日曜日の朝、TBSテレビで『サンデーモーニング』(サンモニ)という番組が放送されていることはご存じだろう。世間の諸問題について、左派系の識者がそれらをどう見ているかという観点において、筆者にとってはかなりタメになっている。
たとえば、「サンモニ」はモリカケ問題について頻繁に取り上げてきた。いつも「疑惑」というだけで、具体的な証拠や指摘はついに出てこなかった。本コラムでは、モリカケ問題の核心についてかなり前から書いてきたが、正直に言うと、これは「サンモニ」を反面教師にしてきたところがある。
結局、筆者が言ってきたとおり、モリカケ問題において安倍総理の関与や意向が働いたという事実は出てこない。「サンモニ」の報道は基本的に間違っていたのだ。
筆者は、こうした番組を「Reverse Indicator」(逆神)とみている。つまり、そこで批判的に報道されたものの真理は、報道の意図とは逆になることが多い、ということだ。先の世界のことを読むのは極めて難しいが、そのときに役に立つのが「逆神」である。左派系の新聞でも「逆神」とするものはあるのだが、テレビ番組では、同じTBSの『報道特集』と並んで、「サンモニ」も逆神としてみれば楽しめるだろう。
さて、そのような中で、8月5日放送の「サンモニ」で取り上げられたのが①東京医大の入試問題と②水道の「民営化」についての議論、だった。これらも、やはり「逆神」としてみると興味深い。
まず①は、東京医大の入試で、女子受験者の点数を一律減点していたという報道である。これをそのまま取り上げていたのであれば「普通の報道」であるが、「サンモニ」ではこれを、自民党の杉田水脈議員の「LGBT発言」とリンクして取り上げていた。ここにこの番組の「真髄」がある。なぜなら、東京医大の入試不正はかなり以前から行われていた話だが、杉田議員の「LGBT発言」はつい最近のことであり、両者の繋がりはないからだ。
先に断っておくが、杉田議員の「LGBT発言」は論外である。話にもならないし、論じる気にもならない。
一方で、東京医大の入試不正は、いろいろな観点がある。「サンモニ」の後に同じTBSで放送される『サンデージャポン』という番組があるが、ここで医師の西川史子氏が興味深い発言をした。
「当たり前です、これは。(東京医大に)限らないです、全部がそうです」
「世の中、眼科医と皮膚科医だらけになっちゃう」
「(女性は)外科医は少ないです。外科になってくれる男手が必要なんです。おなかが大きくては手術はできないんです。だからやっぱり、女性と男性の比率はちゃんと考えてないといけないんです。男性ができることと、女性ができることって違う」
医療現場で働く西川氏ならではの発言だ。
西川氏の発言は、入試で「不正」が行われる背景には、必要悪というか、大学側の事情や理由もある、ということだろう。筆者も、西川氏の説明をある程度理解できる。ただし、その事情はわかるが、今回明らかになった東京医大の不正の問題は、やはりアウトだ。なぜなら、公平性を前提とした一般入試において、「公平な扱い」をしていなかったからだ。