よく耳にするSEという職業。実際にどのような仕事なのかを理解している人はごく少数のはず。
そこで今回は、IT業界にいる方以外にはほとんど馴染みのないSEの仕事内容を深掘りしていきます。
さらに、
- プログラマーとSEの違い
- 一日の仕事のスケジュール
- SEの年代別のキャリア
- SEに向いている人物像
なども徹底的に解説!
あなたがもしSEに興味があったり、SEなりたいと考えているなら必見の内容です。
もくじ [ひらく]
SEの仕事内容を6つの工程で見てみると
SEとはシステムエンジニア(SystemEngeneer)の略語です。
SEの仕事を大きくまとめると「顧客や自社のシステムを構築する」こと。
システム構築の目的を理解してシステムを設計、開発、テストし、さらにはユーザー向けにマニュアルを作る、保守やバックアップ管理をおこなうところまでがSEの業務です。
企業の規模や案件により多少異なりますが、システム構築は、順序立てられた工程に沿っておこなわれ、SEはそれぞれのレベルに合った工程に関わります。
ちなみに、こうしたシステム構築の工程は、秩序正しく上から下に流れ落ち、逆向きの工程がないことから、ウォーターフォールと呼ばれます。
それでは、代表的な工程を6つに分けて、それぞれもう少し具体的に仕事内容を見ていきましょう。
- 要件定義…実装される機能などシステム要件を定義する工程
- 設計…要件実現のためのシステム設計を行う工程
- 実装…プログラミング・コーディング
- テスト:単体試験・結合試験・総合試験など設計要件を満たしているかの検証
- 付帯作業:各種ドキュメント・マニュアル作成・設定・仕様書など
- 運用・保守:サーバー保守・バックアップの管理・QA対応・セキュリティパッチの更新など
工程1.要件定義
一番初めの工程である要件定義です。
これから作るシステムに求められている目的を定義する工程であり、最も重要かつ難易度が高い工程です。
システムというのは、ユーザーに寄り添うべきもの。例えば、市役所での住民票発行システムを作る場合、誰がユーザーになるかによってシステムの設計が変わってきます。
市役所に訪れる市民とそれに対応する担当職員にとっては、住民の申請どおり住民票をスムーズに発行させるシステムが第一です。
市役所の売上管理担当者にとっては発行された住民票の売上金額を管理できるシステムが望ましく、さらに市役所の情報システム担当者は、住民票の発行記録をデータに残しておきたいと考えます。
SEは、これから開発するシステムのユーザーすべての目線から、必要な機能をピックアップしてワークフローを明確化する必要があります。
この一番初めの工程に漏れやミスがあると、そのあとのシステム開発に致命的な影響を及ぼしますので、一般的に要件定義はベテランのSEが担当します。
工程2.設計
設計は、要件定義で明確化されたシステムを設計する工程です。
設計は、基本設計(外部設計)、詳細設計(内部設計)に分かれます。
一般的に設計の工程は、プログラミングスキルを有する中級もしくは上級SEが担当します。
設計は、規定のテンプレートに、
- 画面の流れ
- 表示内容
- 画面をクリックしたときの処理
- データの保存方法
- バッチ処理(一定の時間に処理プログラムを稼働させる処理)
などシステムの細かな内容を設計書に記入しておこないます。
特にデータの保存やバッチ処理、例外処理などには専門的なプログラミングスキルが必要です。
こうしたプログラミングスキルは、いくつかの案件を経験することで理解できる内容なので、はじめは分からなくても大丈夫です。
工程3.実装
実装は、プログラミング開発する工程です。
実装の段階ではすでに必要な情報が揃っているので、これまでの工程で出来上がった設計書どおりに作業を進めることができ、経験の少ない初級SEが最も携わりやすい工程です。
実装は、複数人数で一気にプログラミングするのが一般的で、ソースと呼ばれるプログラムファイルを共有できるgitやsubversionといったツールを使うことが多いようです。
