たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

家庭でできる金融教育の本質

家庭でできる金融教育の提案

 金融教育の必要性が叫ばれています。金融庁も金融教育についてのページを作成したり、講師を学校に派遣したり、様々な対応をしています。ここでは、なぜ学校に金融教育が降りてこないのかに触れ、家庭でできる金融教育について紹介します。

学校で金融教育が難しい理由

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 社会が高度化するにつれて、子どもたちは学ぶべきことが増えています。情報教育、環境教育、外国語教育、技術家庭、福祉教育、食育・・・枚挙にいとまがありません。これらはかつてはなかったものです。

 

 高度に発達した現代社会とはこういうことであり、社会に必要な知識の習得の全てを学校の責任にするには無理があります。現代社会の基礎知識、これらをすべて必要だからと言って学校に押し付けるのは無理だということです。

 

 そもそも先生たちだって超人ではないですから、すべての分野に詳しくあれ、というのは無茶です。

 

 私たちの勤務先がそうであるように、学校もプラスの発想で動いているように見えます。新しいものを増やしたら、古いものを減らす、精選するということが難しいのです。常にプラスで仕事が増えていきます。

 

 常にプラスの波が来るのは、教科セクションごとの圧力団体があるからです。また、それぞれの専門分野の先生たちの仕事に対する情熱もそのように作用するのでしょう。そして何より子どもたちのため、という善意がマイナスの発想を難しくします。

 

 例えば、もう日常で使わないからといって古文を削ろう、算盤を削ろう、漢文を削ろう。こういうことがなかなかできないのです。まだ選択ということが可能な高等学校は余地がありますが、小学校中学校ではかなり厳しいでしょう。

 

 その結果として日常では使わない習字が脈々と続けられ、算盤を習う。古典的な詩文などもそうですね。教科書は分厚くなる一方です。子どもたちのランドセルが10㎏以上にもなるということがニュースになっていました。

 

 教科書はかつては上下巻に分かれていましたが、今ではなぜか1年通して1冊になっています。振り返って学習できるように、という配慮のようですが、学校にいて振り返る時間は殆ど無いようです。今のカリキュラムを消化するので必死なイメージです。

 

 プラスの発想は共感が得やすく、何かを削るというマイナスの発想は共感が得にくいのです。相手の気持ちを斟酌することに長けた私たち日本人は、この「精選」が極めて苦手です。「和を以て貴しとなす」というのは国民性を端的に表していると言っていいでしょう。

 

 そういった事情があるので、金融教育もせいぜい社会科の数ページで取り上げられる程度に落ち着くのが関の山です。

家庭でできる金融教育の本質とは

 では、家庭でどのように触れたらよいのでしょうか。先述の通り、せいぜい数ページ程度の内容ということならば、本質はズバリこういうことだと思います。

 

収入の半分は自分のものとして取っておく

 

 名著「バビロンの大富豪」の教えですね。例えばお小遣い制を例にとってみましょう。小6で1か月600円のお小遣いがあるとします。その半分、300円を自分のものとしてとっておくのです。使い切らない、我慢するということです。

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※画像は金融庁の金融教育のサイトから引用。

 

 すると、年間で3600円を使え、3600円を自分のものとしてとっておくことになります。

 

 本来ならば、「お金に働かせる」という発想で複利運用すると良いのですが、少額すぎてメリットが実感されません。そのため、親が色を付けてあげます。1年間「自分のものとしてとっておく」ことができたら、お小遣いアップをするのです。

 

 中一で月1000円をお小遣いにします。半分の500円を取っておきます。

 中二で月2000円をお小遣いにします。半分の1000円を取っておきます。

 中三で月3000円をお小遣いにします。半分の1500円を取っておきます。

 

 小6=年間3600円貯蓄

 中1=年間6000円貯蓄

 中2=年間12000円貯蓄

 中3=年間18000円貯蓄

 

 合計で4万円近く貯めることができます。金額は通学や地域の実態によって違いがあるでしょうが、本質は同じです。半分を自分のものとして取っておくのです。高校まで続ければ、高校卒業時にはそこそこの金額になっています。

