一面名古屋40・3度、過去最高
日本列島は三日も高気圧に覆われ、東海地方を中心に猛烈な暑さとなった。名古屋市は一八九〇(明治二十三)年の観測開始以降最高の四〇・三度を記録した。岐阜県美濃市と並んで同日、全国で最も暑かった。名古屋のこれまでの最高気温は一九四二(昭和十七)年八月二日に記録した三九・九度だった。東京二十三区、大阪、名古屋の三大都市で四〇度に達したのも初めて。 名古屋地方気象台によると、太平洋とチベットの両高気圧が日本上空で重なっていることに加え、東海地方では、北西や西の風が鈴鹿山脈や伊吹山地を越える際、高温となって吹き下ろす「フェーン現象」も起きたとみられる。 三日の最高気温は岐阜市で三八・九度、津市で三八・一度、大津市で三七・六度、長野市で三二・九度、福井市で三四・四度だった。 愛知、岐阜、三重、滋賀、長野、福井の六県では、三日夕方までに少なくとも百十三人が熱中症の疑いで搬送された。 四日の予想最高気温は名古屋三七度、岐阜三八度、津三四度。気象台によると西からの高温の風が弱まり、三日ほどの酷暑にはならない見込み。だが、五日は名古屋と岐阜で、最高気温が三九度と予想されており、暑さは厳しくなる。 ◆山越えの風、高温を誘発全国の大都市の中でも、どうして名古屋は暑いのか。 大和田道雄・愛知教育大名誉教授(気候学)は「吹き下ろす空気が高温になる『フェーン現象』が起きやすい地形になっている」と指摘する。 日本列島のくびれで、日本海側の若狭湾から太平洋側の伊勢湾までの距離は短く、風の通り道になっている。西側の大陸付近に高気圧がある場合、北西からの風が濃尾平野に入りやすい。風は、名古屋の西にある標高千メートル級の伊吹山地と鈴鹿山脈を越える際、フェーン現象を起こす。越える山が高いほど、気温は上昇する傾向にある。 東京の都心や大阪は、名古屋のような風の通り道にはなっておらず、風上となる西側にも高い山地が少ない。 名古屋は他の大都市と同様に、都心のコンクリートやアスファルトなどによって熱が蓄積される「ヒートアイランド現象」の影響も受ける。 名古屋大大学院環境学研究科の飯塚悟准教授(建築・都市環境工学)は「名古屋の都心は、夜になっても気温が下がりにくい」と指摘する。 また伊勢湾は内海で、外海と比べて水温が高いといい「名古屋に吹く海からの風も、温度が高くなりやすい」と説明している。 (安福晋一郎) 今、あなたにオススメ Recommended by |
|