いきなりですけど、暑いですね。何なんですかね、今年の異常な暑さは。
35度は当たり前、ヘタすると40度を超えちゃう外気温。ちゃんとした料理を作る体力も食べる気力もないときは、簡単でおいしい冷たい麺料理なんてどうでしょうか、というのが今回の記事です。
好みの生麺を選ぼう
冷たい麺料理といえば冷やし中華ですが、毎日同じ味だとやっぱり飽きます。そこで生麺を単品で買ってきて、超簡単で、バラエティ豊かで、作った感があって、オリジナリティあふれる冷やし中華を作ってみましょう。
ということで、まずは麺選びです。生麺の冷やし中華というとタレ付きの3食入りが定番ですが、タレと麺を分けて考えると、一気に味の幅が広がります。
市販されている生麺(中華麺)の種類は意外と多く、2軒のスーパーを回っただけで、これだけの種類が揃いました。
▲麺を選ぶ段階でもう楽しいんですよ。
冷やし中華専用の生麺というのはあまり売られていませんが、普通のラーメン用やつけ麺用で大丈夫です。冷やし中華の定番は細い縮れ麺ですが、ストレート麺だって、極太麺だって、卵入りのツルツル麺だってOK。好きな麺を選べるだけで、なんだか無限の可能性を感じませんか。茹でた麺を水で締めると硬くなるので、少し長めに茹でるのがコツ。
市販の調味料とドレッシングで作る冷やし中華のタレ
麺を選んだら、それに合わせる冷やし中華のタレ作りです。「冷やし中華のタレ」として売られている商品がなくても、身近な商品の組み合わせで自由自在に作れます。
味のベースにするのは、
・鶏ガラスープの素(小さじ1)
・濃縮タイプのめんつゆ(大さじ1)
・ポン酢(大さじ1)
これでコクと出汁と酸味が組み合わさりました。ちょっと味を想像しただけでもうまそうでしょう。配合はお好みで加減してください。
▲自炊派の家ならきっとあるこれらの調味料が味のベース。
このベースとなるタレに味の方向性を与えるのが、市販のドレッシングです。大さじ1~2を加えてください。
中華ドレッシングを入れれば、いわゆる冷やし中華っぽい王道のタレに。ごまドレッシングを入れればごまダレに。チーズたっぷりのドレッシングはイタリア風のタレになります。冷やし中華というよりもサラダパスタみたいになりますが。青じそドレッシングやタマネギドレッシングだってうまそうです。
ね、楽しそうでしょう。ドレッシングだけだと麺との相性がイマイチなのですが、鶏ガラスープの素、めんつゆ、ポン酢が味の土台をしっかりと支えてくれます。
▲スーパーのドレッシング売り場に行くと、もうそこは冷やし中華のタレ売り場に見えてきますよ。
超簡単サラダ冷やし中華
ではこの料理がどれほど簡単なのかをお伝えするために、実際にちょっと作ってみましょうか。麺は一般的な冷やし中華だと使われない太麺のストレートを、あえて選んでみました。
▲生麺は生ラーメンのコーナーで売っています。1食70円前後。
この麺に合わせてお好みの具を選ぶのですが、お惣菜コーナーで冷しゃぶサラダが売られていたので、これにしちゃいましょう。ほら、ごまのドレッシングもついてますし。
▲これを使って冷やし中華を作ります。
たっぷりのお湯で生麺を茹でている間に、タレを作ります。ごまドレッシング、ポン酢、めんつゆ、鶏ガラスープの素をまぜるだけ。粉末の鶏ガラスープはちゃんと溶けませんが、気にしなくて大丈夫です。
▲分量は鶏ガラスープの素が小さじ1、他はすべて大さじ1にしました。
麺を少し柔らかめに茹でたら(具体的には標準よりも30秒~1分長く)、氷水でしっかりと締めます。この作業中の手が最高に気持ちいい。この冷たさがもはや前菜なのです。
▲手が冷たくて気持ちいい!
あとは麺をよく水切りして、器に入れて、冷しゃぶサラダをドーンと乗っけて、混ぜて作ったタレを掛けるだけ。ほら、手間の割にはそれなりにちゃんとした、野菜たっぷり冷やし中華にみえませんか。もちろんお好きな具を足しても大丈夫です。
▲ほら、美味しそうだ。
これが想像以上にうまかったのです。しっかりした太麺の冷やし中華というだけで新鮮だし、具にも麺にも合うタレがまたうまい。サラダに炭水化物をプラスするなら、この食べ方はオススメです。
もちろんコンビニにいけば、具と麺とタレがセットになった冷やし中華も買えますが、やはり麺は茹でたてが一番。タレの味つけも自由に変えられるし、具だって好きなものを入れ放題。
この調理の簡単さと組み合せの楽しさが伝わったでしょうか。
▲このタレだと、麺も具もどっちもうまい!
