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大量拡散の「韓国人による日本人女児強姦」はデマニュースか サイトは間違いだらけ

外務省も把握していないこの「事件」の記事は約2万シェアされた。「韓国、日本」が見出しに入ったコンテンツとしては、この1年間で7番目に拡散している。

UPDATE

更新:このサイトの運営者は後日、BuzzFeed Newsの取材に応じ、記事がすべて「フェイク(偽)ニュース」であったことを認めています。

関連:韓国デマサイトは広告収入が目的 運営者が語った手法「ヘイト記事は拡散する」

1月17日に配信された記事の内容は、こうだ。

ソウル市裁判所にて日本人女児を強姦したとして起訴されたイ・ムヒョンに判決が下され、一審の判決を覆す無罪が言い渡された。

事件は2000年に日本から観光を目的として訪れた四人連れ家族のうち、11歳と9歳の姉妹がムヒョンに強姦されたというもの。

キム・ジュン裁判長は「被告が真の犯人である可能性は極めて高く、他に犯人がいるとは考えられないが、被害者が日本に帰国したため罪を無理に罰する必要もなく、無罪が妥当と考えられる」と述べた。

真実であれば、日本人が巻き込まれた重大な事件だが、この記事以外に同様の報道はない。

これほど大きな判決であれば、外交問題に発展してもおかしくない内容にもかかわらず、だ。

発生時とされる2000年ごろはどうか。BuzzFeed Newsが主要5紙や朝鮮日報の報道をデータベースサービス「G-Search」で検索したが、該当する報道は類似案件も含めて、見つからなかった。

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外務省は把握しているのか。BuzzFeed Newsの取材に対し、海外邦人安全課の担当者は「2000年に韓国で同様の事案が発生したという報告は外務省としては受けておらず、承知していません」と答えた。

ただ、すべての事件を把握できるわけではないという。

「殺人事件ですとウィーン条約上、現地の警察が事件を把握したら大使館に連絡しなければならないことになっています。しかし、日本人が被害者になった事件すべてを届けないといけない義務はありません」

「そうなると、あくまで本人が大使館に相談をしたケースしか把握できません。強姦ですと、プライバシーの問題もありますので、把握できていないものもあります」

このサイト下部には、「関連外部サイト」として韓国語のページにリンクが貼られている。「韓国新聞」というサイトだ。

korean-newsspot.blogspot.jp

ただ、「韓国新聞」という新聞社は、韓国には存在しない。また、サイト内の韓国語の不備を指摘する声もある。

韓国語で書かれた同じ記事を見てみると、日本語記事では「イ・ムヒョン」である犯人名が、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領になっていたり、助詞の使い方が不自然だったりする部分があるという。

韓国語ネイティブに読んでもらったところ、「自動翻訳を使っているのがバレバレ。韓国語として文章になってない」と指摘した。

実際、画像を見ればわかるように、記事の下部には「聞こえん」と、日本語の原文が残っていることが確認できる。

これだけ怪しい記事だが、大きく拡散している。シェア数を測るツール「Buzzsumo」を使って確認すると、FacebookとTwitterで計1万8千件以上シェアされていた。

この1年間にシェアされた「韓国」と「日本」の二つの単語が見出しに入ったコンテンツとしては、7番目に多い数だ。

Facebookでは「本当なら無茶苦茶だ」「日本人相手なら、どんな犯罪も無罪らしい」などというコメントとともに拡散。1万5500件以上のリアクションやシェア、コメントを獲得している。

一方、Twitterでは元在特会会長の桜井誠氏が1月20日、「これこそヘイトです。日本人は強姦大国韓国に行くべきではありません」とツイート。2000件以上リツイートされるなど、拡散の一助となっている。

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このサイトには、ほかの記事でも様々な内容の情報が掲載されているが、実在しない企業や地名が散見される。