こうしたツールの使用方法はそれほど難しいものではなく、経験するうちにすぐに慣れるでしょう。
工程4・テスト
テストは、これまでの工程で作られたシステムがきちんと機能して、設計書どおりの意図する結果にシステムが作動するかを検証する工程です。
テストは通常、いくつかの工程に分けておこなわれ、開発規模の大きいシステムほどテストが多くなります。単体テスト・結合テスト・シナリオテストといったものがあります。
テストをきちんとおこなって、どの視点から見ても問題のないシステムであるか検証をおこなうことは、システムの品質に必要不可欠。
バグのあるシステムを世に送りだしてしまうと、ユーザーに大きな迷惑を掛けますので、抜かりのないよう万全の注意を払います。
工程5・付帯作業
付帯作業は、システムのマニュアルや手順書の作成、場合によっては初期設定などをおこなう工程です。
とくにマニュアルや手順書は、ユーザーが最も頼りにするアイテムであり、誤字脱字のない分かりやすいことが大切です。
難易度こそ高くありませんが、システムのイメージを左右し手間のかかる工程なので、きちんと取り組める人材が必要です。
工程6・保守
保守は、システムがリリースされユーザーの手元に渡ったあとに生じるQA対応やバックアップ管理の工程です。
規模の大きなシステムにのみ発生する工程で、これまでのシステム開発の工程とは別のスキルが必要とされます。なかには、保守専門に仕事をするSEもいます。
SEの1日のスケジュール
SEの平均的な1日のスケジュールについてご紹介いたしましょう。
だいたい9~18時が就業時間で、12~13時にランチタイムをはさみます。
始業時間少し前に出社し、9時の始業とともに同じプロジェクトに携わるメンバーで情報の共有などをおこなう会議を済ませたあと、めいめい自分の開発やテストなどの業務に就きます。
18時の終業時間のあと、軽いおやつタイムや雑談タイムなどの休憩を取り、そのあと2時間くらい残業をおこなうことが多いようです。
残業のありなしは、携わっているプロジェクト次第です。残業なしで18時の終業とともに帰宅できることもありますし、逆に平日4時間の残業や休日出勤などが加わることもあります。
SEのキャリアを年代別に見てみると
次に、気になるSEのキャリア。平均的なキャリアについて年代別に見ていきましょう。
まず20代では、システム開発のプロジェクトメンバーとして従事するところからスタート。
なかには20代でプロジェクトリーダーになる方もいます。30代では、プロジェクトリーダーになるほか、より専門的な分野での開発や設計に携わり経験を積みます。
40代になると、プロジェクトリーダーの上である課長や部長といった管理職になる方も多いようです。
さらに専門的な分野の開発や設計を続け、スペシャリストとなっていきます。50代になると、これまでの経験を活かし、大きなプロジェクトの運営を任される、さらに上の取締役などの管理職に就くこともあります。
60代は、道が大きく分かれるところ。定年退職をしてSEの仕事から退く方もいれば、再雇用制度を利用してさらにSEとして働く方もいます。
SEは、ほかのIT関連の職業であるWEBエンジニアやプログラマーと比べても、いわゆるつぶしのきく職業で、経験を重ねたあと、60代でどちらの道をも選ぶこともできるのが魅力です。
ただし、なるべく大きな会社でキャリアを重ねておくほうが、60代以降にほかの仕事やほかの会社に変わる際にアピールしやすく有利です。
SEとはシステムエンジニア(System Engineer)の略。ユーザーの要望に沿ったシステムを構築するエンジニアを指します。
SEの仕事にはシステムの設計やプログラミングのほか、システムの設置、QA対応なども含まれます。
小さな会社ですと、そのすべてを一人の担当者が請け負うこともあり、IT土方と呼ばれることもあります。
理系の分野と考えられがちなSEですが、文系出身者でもなれますし未経験からSEを目指すことも可能です。