▲お好みでマヨネーズを掛けてもいいですね。
揚げナスたっぷりの冷やし中華
お好みの生麺+ドレッシングのタレ+お好みの具=最高の冷やし中華。この方程式を使えば、可能性は無限大です。
例えば麺は普通の太さのストレート、中華ドレッシングを多めに加えたタレにおろしショウガを少し加え、具は旬であるナスを素揚げしたものをたっぷり。なんてどうでしょう。
ナスは皮側に切れ込みを入れ、フライパンに1センチほど油を引いて、両面揚げ焼きにします。ついでにシシトウも揚げて、しその千切りをのせてみました。
▲夏はナスがうまいですよね。
トロットロにとろけるナスと、カチッとしまった冷たい麺の組み合わせがいいんですよ。隠し味にショウガを加えたタレもバッチリ。これは我が家の定番に決定です。
▲ナスの切れ込みを入れる作業は、そんなに難しくないのでやってみてください。
ごまドレッシングで坦々麺風冷やし中華
続いてはちょっと太めのストレート麺と、ごまドレッシングを加えたタレ、そして具は肉味噌という組み合わせ。野菜たっぷりもいいですが、肉も食べたくなってきたのです。
肉味噌といっても、おろしショウガ、おろしニンニク、オイスターソース、醤油で豚ひき肉を炒めただけの簡単なもの。仕上げに刻んだ小ネギと散らし、花椒入りの四川風ラー油をたっぷりと掛ければ、パンチの効いた坦々麺風冷やし中華となりました。
▲これを掛けるとなんでも四川風になって便利です。
▲15分もあれば余裕で作れます。
タレがうまいのは想像通りですが、そこに肉味噌やラー油が加わることで、また味が一気に広がります。これまた定番になりそうなコンビネーション。ここからさらに、毎回違う具や調味料を足してもいいですね。
▲「食べたいものが思いつかない」という人に作ってほしい味。
市販のつけ麺を美味しくする「昆布水」の魅力
ここまで読んでいただいた方の中には、「冷やし中華よりもつけ麺派なんだよ!」という人もいるでしょう。そんな方に朗報です。市販のつけ麺を美味しくする裏ワザがありました。
▲最近の生ラーメンは、どれもすごく美味しいです。
用意するのはお好みの市販されている生麺タイプのつけ麺とお好みの具、そしてだし用の昆布です。この昆布がつけ麺の「麺」を美味しく食べさせてくれるのです。
▲出汁用昆布が味の決め手です。
ここ数年、ラーメン業界で話題になっている「昆布水つけ麺」というのをご存知でしょうか。昆布をつけておいた水に、麺を入れた状態で提供するつけ麺のこと。この技を自宅で食べるつけ麺に流用しようという魂胆です。
まず昆布水の作り方ですが、基本的にはたっぷりの昆布を水に浸けて、そのまま冷蔵庫で一晩水出しすればいいようです。
▲昆布を水に浸けて、冷蔵庫で一晩待つだけ。
あとは市販のつけ麺を普通に作って、水でしめた麺を昆布水に入れるだけ。この昆布水を作って麺を浸けるという一手間で、味が大きく変わるのです。
▲冷たい昆布水に冷たい麺を泳がせておきます。
普通のつけ麺の麺は、水を切られて汁のない状態で置かれるため、だんだんと表面が乾いて麺同士がくっついてしまいますが、それがこの提供方法だとまったくありません。
今回は太麺ですが、くっつきやすい細麺でも全然大丈夫でしょう。水と違って旨味成分たっぷりの昆布水なので、麺の味が薄くなる心配も皆無です。
▲昆布の旨味成分であるグルタミン酸をまとった麺、ちょっと塩をかけるだけでもうまい。
また少しとろみのある昆布水が麺をコーティングすることで、すすった時の喉越しの良さがアップ。残ったスープは昆布水を温めたもので割って飲めば無駄もありません。本当にいいことしかないのです。
素人が聞きかじってちょっと真似しただけでも、その有難味がはっきりと理解できるのですから、そりゃ昆布水のつけ麺がラーメン屋で流行る訳だと納得の味です。
▲スープは気持ち濃いめがいいですかね。
▲昆布水に使った昆布は、めんつゆで煮ておいしくいただきました。
そうめんや冷麦にも昆布水!