 

 アルバイトを始めるならば加速度的でしょう。ただ、アルバイトは自分の所得なのでルールを守るのが難しいかもしれませんね。

 

 ここからは飛躍します。私だったら、子どもが社会人、あるいは大学生になるときにさらに色を付けて、自分のものとして取っておいた金額に祝い金を足して、合計100万程度にします。

 

 そして、投信やETF、あるいは株式の世界を教えます。おそらく米国株でしょう。

 

 このときに、「半分は自分のものとして取っておく」という原則を確認します。キャッシュポジションが50%ですから、安全な範囲で経験を積むことができるでしょう。

 

 数年運用すれば、給与からの追加投資も覚えているでしょうから、その時にキャッシュポジションは適正な%である10%から20%に収束させればよいです。

金融教育は大人だって不十分

 翻って、私たち大人も十分な金融知識が備わっているとは言い難いのではないでしょうか。原因は一つです。使いすぎるのです。給料が入ったら、そのまますべてを使ってしまう。ボーナスが入ったら頭金にしてローンを組んでしまう。

 

 これだといつまでたっても「お金に働かせる」メリットに浴することができません。いつまでたっても「お金に働かされる」構図なのです。

 

 金利のメリットを実感できるようになるのは1000万円を超えたあたりからでしょう。金利3%で30万になります。ちょっとした月収並みです。初めてそこで運用することの重みを知るのです。

 

 この1000万円の種銭を運用で得ようとするのは間違っています。よほどセンスがある人しかできません。やはり労働収入で積み上げ、浪費を抑えて積み上げるのです。キャピタルゲインで積み上げるのは誰にでもできることではありません。

 

 給与所得、つまり手取りの半分は取っておく。家庭があると難しい水準ですが、独身の時に貯めたり、共働きをすることで可能になります。貯められるほどの余裕がないならば、所得を増やします。

 

 お金に働かされる構図から抜け出す、たった一つの習慣。それは

 

 「収入の半分を自分のものとして取っておく」

 

 という誰でも明日からできる習慣なのです。私はそれを子どもに伝えたいと思っています。

 

関連記事です。

 もしくは、少額での投資で月々数千円で実際に株式投資をしてみても良いでしょう。いずれにせよ、勤労の大事さを実感すると共に、お金に働かせるという発想も同時に必要でしょうね。 

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  私たちの子どもが生きる時代は人口ボーナスを終えて、膨大な社会保障がのしかかる時代です。未来を担う子どもたちに私たちは何ができるのでしょうか。教育というのも大事なレガシーだと私は確信しています。

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  ジュニアNISAをきっかけに投資について学ぶ、ともに運用成果を見るというのも一つのやり方かもしれませんね。

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  • 通りすがりのバビロニスト

    楽しい記事をいつも拝見しています。
    バビロンの大富豪(大島豊訳)は私の大好きな1冊で、何度も読み返しては自分の投資を振り返っています。
    ところで記事中に収入の半分とありますね。本では10分の1を自分のものとして取っておくと書かれていますが、確かに子供の時分にはお小遣いの半額程度が効果的なのかもしれませんね。

  • たぱぞう (id:tapazou)

    バビロニストさん

     コメントありがとうございます。そうなんですね、10分の1だとなかなか効果が発揮しにくいので、半分にしました。

     このあたりの按分に関しては議論の余地がありますね。子どもには半分というのが分かりやすさと金額も現実的ということでそのように記述しました。

     バビロンの大富豪は難しいことをシンプルに記述しているという点において、私もお気に入りの本になっています。

  • id:myit

    こんにちは。
    米国個別株なら入りやすいかもしれませんね。
    アップル、マイクロソフト、コカ・コーラなどは
    大学生や新社会人でもお世話になっている会社でしょうし。

    若いときに少額で投資を始めれば、
    ブラックマンデーとかの大暴落にやられても、
    傷は浅いし回復する時間も十分にあるでしょうね。

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