そこで今回は、SEとプログラマーの違いや、SEとWEBエンジニアの違い、SEの年収やキャリアについてもお伝えしますので、
SE業界への就職を考えている方はぜひ参考にしてください。
SEの仕事内容を工程別にご紹介
SEとは、ユーザーの要望どおりのシステムを構築する仕事で、システムの受託をするSler(エスアイアー)に属します。
たとえば、社員の出退勤記録を管理して給与を自動計算できるようなシステムを作れば、ユーザーはこれまでの人力での給与計算よりずっと楽になります。
このシステムを作るにあたり、SEは、
- ユーザーが今どんな方法で出退勤管理をしているのか
- どのように給与計算しているのか
といった細かなことを調査して、ユーザーの要望に沿ったシステムを開発、導入する必要があります。
SEの業務内容を工程からわかりやすく解説
SEのおこなうシステム開発は、大きく、要求分析と要件定義、設計、開発(プログラミング)、テスト、導入、保守と管理の6つの工程に分かれます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
要求分析と要件定義
ユーザーから発注されたシステムを具体化する工程です。
どんな部署のどんな役割の人がシステムを利用するのか、今はどんな風に業務していてどう不便なのか、
といった内容をできるだけ細かくヒアリングしたうえで、整理してこれから作るシステムを定義します。
要求分析と要件定義の工程でミスがあると、システムが完成間近になってから予定外の機能の必要性が発覚するということもあり、
場合によってはシステムごとはじめから作り直さねばならないといった大事になりかねません。
システム開発の失敗のほとんどは、要件定義の工程に原因があると言われるほど。プロジェクト成功のカギを握る工程です。
責任重大な要求分析と要件定期の工程は、入社から3年以上たった経験豊富なベテランSEが担当します。
また、Slerによっては要求分析と要件定義を別プロジェクトに分けることもあります。
設計
設計は、要件定義で定義したシステムの実現に向けてステムの設計を行う工程で、基本設計(外部設計)と詳細設計(内部設計)の2工程に分けられます。
設計書のフォーマットは企業やプロジェクト内容によりばらばらですが、Excel方眼紙が利用されることが多いようです。
設計の工程では、システムの設計書のほかテスト仕様書も作成します。テスト仕様書とは、システムが設計書どおりに作成されたらこのような動きをする、という検証項目を記載するドキュメントです。
設計の工程で出来上がった設計書をもとにプログラミングがおこなわれますので、設計を担当するSEにはプログラミングスキルが必須となります。
開発(プログラミング)
開発は、設計書をもとにプログラミングをおこなう工程です。
企業やプロジェクトの規模により設計者がプログラミングを兼ねることもありますが、だいたいの場合はそれぞれの工程により担当者が分かれています。
新卒者など初級SEは、開発(プログラミング)の工程から業務に携わることが多いです。
テスト(試験)
テストは、プログラミングされたシステムを実際に稼働させ、きちんと動くかテストをおこなう工程です。
テストは、個別の機能を観察する単体テストとそれぞれの機能を組み合わせておこなう結合テストに分けられます。
人のおこなう作業にミスはつきもの。システムのバグは発生して当然との考えのもと、バグをひとつずつ修正しながらシステムの品質を上げ完成に近づけていきます。
ユーザーがどんな動かし方をするのかを推測しながら、どんなイレギュラーな操作があってもシステムに不具合が出ないよう、さまざまなテストをおこないます。
なお、一般的にシステムリリースから1年間は、瑕疵対応(かしたいおう)と呼ばれる期間が設けられていて、システム開発会社はシステムの不具合に無償対応する形が取られています。
導入
