Hatena::ブログ(Diary)

WASTE OF POPS 80s-90s

2018年08月04日

先刻、眉村ちあきワンマン@新宿LOFTから帰宅いたしました。
とりあえずTwitterでは「やべえものを観た」と書きましたが、それで終わると非常に馬鹿っぽいものの正味大変言葉にしにくい。ここから言葉にしていきます。ので、多分取っ散らかる。

宇宙から眉村ちあきが飛来してLOFTを爆破するという酷い茶番と、でもそれなりに作り込んだ映像。すごいスモークと、ステージ上に置かれた巨大風船、それを割りに出てくる吉田豪氏(彼の出番はこれのみ)と、風船の中から出てくる眉村(父)。
頭がおかしいオープニングから繰り出される頭のおかしな楽曲群。真面目な歌と馬鹿な歌とパートを分けるようなことはなく、逆にむしろ敢えて入れ子にしているような曲順。それでも怒涛のキャッチーと間違いのない歌唱力で気持ちはどんどん持っていかれる。

ほとんどMCは入れずにグイグイ進むのですが、途中であの天井クソ低いLOFTなのにゴムボートに乗ってクラウドサーフしたり、登場時の宇宙服風衣装→Tシャツ→ビスチェ風の水着という、衣装替えというよりはただの脱衣だったり、余興はいろいろぶっこんでくる。

用意された新曲は「初めて作ったラブソング」とのことですが、恐らく今後「うんこの歌」「ゲロの歌」に続く「ハゲの歌」と称されることは間違いなく、もう一つの新曲のタイトルは「荻窪選手権」。タイトルだけでもう持っていかれるのに詞もメロも最強に馬鹿。

アンコールはいきなりオペラ曲をガチ歌い、と思ったらいきなりドラムキットに座って叩きながらAerosmithsの「Walk This Way」をガチカバー。もう滅茶苦茶です。最高に楽しいわけです。演出も、馬鹿みたいなスモーク、馬鹿みたいなレーザー、馬鹿みたいな銀テープ。LOFTなのに。結果、満員ですが赤字だそうです。馬鹿だな。


CD聴いた時にこのようなことを書いたのですが、ライブ観た後の結論としてはやっぱよくわからん。承認欲求の塊であることは間違いないと思いましたが、その欲求を軽く超えていく才能とホスピタリティ。何なんだ彼女は。
ただ、何となく「わからない理由」まではわかったような気がした。どこにも彼女を置く「棚」がないんですよ。今まで様々な大衆音楽を聴いてきましたが、彼女に近しいものに思い当たらない。
だから「アイドル」という体で出てきた理由もわかるわけです。「アイドル」というラベリングには音楽性は含まれておらず、かつ現在のアイドルシーンは正味音楽なら何でもいい状態になっているので、彼女の居場所としてはむしろそこしかない。

ようやくアンコール前のスクリーンでトイズ・ファクトリーとつるんだことも正式に発表されたわけですが、そこも納得度高い。例えばエイベックスは自社制作ミュージシャンであればどちらかと言えば「今あるジャンルに乗っけることがうまい」レーベルですが、トイズは過去より、ゆず、湘南乃風、EGO-WRAPPIN' 、BABYMETALと、「既存ジャンルあまり関係なく、そのミュージシャンに合った場所を見つけることがうまい」レーベルなので。
ただ、最近の英米ほどではないにしても、現在の日本もリスナーに「このジャンル」と認知されたところにいない人は受けにくい世の中です。彼女自身MCで「自分がやると決めたことしかやらない」と言っていましたが、レーベル側の担当が、彼女の「決定」にいかにポジティブに関与できるかのディレクションによって相当に今後は変わっていくと思います。ミスるなよ。

そして次のワンマンは来年6月、新木場スタジオコースト。ファーストワンマンの動員が90名、2回目の今日はLOFTで450名ということですので、5倍5倍で進めようとしているわけです。
アイドルシーンのみならず、いろいろと小規模で回そうとするビジネスが目に付く昨今の音楽シーン、本当に楽しそうに演じ、馬鹿みたいにそれが伝わってくる、そんな彼女がぶち抜いてくれるとそれは相当に爽快です。
とりあえず彼女には、日本の音楽シーンの将来を背負わせることにしました。俺内で。