チベット尼僧に性的暴力、共産党の再教育センターで 僧侶が証言=人権団体報告
中国共産党が民族同化政策の一環としてチベット自治区に設置する再教育施設では、チベット仏教の尼僧たちが看守や共産党員による性的虐待を受けているという。人権監視団体は最近、施設での拘束を経験した僧侶の証言を伝えた。
「チベット人権と民主主義センター(TCHRD)」は7月28日、チベット自治区ナクチュ市ソク県の再教育施設にいたという僧侶の証言を伝えた。共産党は人民解放軍を常駐させ同地区を厳しい監視下に置いているが、この僧侶の証言は、TCHRDを通じて秘密裏に地域外へ持ち出されたという。
僧侶は、寺院内で学んでいたある日、入室した政府関係者により追い出され、警告を受けた。「もし(チベットから)離れなければ、お前の家族を拘束する。親戚の子供は学校に通えなくさせて、家族の薬草採集を禁じる」。薬草は漢方薬の原料で、この家族の収入源となっている。
TCHRDによると、この僧侶は脅迫された上に、再教育施設に数カ月間拘束された。中国当局はこの施設を「教育機関」と形容しているが、僧侶はこれが嘘で、刑務所の一種であると理解しているという。
チベット仏教を学ぶことができる仏教学府には共産党委員会や公安局が駐留し、組織を支配している。拘束された経験を持つ僧侶や尼僧は、学府から追放され、学ぶ機会をはく奪されている。1959年のダライ・ラマ14世亡命の前、チベット地域には2500もの寺院があったが、現在では97%が取り壊された。
再教育施設では、僧侶たちの心身に徹底したダメージを負わせ、中国共産党への忠誠心を刷り込ませる。この仏僧の話によると、紅歌(共産主義を称える歌)を歌うことや、軍事訓練を受けさせられる。また、チベット仏教の信仰、精神指導者ダライ・ラマ14世および同修を批判することを繰り返し強要させられる。
数カ月間の拘束期間で「なかでも最も酷い例は、尼僧に対する虐待だった」と僧侶はつづっている。