性差別大国日本の現状は、世界に対する恥さらし

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

このところ、日本の性差別に関するニュースが海外メディアで多く取り上げられている。

多く取り上げられているというよりは、日本でこの手の性差別問題があまりに多く、海外にも漏れ聞こえるほどである、と言った方が正しいだろう。

一番新しいところでは、東京医科大学が女子受験者の点数を不当に一律減点していた事実がすでに報道されている。

米ワシントンポスト紙は、東京医科大のみならず日本国内の多くの医学部で同様の不正が行われ、広く女性差別を行っているであろうということ、それが女性医師比率の低さにつながっていることまで報道している。

さらに、日本の女性の大卒比率は5割であり、この数値は世界でも有数の女性の教育の高さであるにもかかわらず、職場での女性差別、育児や介護の負担を押し付けられることで、多くの女性がキャリアを諦めている事まで伝えている。

Washington Post: Japan urges quick probe of female med school discrimination

また、安倍晋三氏による肝いりで中国ブロック比例第一候補として当選した自民党の国会議員、杉田水脈氏によるLGBT差別発言も世界中で報道されている。

英ガーディアン紙は、杉田氏を安倍首相の「同盟者」として紹介しつつ、自民党の議員たちがこの問題発言に対して積極的な対応をしていないこと、また他の自民党メンバーによる女性差別発言なども取り上げている。

The Guardian: Japanese MP calls LGBT community 'unproductive'

そして、英国BBCが伊藤詩織さんレイプもみ消し事件を報道したことも記憶に新しい。

伊藤詩織さんが元TBS記者の山口敬之氏による強姦を訴え出るも、山口氏が逮捕も起訴もされなかった事実について、それが女性差別的な日本の司法制度によって阻まれたことを詳細に報道した。

英国含め、多くの先進国では合意の無い性行為、泥酔状態の相手に対する性行為は強姦(準強姦などではない)として法律的にも社会的にも認識される、深刻な犯罪行為である。

そのため、泥酔した女性を相手に性行為をしたことを山口氏本人が認めているにも関わらず、逮捕も起訴もされず、「自分は強姦していない」という言い訳がまかり通ること自体が、多くの先進国においては非常にショッキングな事実であり、この報道は日本の女性差別の現状を知らしめるものであった。

Japan's Secret Shame

Japan's Secret Shame: Shiori Ito: Japan’s attitudes to allegations of sexual violence are locked in the past

たった数か月の間で、これだけ世界のトップメディアが「日本の性差別」を報道しているというのは、恥ずべきことである。

日本では日常的に性差別的発言・行為・事件が起きているが、その中でも異常なものがニュースになる。

そして、諸外国のメディアはそれが日本の性差別の現状の氷山の一角であることをしっかりと認識している。

性差別に高い問題意識を持っているからこそ、日本人が思っている以上に、そしてときに日本のメディア以上に詳細な報道をしているにすぎない。

これは、海外メディアがことさら日本に批判的だからというわけではない。

日本人の差別に対する意識が甘すぎるだけである。

日本で一体どれだけの人が、日本の性差別状況の異常性に気づいているのだろうか、と私は不安に思っている。

なぜ自民党の政治家は女性差別やLGBTQ差別の発言を何度も何度も繰り返すのか?

なぜ日本の司法制度は伊藤詩織さんのレイプ被害を刑事事件として認識せず、日本社会は加害者ではなく被害者を追い込むのか?

それは、多くの日本人がこれらを「許しがたい差別行為」だと考えていないからだろう。

殆どの日本人は、女性や性的少数者に対する差別や加害行為に「知らんぷり」を決め込むことで、差別の現状維持に加担している加害者である。

性差別に限ったことではないが、日本人は差別に対する加害意識が希薄すぎる。

「女性は差別されている」「性的少数者は差別されている」ではなく、「日本は女性を差別している」「日本は性的少数者を差別している」「私は日本社会に生きることで、この差別に加担している」と認識すべきだ。

女性であろうが、性的少数者であろうが、日本社会に生きている限り、多かれ少なかれ「社会による差別」に加担している側面はある。

女性を過度に性的に描いたコンテンツ、平然と女性の容姿を笑いものにし、同性愛者に対する差別的表現やジョークを垂れ流すバラエティ番組、女性アナウンサーに添え物程度の役割しか与えない報道番組。

こういったものを、何の批判も無く視聴・消費しているだけでも、「女性は容姿だけ愛でるモノとしての役割しか無い」「LGBTは異常」という女性差別・性的少数者差別に加担しているのと同じことだ。

だが、日本の女性差別・性的少数者差別を最も助長しているのは、政治でも、経済でも、文化でも社会のあらゆる場所で「圧倒的多数者・権力者」として君臨している(異性愛者の)男性である。

社会の半分は女性だが、女性は政治・経済・文化のあらゆる分野で活躍できていない。

すでにそのポストで多数を占め、権力を専横している男性が、女性にその地位を譲ろうとしないからだ。

性的少数者の状況は言うまでもない。

差別の被害に遭っている女性や性的少数者が自力で現状を変えることは難しい。

「圧倒的多数者・権力者」である日本人(異性愛者の)男性が「自分は差別の加担者であり、この構造を助長している」という認識を持つことなく、この現状が変わることは無い。

多くの男性は、こうして下駄をはかせてもらっている美味しい状況を変えたくはないだろうし、その必要性も感じないだろう。

だが、同じ人間としてそれでいいのかと、私は問いたい。