SEにとって、転職がより有利になる資格は存在するのでしょうか。
実際に面接官をしている方によると、
SEの転職に有利となる資格は存在しない、とのこと。
資格よりも大切なのは、自分の実力を示せるアウトプットを準備することです。
逆に言えば、アウトプットをうまく提示するために資格をひとつの材料にするというのはありです。
そこで今回は、比較的取得しやすいSEが転職に有利になる資格をご紹介いたします。
もくじ [ひらく]
SEの転職に有利な資格は年齢によっても違う
SE経験者が転職する際、資格が採用試験の合否を左右することは少ないのが現状です。
資格はあくまで、そのひとのスキルを提示するための補助材料。
経験者は基本的には今までの業務経験が評価の対象です。
ただし、資格を持っていることは決してマイナスではなく、好印象となることも多々あります。
まず資格を持っていると、継続して勉強できる人物であることを相手企業にアピールできます。
また、初めて会う面接官や企業に自分のスキルをスムーズに示すことができます。
ちなみに、資格の保有は、20代前半の新卒や第二新卒者と30代以降の転職では、相手に与えるイメージがぐっと変わってきます。
20代前半の新卒・第二新卒者の資格保持はメリット多数
20代前半の新卒・第二新卒者が資格を保持していると、SE就職に大きなメリットとなります。
たとえば、志望動機や学歴などにそれほど差がないひとがたくさんいた場合、面接官にとって、資格を持っている新卒・第二新卒者は目立つ存在であり、選びたくなるわけです。
ただし、会社によっては資格をアピールしすぎると逆にマイナスになることも。
自分の受ける会社の理念や経営方針をよく理解したうえで、資格の保持を上手にアピールポイントにしましょう。
30代以降の資格保持は当たり前になってくる
30代以降の転職志願者にとっては、資格はキャリアを裏付ける材料のひとつではありますが、それほど採用には影響がありません。
30代以降の転職者は、資格よりも別のことをアピールするのがベター。今持っているスキルや経験を重ねたゆえの考えなどです。
ただ、資格は持っていても邪魔になることはないので、取得する余裕があるならぜひチャレンジしましょう。
SEの転職に有利な資格は国家資格
SEの資格には、大きく国家資格と民間資格(ベンダー資格)があります。
おすすめは国家資格です。
民間資格(ベンダー資格)は、企業が自社製品の知識が一定水準以上であることを認定するものですが、このようなデメリットがあります。
民間資格(ベンダー資格)のデメリット
- 製品のバージョンが古くなるたび役立たなくなる
- 受験費用が高い
- 資格に保持期限がある
たとえば、Javaの開発会社であるオラクル(Oracle)では、Java資格やDatabase資格を運営・認定していますが、Javaのバージョンは時とともに新しく更新されるので、古い資格を持っていても意味がないのです。
資格の有効期限が2年と定められていて、1万円以上の資格をいくつも取得する必要がある、といったこともあります。
つまり民間資格を持ち続ける場合、常に最新の技術を追いかけ、資格も更新する手間がつきまといます。
一方、国家資格なら、このようなメリットがあります。
国家資格のメリット
- 一度資格取得すれば有効期限がない
- 認知度が高いので転職のアピール材料として大いに役立つ
このような理由で、転職をするなら国家資格を取ることをおすすめします。
そして、もうひとつ、SEの資格選びにおいて重要なのは、Slerへの転職を見据えて資格を取ることです。
Slerとは「システムイングレーダー」のこと、つまりシステムを構築、導入、統合する人材のことで、一般的に年収などの待遇がSEよりあがる傾向が高いのです。
SE(システムエンジニア)に有利な資格を難易度順に紹介
では、初級もしくは中級SEにとって、取得しやすく転職に有利となるおすすめの資格について、現役面接官の意見を交えながら5つご紹介しましょう。
難易度順にご紹介いたしますので、全部は無理という方は、まず一番はじめの基本情報技術者試験の取得を視野にいれてください。
基本情報技術者試験
経済産業大臣が行う国家資格で、情報処理技術者試験の入門資格です。
基本情報技術者試験はSEに必須ともいえる資格で、3年以上の経験を持つSEはほぼこの資格を取得しています。
だいたい3~6カ月で取得できますので、ぜひチャレンジしてください。
応用情報技術者試験
こちらも経済産業大臣が行う国家資格で、情報処理技術者試験の1つです。
設計もできるベテランSEをアピールするには、応用情報技術者試験がおすすめです。
