半径300メートルのIT:「変えたパスワードをいちいち覚えられるか!」という人に、今知って欲しい方法 (3/3)

» 2018年08月07日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]
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攻撃者の観点で考える

 パスワードの使い回しについては、「便宜上、そうせざるを得ない」と考える方が多く、なかなか解消されないだろうと私は考えています。では、それでも私たちが口を酸っぱくして「使い回さないで」と言い続ける理由は何だと思いますか?

 パスワードを使い回していると、攻撃者に目を付けられた瞬間、複数のサービスのログイン情報が一瞬で奪われる可能性があるからです。攻撃者は、手に入れた漏えいリストを基に、おそらくは片っ端から、機械的にメールを送っているはず。情報漏えいはさまざまなところで起きているので、彼らの標的にならないようにするのは不可能でしょう。

 確かに、小まめにパスワードを変えたくない気持ちは分かります。とても面倒くさい作業ですから。攻撃者はその心理を突き、あなたのアカウントを奪います。

 ここでもう一度「攻撃者の観点で」考えてみましょう。彼らの多くが狙っているのは、あなたの「金銭」です。手間はかかりますが、「奪われたら困る、銀行口座の現金」や、「奪われたら困る、ため込んだポイント」などを守る際は、まず「二段階認証」を使いましょう。おそらく、何らかの被害に遭ったことがある人に聞けば、真剣に対策を勧めてくるはず。二段階認証のやり方が分からない人は、身近な詳しい人に相談してみるのもいいでしょう。

 皆さんも、一度迷惑メールフォルダをのぞいてみてください。そこには私に送られてきたのと同じ、パスワードそのものが書かれたメールがあるはずです。そのパスワードはもう“誰もが知っている”文字列。まだどこかで同じパスワードを使っているのであれば、今すぐ変更する必要があります。その時、いま一度パスワードの付け方を見直し、攻撃者が二度と同じような手口を使えないようにしてやろうではありませんか。

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

デジタルの作法 『デジタルの作法』

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

筆者より:

2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法~1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。

これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。

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