このようにつけ麺の強い味方となってくれる昆布水ですが、もちろん他の麺とも相性ばっちり。そうめんや冷麦を提供するときに、ザルに上げるか、水に浸けて出すか、どっちが正解かという議論がよくありますけど、もはや私の答えは「昆布水に浸けて出す」の一択です。
▲具はシーチキンと小ネギにしてみました。
▲昆布水に冷麦を浸けて氷を浮かべれば、どんな暑い日でも食べられる気がします。
もともと昆布や鰹のダシで作るつけ汁で食べる麺なので、昆布水に浸けておいてまずい訳がありません。水のように味が薄まることも無く、表面が乾くことも無く、旨味たっぷりの麺が美味しくいただけます。
うどんやそばも、この食べ方が流行るのではないでしょうか。
▲この食べ方を知って以来、ずっと昆布水に浸けています。
時短&ネバネバ度アップの納豆昆布水
このようにとっても便利な昆布水ですが、作るのに一晩掛かってしまうため、思い立ってもすぐに食べられないという欠点があります。
そこでオススメなのが、ガゴメ昆布というガメラとゴジラを足したような名前の粘りが強い昆布を細かく刻んだもの。山形では野菜を細かく刻んで作る「だし」などにも使われます。
▲これは「納豆こんぶ」という商品名で売られていました。
これを使えば、わずか10分で昆布水ができあがります。しかも粘度は普通の昆布よりも強いので、よりネバネバ度のある麺が楽しめるのです。そしてガゴメ昆布が細切りになっているので、そのまま麺と一緒に食べられるから無駄がありません。
▲ガゴメ昆布の昆布水を使ったそうめん。ネバネバ好きには堪らない味。
▲ガゴメ昆布ごと食べても、そうめんの味を邪魔しません。トゥルンとしてうまい!
ということで、この暑すぎる夏に冷たい麺料理を美味しく食べるヒントになりましたら幸いです。どれも本当に簡単なので、お好みで味付けや具をアレンジして、自分だけのオリジナルレシピを見つけてみてください!
そしてもっといろんな簡単麺料理を作ってみたいという方は、8月12日(日)のコミケ3日目に「私的標本(東5ホール ヒ16a)」というブースで『作ろう!10分ラーメン』という同人誌を私が頒布しているので、ご興味あればぜひどうぞ。
今回のレシピまとめ
1. たっぷりのお湯で麺をゆでる。ゆで時間は標準より30秒~1分長めにとる。
2. お好みのドレッシング(今回はごま)、ポン酢、めんつゆ、鶏ガラスープの素を混ぜ合わせておく。
3. 麺がゆで上がったら氷水でしめて、水気を切る。
4. 3に市販のサラダ(今回は豚しゃぶサラダ)をのせ、2のタレをかけたら完成。
1. たっぷりのお湯で麺(今回は普通の太さのストレートを使用)をゆでる。ゆで時間は標準より30秒~1分長めにとる。
2. 中華ドレッシング、ポン酢、めんつゆ、鶏ガラスープの素、おろしショウガを混ぜ合わせておく。
※中華ドレッシングは多めが良い。
3. 麺がゆで上がったら氷水でしめて、水気を切る。
4. フライパンに1cmほど油をひいて、皮に切り込みを入れたなすを両面揚げ焼きにする。お好みでシシトウなども揚げ焼きにする。
5. 皿に3と4を盛りつけ、2のタレをかけたら千切りの大葉(しそ)をのせて完成。
1. おろしショウガ、おろしニンニク、オイスターソース、醤油で豚ひき肉を炒めて肉味噌を作る。
2. たっぷりのお湯で麺(ちょっと太めのストレート麺)をゆでる。ゆで時間は標準より30秒~1分長めにとる。
3. ごまドレッシング、ポン酢、めんつゆ、鶏ガラスープの素を混ぜ合わせておく。
4. 麺がゆで上がったら氷水でしめて、水気を切る。
5. 皿に4の麺を盛り、1の肉味噌、3のタレをかけ、刻んだ小ネギと散らし、花椒入りの四川風ラー油をたっぷりと掛けたら完成。
〈事前準備〉水にたっぷりの昆布をつけ、冷蔵庫で一晩おく。
※ガゴメ昆布を使えば10分で完成する。
1. たっぷりのお湯で麺(市販の生麺タイプのつけ麺、そうめん、冷麦など)をゆでる。
2. ゆで上がった麺を水でしめたら、麺を昆布水につけておく。
3. 2をお好みの具、お好みのタレとともにいただく。
※タレは少し濃いめに作っておくのがコツ。