ロンボク島で再び地震、少なくとも91人死亡 インドネシア
インドネシアの観光地ロンボク島で5日、マグニチュード(M)6.9の強い地震が発生し、これまでに少なくとも91人の死亡が確認された。
国家防災庁によると、この地震で数百人が負傷している。多くは震源に近い島の北部にいた。
震源の深さは10キロと浅いこの地震で、数千件の建物が倒壊し、停電も起きている。
揺れはロンボク島の隣のバリ島でも観測され、動画には住民が叫びながら家から逃げ出す様子が映っていた。バリ島では少なくとも1人の死亡が確認された。
また、ロンボク島に近いギリ3島からは約1000人の外国人観光客が避難している。
最初の地震発生から、これまでに130回以上の余震が観測されている。津波警報も発令されたが、数時間後に解除された。
海岸やハイキングコースが人気のロンボク島では7月29日にも大きな地震が発生し、少なくとも16人が死亡した。
「皆がパニック状態に」
ロンボク島の面積はおよそ4500平方キロメートルで、一回り大きいバリ島の西側に位置する。
ロンボク島の人口は約300万人、バリ島は約400万人だが、どちらも世界中から何百万人もの観光客が訪れる。
国家防災庁の報道官はAFP通信の取材に対し、ロンボク島の主要都市マタラムで多くの建物が被害を受けたと説明した。建物の大半はぜい弱な建材を使っていたという。
マタラムの住民は地震発生時の様子を、大きな揺れを受けて大勢が建物から逃げ出したと説明した。
イマンさんは「みんながすぐに家から飛び出した。みんなパニックしていた」と話した。
マタラムではいくつかの地域で停電が発生している。
マタラム市の病院やバリ島・デンパサールの病院では、患者が医師らに付き添われて道路に避難した。
ロンボク島とバリ島ではがれきが道路に散乱しており、地震の数時間後には地元住民が片づけようとしていた。
バリでも揺れを観測
揺れはバリ島でも数秒間にわたって感じられ、大勢が建物の外へ逃げ出した。
バリ島の主要都市デンパサールで働く男性はBBCに対し、地震発生時の様子を次のように語った。
「最初は小さな衝撃だったが揺れがどんどん大きくなり、皆が『地震だ』と叫んだ。そして従業員全員がパニック状態で建物から飛び出した」
安全保障会議のためロンボク島入りしていたシンガポールのK・シャンムガム内相兼法相も地震に見舞われた。
シャンムガム氏はフェイスブックで「ロンボク島で地震に遭った」と書いた。
「私は(ホテルの)10階の自室にいて、ラップトップで作業をしていた。突然部屋が激しく揺れ始め、壁にひびが入った。立つのはほとんど不可能だった」
「悲鳴が聞こえた。部屋から出て階段で下りている間も建物は揺れていた。少しの間停電した。あちこちにひびが入り、ドアは落ちていた。BBCで大きな地震があったと報じていた」
「幸運にも代表団は無事だったが、他のホテル客に犠牲者が出たと聞いた(後略)」
休暇でバリ島を訪れていたモデルのクリッシー・ティーゲンさんは、15秒間の揺れの後、「すごくたくさんの余震」が続いていると話した。
ティーゲンさんはツイッターに「また別の余震。昨夜あった大きな揺れからたぶん8回目。私たちは無事で、周りに何もない高いところにいる。周囲の人や、特にロンボク島にいる人たちのことを考えている」と投稿した。
ギリ島からの避難
ダイバーに人気のロンボク島沖のギリ3島も被害に遭った。
捜索・救助隊を率いるイ・ニョマン・シダカリャ氏は、700人の観光客と地元住民が避難する予定だと話した。
シダカリャ氏は現地放送局テレビ・ワンに対し「何人かは負傷し、ショックを受けている」と説明した。
国家防災庁のストポ・プルウォ・ヌグロホ報道官は、ギリ島の海岸で避難を待つ人々の様子を映した動画を公開した。
ヌグロホ報道官はツイッターで、船の数が限られているため避難は段階的に進んでいるが、さらに船が追加される予定だと説明した。
ロンボク島とバリ島の空港は小規模の被害を受けたものの、共に通常通り営業している。バリのデンパサール空港では、地震で天井のパネルが外れかかった。
インドネシアは環太平洋火山帯に位置する地震多発地帯。地球上の活火山の半分以上がこの火山帯に位置している。
2016年12月にスマトラ島北東沖で起きたM6.5の地震では100人以上が死亡し、4万人以上が家を失った。