導入とは、完成したシステムをユーザーに納品する工程で、ユーザーの社内システムにインストールをおこないシステムを使えるようにします。
通常、この工程でプロジェクト完了となります。
保守と管理
システム導入でプロジェクト完了となることが多いのですが、なかには導入したあとにシステムの保守や管理を任されることがあります。
たとえば、コンビニの商品管理システムや長期的なシステム開発です。
常にお客様の行き交うコンビニでのシステムダウンは致命的なので、そうしたトラブル防止や万が一の対応のためにシステムの保守や管理をシステム開発会社に依頼することがあります。
また、長期的なシステム開発では、システムをリリースしたあとで機能の追加などが予定されていることがあります。
SEのキャリアパスについて
SEはキャリアを重ねながら管理職を目指すことになります。
SE、プロジェクトリーダー(PL)、プロジェクトマネージャー(PM)、課長、部長といった順に昇進するのが一般的です。
SE
SEとはシステム構築をおこなうプロエンジニアです。SEは自分の所属するチームのなかで、システム設計などの業務に就きます。
プロジェクトリーダー(PL)とプロジェクトマネージャー(PM)
役職のないSEがはじめに目指すのが、プロジェクトリーダー(PL)やプロジェクトマネージャー(PM)です。
プロジェクトリーダー(PL)とは、プロジェクトが円滑に進むようチームを引っ張るリーダーです。
ユーザーとの打ち合わせ、メンバーの管理やモチベーションアップなどその業務は多岐にわたり、とにかくプロジェクトを無事に遂行するのが仕事です。
プロジェクトマネージャー(PM)の役割は、プロジェクトのマネージメントです。
たとえば、プロジェクトに適したメンバーの選定やスケジュール管理、コスト管理といったことが具体的な仕事内容となります。
プロジェクトリーダー(PL)とプロジェクトマネージャー(PM)は、違いが分かりづらく混同されがち。
さらに両者の違いが分からないくらい同じ業務内容という会社もあるようです。
ですが厳密に言うと、プロジェクトリーダー(PL)はプロジェクトの過程を管理する役職で、プロジェクトマネージャー(PM)はプロジェクトの結果を管理する役職。
また一般的にプロジェクトリーダー(PL)の上にプロジェクトマネージャー(PM)が位置付けられる構図です。
課長と部長
プロジェクトマネージャー(PM)は一つのプロジェクトを管理する役職ですが、その上にある課長や部長は複数のプロジェクトを管理する役職です。
当然マネージメントする範囲は増えます。
部下であるプロジェクトマネージャー(PM)からプロジェクトの問題点を聞き対策をする、ユーザーからの受注率をアップする策を講じるなど、高度な管理スキルが必要となります。
SEと他のIT職種との違いは?
ITの業界には、SEのほかにも、プログラマーやWEBエンジニアといった職種があります。
SEとこうしたほかの職種の違いを見ていきましょう。
SEとプログラマーの違い
システム設計の工程は、要件定義、設計、プログラミング、テスト、導入にわかれます。SEの業務はこのすべての工程です。
対して、プログラマーの業務はプログラミングとテストです。
SEは要件定義と設計をおこない、プログラミングはプログラマーに任せるという分業制が一般的。
出来上がった設計書どおりにプログラマーがプログラミングとテストの工程をおこないます。
ただし、企業によってはプログラミングまでSEがおこなう会社もあります。
SEと社内SEの違い
社内SEとは、IT業種ではない企業に属するSEを指します。
社内SEは、社内システムの構築や社内で使われているパソコンなどのトラブル対応、ITを用いた業務改善をおこないます。
通常、SEの顧客は外部ユーザーですが、社内SEのユーザーは同じ社内です。
外部ユーザー相手の仕事は、予算やスケジュール面などを折り合わせるためにSEに負担がかかることも多いのですが、
社内SEの場合、発注は社内からのものなので無理な要求が少なく、激務にならない傾向にあります。
