ガソリンスタンドで車の中にいた女性を口説こうとして「私はゲイです」と断られ、激怒して車のフロントガラスを踏み破り、さらに車から逃げ出そうとした女性につかみかかった男の防犯カメラ映像が公開されました。
詳細は以下。
この女性ベイリー・キャントレル(Bailey Cantrell)さんはこのとき、友達と一緒にテネシー州ナッシュビルのガソリンスタンドに来ていて、友達が店内にいる間ひとりで車の中にいました。そこに近づいてきた男から2度口説かれて2度とも断り、3度めに「わたしはゲイです、単に興味がないんです(‘I'm gay, I'm just not interested,’)」と言ったのだそうです。すると男は激怒して車に飛び乗り、フロントガラスを蹴ったのだそうです。
キャントレルさんは車をバックで発進させて男を振り落そうとしたもののうまく行かず、割れたガラスを全身に浴びてしまいました。ガラスの破片は目の中にまで入ったそうです。防犯カメラの映像には、パニックを起こして運転席から逃げ出そうとするキャントレルさんに男がつかみかかり、ひきずり倒すような動きをするところまでが映し出されています。
目撃者によれば、この男はナッシュビルに最近やってきて救護所(貧困者を改宗・社会復帰させる宗教団体の施設)に寝泊まりしている人物だとのこと。キャントレルさんはこの男に自分のしたことの責任を取らせるべきだとして、次のように話しているそうです。
「こういうことをして何の罰も受けずに済んだのでは、彼には何の影響もなしです」と彼女は言った。「彼は『女に拒絶されたらこういうことをしていいんだ。こないだはつかまらなかったぞ』と思うでしょうよ」
"Since he did this and got away with it, he had no repercussions," she said. "He's going to think 'if a girl rejects me, I can do this to her. I didn't get caught last time.' "
このニュースを読んで最初に連想したのが、日本のあるラジオ番組で、男性著名人ふたりが某ハリウッド女優は「レズ」だから「けしからん」と言い合って笑っていたという話です。あと、こういう話。
そう、どこにでもいるんだよねー、こういう人……。
今回のナッシュビルの事件は、もろにこのような「けしからん」、「殴られるのは当たり前」という発想の延長線上にあるものだと思います。このすべての大元にあるのは"male sexual entitlement"なんだけど、これを日本語で説明するのは難しいかも。 Everyday Feminismの定義を噛み砕いて説明するならば、「『男は男に生まれただけで、他者(特に女)に対してセックスの貸しがある。つまり男のセックスの求めに応じないのは債務不履行という悪事なので罰を与えていい』という信念」、みたいな感じになるでしょうか。わかりにくいか。ともかく、これが行き着くところまで行きつくと南アフリカで頻発しているレズビアンをターゲットにしたレイプ殺人になるので、今回のナッシュビルみたいな事件は絶対に取り締まらなきゃダメだと思います。
あと上記の「けしからん」発言の男性著名人(の少なくとも片方)はふだんは人種差別や民族差別に反対している人なので、ほんと、"male sexual entitlement"ってどんな人にでも簡単に浸透しちゃうものだと思うんですよ。いちレズビアンとしては、普段から準備おさおさ怠らず、「レズビアンに男と寝させようとするやつは45ポンドプレートで横っ面を張り倒す」ぐらいの心構えで生きていくことを心掛けたいと思ってます。