Googleのスタートアップ支援プログラム、Launchpadは、Machine-Learning(ML)導入に関するナレッジを共有して、スタートアップの成長を加速すべくThe Leverを公開した。
同サイトでは、MLを製品開発に活かした事例やベストプラクティス、専門家による洞察などが掲載されることになる。
・誰もがAIを有効活用できる環境を
AIによる産業革命は始まったばかりだが、電気の発明よりもインパクトがあるこの技術についてGoogleは、誰にでも利用できるよう環境を整えるべきだと考えているようだ。いまや、AIを有効活用することで、ユーザーのプライバシーを尊重した形で信頼性の高い分析結果を得ることができる。
しかし、スタートアップの持つリソースは限られており、例えば長期的な製品開発のための体力がないという課題に悩まされている企業も多いだろう。
そんなとき参考にしたいのが、The Leverに公開されたBrainQの事例。ここでは、データ分析の効率とスピードを最大化し、可能な限り多くの仮説をすばやく検証していく方法が紹介されている。
・フォーカスすべき検証項目を見極める
ヘルステック企業のBrainQは、脊髄損傷や脳卒中患者の治療促進を目的として、脳波パターンを特定するための人工知能ツールを開発した。制約されたリソースのなかで、プロジェクトを迅速に進めていくためには、まず仮説を立てて検証項目に優先順位をつけることが重要だという。
BrainQの例では、脳卒中患者の脳波データの分析に有効なMLモデルを絞込んでいる。プロジェクトの目的に沿っているか、仮説が実証されたときに展開可能か…などを軸に検証項目を厳選。検証に要するリソースをあらかじめ見積もっておくことなどもポイントだ。
・常に測定値を参考に検証を進める
検証の際にベンチマークとなる測定値をあらかじめ定義しておき、プロジェクトを細分化。測定値を確認しながら作業を進めていくことも重要だという。
BrainQでは、ユーザーの髪の量が脳波測定の正確性にどう影響を与えるかを検証している。すべての検証項目について実験データをできるだけ素早く集め、より効果的な成果を得るためにリアルタイムで軌道修正していく。
ヘルステック企業の製品開発では、データ収集や臨床試験に時間を要し、実用化には数ヶ月~数年を要することも珍しくない。BrainQの事例はスタートアップでもアジャイルな製品開発が可能なことを示していて、同じような課題を持つスタートアップにとっておおいに参考になるものだろう。
参照元:Google Developers Launchpad introduces The Lever, sharing applied-Machine Learning best practices/Google Deveroppers Blog
Running Agile Machine Learning Experiments/The Lever