SEとWEBエンジニアの違い
WEBエンジニアとは、WEBサイト上にあるアプリケーションを開発する職業を指します。
WEBアプリケーションとは、たとえばFaceBookのようなSNSや楽天市場に代表されるようなショッピングサイトのことで、
ユーザーはアプリケーション内で、友人の近況の閲覧、会員登録やショッピングなどをおこないます。
SEはパソコン上で作動するシステムを開発し、WEBエンジニアはネット上で動くアプリケーションを開発します。
よく似ているように思えますが、使っている言語などが全く違い、業務内容もかなり変わります。
SEは達成感を得られる仕事
SEの携わるシステム開発は、短くとも1カ月、長いと数年にわたるものもあります。
数人のメンバーで開発することもあれば数百人もの大所帯でプロジェクトが遂行されることも。
開発途中、スケジュール調整や度重なる仕様変更、さまざまなトラブル対応をしながら、システムを完成させます。
プロジェクトが無事完了したときの感動は言葉に言い尽くせないほど。さらに自分が携わったシステムがお客様に喜ばれていると考えると誇らしくもなります。
SEの仕事は過酷とも言えますが、この達成感があるからやめられないという声も聞かれます。
SEの業務内容はSlerの規模によって異なる
SIerとは「システムインテグレーション(SystemIntegration)」と「~する人(er)」を合わせた造語で、一般的にシステム制作会社を指します。
SIerには大手と中小企業が存在し、大手Slerが受注した仕事を、中小企業が下請け、孫請けするピラミッド型の構造ができあがっているのが実情。
大手とその下にある中小企業では業務内容に大きな違いがあります。
同じSEと言っても、その業務内容は所属するSlerの規模にかなり左右されます。
大きなシステム設計に関わりたいなら大手Slerに所属するのが一番です。
また、プログラミングスキルを身につけたいと中堅Slerを選択するのもよいでしょう。
零細Slerは、野心を抱くベンチャー企業もありますが、いわゆるブラック企業も多いので注意が必要です。
大手Slerに属するSEの仕事内容
すべての受注元である大手Slerに属するSEは、本来の業務である管理業務をメインに仕事をしています。
分業制が敷かれプログラミングはプログラマーに任せるので、プログラムが書けないSEも多いです。
中堅Slerに属するSEの仕事内容
中堅Slerに属するSEは、システム設計をしながら、孫請け企業の管理もおこないます。
役職がはっきり分かれていて、PM、PL、SE、プログラマーとそれぞれの役割に応じて仕事をこなします。
設計、開発、テストなど開発の最前線で活躍できる現場です。
零細Slerに属するSEの仕事内容
零細SlerのSEは、大手や中堅企業からの要望で、開発現場に派遣される形式で働くことが多いです。
派遣されたプロジェクトが完了したら、また新しいプロジェクトに移動することもしばしば。
派遣先では、プログラミングに関わることがほとんどで、設計から関われるのはまれです。
SEの年収は?
SEの年収は、だいたい200万円~1,500万円くらいと、ほかの業種と比べて高い水準です。
ただし、SE業界は残業が多いので、残業代が年収に反映されているという側面も。
20代の若年層も残業代があるため年収がアップする傾向にあります。
さらに、SEは経験を重ねスキルアップすることでさらに高収入を目指せる職業です。
SEの年収は、所属する会社の規模や業界によりかなり差があります。
たとえば金融や保険、外資系、総合電機メーカーなどの業界に関わっているSlerでは平均年収が高くなる傾向があります。
なかには30代で年収が1,000万円以上というSEもいます。
SEの平均年収は日本の平均年収より高い
総務省のおこなった平成27年民間給与実態統計調査によると、日本における正規と非正規雇用者の年間年収平均は420万円。
一方、SEの年間年収平均は522万円とかなり高い数字になっています。
