2020年、理想の病院デザイン:ギャラリー

裏返すとタブレットになる食事用テーブル、組み込みセンサー付きのトイレ、そしてセンサーやディスプレイを組み込んだ家具や壁など。新たな病室のアイデアを、非営利のデザインファームが考案した。

TEXT BY JOSEPH FLAHERTY
PHOTO BY NXT HEALTH
TRANSLATION BY WATARU NAKAMURA

WIRED NEWS (US)

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    1/8部屋のなかにスクリーンを組み込むことで、小さなモニターやプリントアウトした紙を見る必要がなくなり、また生体情報は適切な場所に表示できるようになる。
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    2/8コンセプト自体は未来的なものだが、この部屋を見てもわかるように多くの設備は現在の技術で実現できる。
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    3/8患者の食事用テーブルは、裏返すことで照明の調節や治療データの確認、ナースコール、ゲームなどに利用できるものになるという。
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    4/8家具や壁などにセンサーやディスプレイを組み込んだ将来の病室は、手動の記録作業の必要性や医療ミスを減らし、治療の品質を向上させることができる。
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    5/8将来の病室は従来の救命設備に加え、照明の色を変える機能もある。これにより室内の雰囲気を変えて、患者の精神状態を安定させることができる。
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    6/8シャワーには観音開きになるふたつのドアがついており、車椅子の患者も容易に利用できるようになっている。
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    7/8壁に組み込まれたタッチスクリーンは、折りたたむことでスペースを最小限にすることができる。
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    8/8トイレの組み込みセンサーでは、従来集めづらい生体データも収集、表示することができる。

病院建築において、医者と建築家の間には確執がある。建築家は大胆な構造をつくりたがる。それに対し、医者は患者の心を和らげるような病室を求めている。しかし、両社の隔たりを埋めるような新たな病室のアイデアを、非営利のデザインファームであるNXT Healthが考案した。

このプロジェクトは「Patient Room 2020」と呼ばれ、米国医師会の要求とアップルストア的な要素を混ぜあわせ、映画『Tron』のデザイン要素をわずかに加えたような病室デザインが提案されている。同プロジェクトで考案された病室には、曲線的な白いパネルと光沢のあるアルミニウムの備品が溢れている。また、ところどころにバックライト付きのディスプレイやタッチスクリーンが組み込まれ、生体情報や治療データに容易にアクセスできるようになっている。

「テクノロジーはそれぞれの治療を橋渡しする結合組織のようなものにならなければならない」と同プロジェクトのクリエイティヴディレクターであるデヴィット・ルスヴェンは話す。「なぜなら、物理的環境はいかようにも変わることがあるからだ」(ルスヴェン氏)

過去20年で病院間の競争はますます激しくなっており、各病院はホテルなどの設備が整った客室からデザインのヒントを得てきた。木材の質感やパステルカラーの利用などはこういったものの一例で、家庭的な雰囲気で患者をリラックスさせることができる。しかし、こういった病室は消毒や新たなテクノロジーの統合という面で課題が多かったのも事実だ。

「われわれは病室がいかに機能すべきかをまず考え、その上で最適な機能に基づくデザインを考案した」とルーヴェン氏は話す。こうして完成したのが、モダンでありながら1950年代や1960年代の病室からもインスピレーションを得た今回のデザインだ。この病室内では、重要な健康データが医者にもっとも使いやすい場所に表示される。また、患者もスイッチやノブに戸惑うことなく、タッチパネルで照明などの室内設備を操作できる。

今回はそんな未来の病院のデザインを、紹介しよう。

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