挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
気付いたらオークになっていたので日記をつけることにした 作者:藤屋順一

第一章 集落と周辺の環境を良くすることにした

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
24/43

豚日記24

豚歴1年2月11日 曇り


朝飯を終えたらゴリさんに言われて他の豚畜生と一緒に野良仕事をしていた。

オークなのになんで葉っぱについてる虫を取ったり草むしりしたりと辛気臭いことしなきゃならんのか疑問だが、ぼちぼち収穫が近い作物もあるからまぁ許してやるか。

なぜか今日はマリアが横にくっついて一緒に作業していた。きっと悪事を働かないか監視しているんだろう。

日が傾き始めたくらいの時間に例のデカい白い鳥が飛んできて一人のエルフを置いて行った。

シロと約束していた奴隷にするつもりだった奴だ。「つもりだった」と言うのはそれが奴隷にするには無理がある存在だからだ。

ティエラと名乗るそいつはこの世のものとは思えない美貌を持つ成人のハイエルフで、二百五十年生きて五人の旦那と死に別れ、魔王討伐のパーティーにもいたと(うそぶ)く規格外だ。

シロの事を「あの子」と呼び、豚畜生の族長に頭を下げて挨拶し、人間もエルフも豚畜生も「愛おしいもの」として等しく扱う。こりゃエルフ共が持て余してこちらに寄越してくるのも納得の魔女だわ。

自己紹介をするとすぐに俺が人間としての意識を持っていると見抜いて「ログ君」と呼んできた。

そんで今現在ティエラの目の前でこの日記を書いている。ティエラによると俺の書いている文字はこの世界の物じゃないらしい。まぁ、知ってたけど。

何を書いているのが聞いてきたから「俺と話ができる頭の良い別嬪さんが来て嬉しいと書いている」と答えたら笑っていた。酒はないのかと聞いてきたから無いと答えたら残念がっていた。調達先の糞ド田舎貧乏村にンなもんある訳ねぇ

酒は飲むし夕食に肉も食ってたし、エルフのくせに生意気だと言ってやったら「今更守る掟なんてないわ」と答えた。面白い奴だ。

そうしているうちにマリアが様子を見に来てティエラと何か話している。何の話か聞いたら今晩の寝床の相談らしかった。

ティエラは木の上でも俺の腹の上でもどこでも良いと平然と言ってきたんで女共と穴倉で一緒に寝るように言ったら大人しく従った。



豚歴1年2月12日 曇り


豚畜生共と女共が全員揃って朝飯を食うこの集落の習慣にティエラは感心していた。

食った後集落を案内してやると俺の作った東屋や豚畜生が世話をしている畑に対して「頑張ってるけどイマイチね」と笑いながら言ってきた。

そんな事はわかってるからお前がここに居るんだろと言い返したら面白がっていた。こいつにとってはエルフの村よりここの方が好きだそうだ。

豚畜生の集落以下とかどんな魔境なんだよと思ったが、すぐそばにある糞ド田舎貧乏村もこの集落以下だから似たようなもんか。

とりあえず何をするにも道具が足りないという事でヤリモク町へ調達しに行こうとティエラに言うと、当然のように「そこにある村を襲撃して調達したら良いじゃない」と言ってきたんで笑ってしまった。

貧乏村の惨状を説明すると納得してエルフなら街で買い物できて金は腐るほど持ってるからと買い出しで済ませる事を提案してきた。

こちらとしてもその方が好都合なんでゴリさんからノラの作った服を貰って二人で買い出しに出た。

ヤリモク町へ行く道中でなんやかんやと話したが、ティエラは俺とマリアの関係に興味を持っていてあわよくばくっつけようとしているらしい。大きなお世話だ。

こいつには嘘が通じねぇし放っておくと何をしでかすかわかんねぇから俺がマリアについてどう思っていてどうしようとしているかを正直に話してやったら真剣に聞いていて協力をする約束を取った。

ヤリモク町に着くと首輪をつけて紐を繋げてティエラに持たせて一緒に買い出しをした。これなら驚きはされるが敵としては認識されないんで町中を歩ける。

マーケットを回って必要な道具を一通りそろえるとズダ袋いっぱいになった。その後酒場へ行き色んな酒を大量に買い込んでいた。誰が運ぶと思ってんだよ。

結局糞重いズダ袋二つ抱えて街道を二時間歩いて帰ることになった。

久しぶりに人の町を楽しんで酒も買えたティエラは上機嫌で俺の首輪の紐を引いてきた。

町を出たんだからもう要らねぇだろ。畜生。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。