もちろんこの数字は平均なので、なかにはもっと年収の低いSEもいますが、総じてSEの年収は平均より高いと言えるでしょう。
大手SIerに所属するSEは年収がより高い傾向に
同じSEでも、所属する会社の大きさによって年収が違います。総務省のおこなった平成27年賃金構造基本統計調査を見てみましょう。
20代前半で、大手企業に所属するSEの平均年収は4,106,100円、中堅企業では3,409,600円、零細企業では2,972,700円と、大手と零細企業では100万円以上の格差があります。
この格差は、年代があがるにつれより顕著となります。
たとえば働き盛りとも言える40代後半の大手企業での年収は8,711,300円、中堅企業では6,228,400円、零細企業では5,785,400円と、大手と零細企業では実に300万円近く開きがある結果。
50代をさかいに格差は少し縮まるとは言え、それでも50代前半の大手と零細の差は200万円近い数字、50代後半の大手と零細の差は約250万円です。
SIerの選び方のポイントは年収のほか、働き方も大切に
年収はSEがSlerを選ぶうえで大きなポイントです。ただし、長く仕事を続けるためにはお金以外にも仕事の充実感や働き方が大切となってくるでしょう。
確かに、金融系や外資系のSlerは年収が高い傾向にありますが、その反面高いプレッシャーのなかで仕事をしなければなりません。
日本IBMがスルガ銀行のシステム開発の失敗により74億円もの損害賠償を求められたニュースにもあったように、銀行系のシステムというのは、1円の誤差も許されない正確さとともにスピードや安定性が求められます。
またシステムの規模が大きく、開発メンバーも非常に多いので、若いSEはいわば組織の歯車の扱い。
忙しさのなかで仕事へのやりがいを見失ってしまうこともあるようです。SEがSlerを選ぶ際は、自分は何を大切に仕事したいのかをよく考えて選択しましょう。
SEの今後と将来性
昨今、IT業界の深刻な人材不足が叫ばれています。現在17万人の人手が不足しているのですが、さらに2030年には79万人の人手不足が予想されているそうです。
まさに国をあげてのIT人材の確保が必須となっている状況で、2020年以降には小学校の授業でプログラミングが取り入れられる予定です。
IDC Japanによると、現在、日本のIT市場の規模は14兆9891億円。2020年のオリンピックに向けて成長を続け、その後少し落ち込むもののIT産業が廃れていくことはないでしょう。
これからの時代、ITの分野は国の必須産業であり、ITスキルを身につけていれば、SEの仕事はいつでも見つかるでしょう。
SEに向いている人とは?
まず、SEの業務は長時間勤務になることが多く、残業や休日出勤も覚悟せねばなりません。ですから、とにかく体力や気力のある人がSEに向いています。
また、どんなに忙しくてもストレスに負けずに、はねのけていく精神力が必要です。
たとえば仕事が忙しい日でも少しの休憩時間を上手に使ってストレス解消する、たまの休日に気持ちを切り替えて趣味に没頭する、などストレスを上手に発散できる人はSEに向いています。
さらにSEは仕事柄、自分の分からないことを自分で調べる能力が必要です。
なにか分からないことが出てきたら即座にネットなどを使って調べて、分からないところを分からないままにしておかないこまめな努力ができることが大切です。
最後に、IT業界は、常に新しい技術や情報を追い求める世界。日々進化を遂げる技術や情報を知っておかないと、ユーザーに的確な提案ができないなど業務に支障をきたしてしまうこともあります。
いつもアンテナを張り、新しいことに興味を持ち勉強を続けられる人がSEに向いています。
SEになる前にプログラムの基礎スキルを身につける3つの理由
SEになる前にスキルを身につけておくことを強くおすすめします。
その理由は大きく3つ。SEになる前にスキルを身につけておかないと生じるリスクがあるのです!
