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実践している日本企業は20%。調査会社のIDC Japanが公表したDevOps(デブオプス)に関する調査結果である。実践の具体的な計画を持つ企業を含めると約3割に達する。DevOpsはビジネスニーズに応じてアプリケーションをはじめとするソフトウエアのデリバリー(提供)やデリバリー後の改変を素早く実行可能にする一連の取り組みや手法を指す。
社運をかけて新サービスの立ち上げを決めた。提供開始まで時間の余裕はない。サービスの概要はほぼ固まっているものの、途中で変更になる可能性が高い。業務部門に「こんなシステムが欲しい」という明確なイメージがあるわけではない──。こんな状況で要求に応え、ユーザーが実際に使えるアプリケーションを作り上げるのがDevOpsの目的だ。アジャイル開発、バリュー・ストリーム・マップ、自動テスト、CI(継続的インテグレーション)、コンテナなど様々な手法や技術、ツールを活用する。
DevOpsを実践する企業が全体の2~3割という実態をどう捉えるかは人によって異なるだろうが、日本でもようやくDevOpsが広まりつつあるとみなせそうだ。IDC Japanがこの調査結果を公表したのは2017年10月だが、2016年1月に公表した同様の調査ではDevOpsを実践する企業は6.6%。2年以内に採用する計画を持つ企業を合わせても10%強にすぎなかった。
日本におけるDevOpsやアジャイル開発の先導者は現状をどう見ているのだろうか。米マイクロソフト(Microsoft)のグローバルチームに所属するソフトウエアエンジニアの牛尾剛氏、楽天でDevOpsやアジャイル開発の導入を主導する川口恭伸氏、米国で日本への技術導入を支援しているクリエーションラインの鈴木逸平氏という3人の識者に聞いた(注)。
3人は日本におけるDevOpsの広がりを実感しつつ「世界との差は広がっている」と指摘。多くの日本企業がその実態に気づいていない現状に危機感を抱く。状況の打開策として「おじさん(上司や経営層)への説明」が必要な企業からの脱却を呼びかける。