参考書などを読むだけでは合格するのは難しく、一定の実務経験が必要な試験内容。取得が難しい分、保持していると一目置かれます。
試験は、年2回・春と秋で、費用は5,000円くらいです。午前と午後に分けて試験がおこなわれ、午前の問題は基礎力を問うものなので、専用のテキストを熟読していればクリアできます。
午後の問題は、ひとつの分野について深く追求したもので、軽くテキストを読むだけでは攻略できません。
さらに分野はその試験ごとに入れ替わるので、過去の問題を参考にしながら徹底的に勉強して深く理解する必要があります。
データベーススペシャリスト試験
経済産業大臣が行う国家資格であるデータベーススペシャリスト試験。
データベースの設計から実装までの実際の実務スキルがないと合格が難しい資格です。
SEのなかでも実際に、データベースの設計から実装まですべての実務経験を持つ人材は少なく、この資格を持っていれば鬼に金棒です。
とくにこれからのビッグデータ時代において、データの保守やメンテナンスなどを担う人材は必要不可欠です。
科目は4つあり、午前1・午前2・午後1・午後2の順に試験がおこなわれます。
午前1と午前2については、基礎問題が中心なのでテキスト中心の勉強でクリアできるでしょう。
午後1と午後2の問題は、実際の実務経験を積んでいないとなかなか合格できません。
逆に、実際にデータベースの設計や実装の実務経験がある方にとってはそれほど難しくなく有利です。
システムアーキテクト試験
国家資格の高度情報処理技術者試験に含まれます。
システムアーキテクト試験は、実際にシステム構築経験をしていないと取得が難しく、総合的な技術力が求められる資格です。
難易度の高い資格なのですが、この資格の本当の価値が理解されていない側面もあります。
逆に言えば、この資格の価値を理解していない採用面接者のいる会社は選ばないのが賢明とも言えます。
企業にとってシステムというのは、会社の心臓部とも言えるものでとても大切な財産。システムをスムーズに構築できる人材は本来なら喉から手が出るほどです。
少しきつい言い方ですが、こうしたことを理解せず、短絡的に目先の利益のみを追う企業に将来は期待できません。
Oracle Certified Java Programmer
データベース大手のオラクル社が行う民間資格です。
プログラミング力をアピールしたいときにおすすめなのが「Oracle Certified Java Programmer(OCJ-P)」です。
オブジェクト指向を正しく理解していることをアピールできます。
オブジェクト指向とは、例外処理や継承、インターフェースといったプログラミングに必須の考え方です。
しかし、実はSEのなかでもオブジェクト指向を正しく理解できていない方もいて、OCJ-Pを持っていることはオブジェクト指向ができるという意味で大きな強みとなります。
資格取得には通称「黒本」と呼ばれる専門の問題集を使うのが一般的。
受験には26,600円以上かかりますが、プログラミング力をアピールできる有名な資格です。
また自分のプログラミング能力に自信を持つためにも取得して損はありません。
SEを有利に転職するためにプロに相談しよう
SEが転職するにあたり、資格とは自分のスキルを提示するための道具です。
資格はひとつの道具ではありますが、資格があるからといってすなわち採用試験に合格できるというものではないのです。
資格にとらわれすぎず、一度自分自身を客観的に見つめてみましょう。
自分のスキルやアピールポイントなど、第三者から見たときの自分をイメージすることです。
そうは言っても自分で自分を冷静に判断するのは難しいもの。
そんなときは転職コンサルタントに相談するという方法もおすすめです。
SE(システムエンジニア)の転職に有利な資格とは?のまとめ
SEが転職するとき、資格はスキルを提示するための道具でしかなく、資格があるからといって一概に有利になるものではありません。
ですが、資格をまったく持っていないと、努力して勉強を重ねる習慣のないひと、仕事への熱意がないひと、とマイナスに捉えられることもあります。
せっかくの転職を少しでも有利に進めるためにやれるだけのことをやることは大切。備えあれば憂いなしです。
- 基本情報技術者試験
- Oracle Certified Java Programmer
- 応用情報技術者試験
- データベーススペシャリスト試験
- システムアーキテクト試験
の5つは、現役面接官の目から見てとくにおすすめの資格です。
オラクルを除く4つが国家資格となり、取得すれば長い間評価の対象になる資格。
技術のスキルアップのためにもぜひとも受験を検討してみてはいかがでしょう。