スキルが必要な理由①新卒研修だけでは不安
一般的に、企業には新卒研修がありますので、SE未経験で入社しても基本的な知識やスキルを身につけることができます。
ただし、数ヶ月の新卒研修だけだと少し不安が残る方もいらっしゃるでしょう。
そんなときにおすすめなのが事前にプログラミングスクールに通うことです。
実際の現場での即戦力となり同期よりも一歩先に進めるかも知れません。
スキルが必要な理由②スキルがあると配属希望が通りやすい
入社前にスキルを身につけていれば、自分の得意な言語を扱っているプロジェクトに配属されるといった風に、配属希望が通りやすい傾向があります。
また、自分自身で将来のキャリアパスを描けている人物は、今後の業務でさらに技術を磨きキャリアアップしていける可能性が高まります。
スキルが必要な理由③開発分野以外への配属になる可能性がある
数カ月の新卒研修でスキルが身につかなかった場合、運用や保守といった開発の最前線ではない部署に配属されることがあります。
運用と保守も大切な業務でありはじめのうちは覚えることが多いですが、開発分野と比べるとスキルアップや実績の積み重ねが期待できません。
文系や未経験者でSEを目指すならプログラミングスクールを活用する
理系の印象が強いSEですが、文系の人でもSEになれます。
また未経験からSEの仕事に転職することも可能。文系の人や未経験者がSEを志す場合、プログラミングスクールに通うのがおすすめです。
プログラミングスクールには、通学形式のほか、在宅で学べるオンラインスクールもあります。
なかには講師とマンツーマン形式のところや、卒業後に就職できなかった場合受講料を全額返還するサービスをおこなっている学校も。
たくさんあるプログラミングスクールのなかから自分のスタイルに合ったところを選びましょう。
プログラミングスクールは転職や就職に強いところを選ぶ
プログラミングスクールのなかには、転職や就職の保証をしてくれるところがあります。
なかでもおすすめなのは「プログラマカレッジ」と「WebCamp Pro」。
カリキュラムに自信を持っていますので、スムーズにスキルを身につけられます。
スクールでスキルを身につけたら転職エージェントで仕事を探す
プログラミングスクールで技術力を身につけたら、次に転職エージェントを利用して仕事を探すのがおすすめです。
たとえば「マイナビジョブ20's」では、ひとりひとりに専任のアドバイザーがついてくれます。
綿密なカウンセリングや希望に沿った求人紹介のほか、履歴書や職務経歴書の添削、面接指導、面接日程の調整までしてくれ、サービスはすべて無料です。効率的な転職や就職活動ができるでしょう。
SEは意欲があればなんとかなる
SEは理系の職種と思われがちですが、実は文系や未経験からでも仕事することが可能です。
文系や未経験者がSEを志す場合におすすめなのがプログラミングスクールの利用です。
プログラミングスクールでスキルを身につけたら、いざ就職です。
同じSEでも所属する企業の規模によって、業務内容や年収が変わってきますので、自分がどんな風に働きたいのかをしっかり思い描いてから就職先を決めましょう。
就職や転職には転職エージェントを利用するのもおすすめ。効率的により自分に合った企業を見つけることができ、理想のキャリアを歩んでゆけます。
SEにとって最も大切なのは、やる気です。意欲さえあれば今後立ちはだかるであろう様々な問題を乗り越えていけるでしょう。
SEに向いている人物像とは?
最後に、SEに向いている人とはどんな人物なのでしょうか。まず、プログラミングが好きなひとやシステムに興味があるひとは間違いなくSEに向いています。
はじめはプログラミングがスムーズにできなくても大丈夫。とくに若い世代なら男女問わず未経験でも採用してくれる会社が多いです。
就職する会社を選ぶ際は、なるべく大きなSlerを選択しましょう。小さなSlerはどうしてもシステム開発力に劣るといったデメリットがあり、同じ経験を積むのでも、大手と比べて大きな差がついてしまいます。
もうひとつ、重要なのは残業に対する考え方です。一般的にSEの残業は自分が携わるプロジェクト次第で、同じ会社でもプロジェクトによってまったく異なります。
プロジェクトがスムーズに進んでいれば、それほど残業はありませんが、開発が遅れていたり何か問題があったりするとどうしても残業は必須となります。
SEになりたいけれど、残業は避けたいという方におすすめなのは派遣社員です。なかでも大手Slerを派遣先としている大手派遣会社がよいでしょう。たとえばパソナテックは一部上場している大手派遣会社で安心です。
SEの仕事内容とは?6つの工程や一日のスケジュール・SEの仕事内容まとめ
SEの仕事内容、1日のスケジュール、年代別のキャリア、向いている人物像についてご紹介してきました。
とくに若い世代なら、未経験でもSEとして採用されることも多いので、興味のあるかたはぜひチャレンジしてみましょう。
とくに大手Slerを選べば、プロジェクトの運営能力や技術力が優れているので勉強になりますし、キャリアを積み重ねることができます。