たとえば、慰安婦像建設に100億円を拠出したとされる財閥系企業の「ミオスン電機」「ヨウク自動車」「サイホ自動車」は存在しない。雪崩があったという「韓国陸方山スキー場」の「陸方山」は中国にある山だ。

どれもソースは示されていない。

このサイトは誰が何の目的で公開しているのか。こう説明がある。

大韓民国民間報道は韓国国内で日本向けには報道されていないニュースを中心として記事を作成する唯一のサイトです。

日本では知られているニュースは韓国で報道されるニュースのわずか1%だけです。 大韓民国民間報道は日本に出てないニュースを国中からかき集めて伝えます。

Whoisサービスを使って調べたところ、「korean-news.xyz」のドメインが取得されたのは、1月16日。初めて記事が投稿された1日前だ。

BuzzFeed Newsは、サイトに掲載されているTwitterの「大韓民国民間報道@公式アカウント」に連絡を取った。

取材を申し込むためにメッセージを複数回交わしたが、取材の見返りとしての謝礼要求を断ったところ、「それでは大韓民国民間報道の管理人ではないフェイクアカウントとさせていただく」と返答があったため、連絡を止めた。

一方、このアカウントは、Twitter上での別のユーザーとのやり取りで、「本サイトは本誌の独自取材によるものです」と答えている。

「そしてソースの韓国記事がでたらめではないかというご指摘を各所からいただきましたが、各記事に貼っておりますリンクの韓国新聞は私どもが運営しております2次発信サイトであり、ソースではありません。私どもがソースです

サイトにはすでに、「デマ」などの指摘が相次いでいるが、それ以上に元の記事が拡散している。

また、先出の桜井氏はTwitterで「今現在に至っても虚構記事を流した本人から謝罪も釈明もないから本物の記事として見なす」と述べ、1月24日現在、投稿を削除していない。

Facebook上では1月24日夕方現在、この記事をシェアしようとすると「このリンクには問題がある可能性があります」との指摘が表示されるようになっている。

Facebook

メッセンジャーではURLの送信すらできない。

BuzzFeed Newsは、Facebookにこの状況について問い合わせた。日本の広報担当者はこの件について、確認していると述べた上で次のように説明した。

「フェイクニュースの拡散に関しては、弊社も真摯に受け止めています。米大統領選のときにフェイクニュースが選挙結果に影響したという指摘もあり、『私たちのプラットフォームの中でも、クオリティの高い情報が拡散されるべきだ』という想いがあるためです」

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米大統領選におけるフェイク(偽)ニュースの拡散について報じたBuzzFeed Newsの調査がある。大統領選の最後の3カ月間、Facebook上では選挙に関して、主要メディアのニュースよりも、偽ニュースの方が高いエンゲージメントを獲得していたことが判明している。

BuzzFeed

この問題を受け、Facebookも対策に乗り出した。アメリカやドイツでは、すでにニュースが「虚偽かもしれない」場合、報告できるようになっている。

報告を受けた記事は、報道機関などが入る第三者機関のチェックを受ける。虚偽とされた記事には警告が出るようになるという。

ただ、この機能は日本語や韓国語にはまだ未対応だ。担当者はこう語る。

「情報の質を上げるのが一番の目的なので、どこの地域でも対応できる体制にしたい」

なお、BuzzFeed Newsと「公式アカウント」のやり取りは、「韓国デマサイトの管理人やけどもBuzzFeedの記者からDMがきた」として、掲示板「おーぷん2ちゃんねる」で公開されていた。

Twitterアカウントにアクセスできる人物がスレッドをつくったとみられるが、この人物と「大韓民国民間報道」の管理人が同じ人物であるか、確証は取れていない。

ただ、この人物は、サイトの情報が「デマ」であると明示。さらに、目的が「広告収入」であるとも書き込んでいた。

Kota Hatachiに連絡する メールアドレス:Kota.Hatachi@buzzfeed.com.

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