGについて、大橋氏のスピーチを基にポイントを説明しておこう。
図1が、スマートコンストラクションの全体像である。左から、「ドローンによる現況測量」「施工計画作成」「ICT建機による施工」「検査」といった流れに沿って、IoTをはじめとしたデジタル技術を駆使しながらさまざまな処理を行っていく、いわば「建設生産プロセスのデジタルトランスフォーメーション(DX)」である。現在、5500社を超える導入実績があるという。
ちなみに、IoT活用プロジェクトとしての発端は、2013年8月に世界初のICTブルドーザを世に送り出したことから始まる。ただ大橋氏によると、この時点で提供する価値は「モノ」と「モノの機能」にすぎなかった。その後、ICT建機ビジネスモデルを検討するようになり、「モノ」から「顧客のコト」へ視点が変わった。
そして2014年10月、顧客が直面する労働力不足問題を解決するために、ICT建機をベースにして顧客の安全や生産性向上を実現するソリューションサービスの必要性を認識し、そのビジネスモデルの開発に乗り出した。この時点で「顧客のコト最適化」を新たに顧客に提供する価値としたわけだ。そうしたプロセスを経て、2015年1月に発表されたのがスマートコンストラクションである。
さらに、そのスマートコンストラクションのオープンプラットフォームとして、さまざまなアプリケーションが生まれることを狙ったのが、図2のような全体像からなるLANDLOGである。大橋氏によると、このプラットフォーム上で現在41社との共同プロジェクトが進んでいる。ちなみに、SAPとはLANDLOG開発時から緊密なパートナー関係にあり、SAPの「デザインシンキング」を活用しているという。
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