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カジノ法案と参院定数6増法案で国民の声を無視する安倍政権、それでもなぜ支持率が下がらないのか?

7月20日、通常国会が事実上、閉会した。今回の国会では、2つの重要な法案が可決されている。ひとつは統合型リゾート(IR)法案、いわゆるカジノ法案。もうひとつは、参議院の定数を6議席増加させる、公職選挙法改正案だ。

いずれも、野党のほとんどが反対するなかでの強行採決だった。政府の、この姿勢こそ、まさに民主主義の冒涜と言えよう。なによりも、国民に支持されていないのだ。

たとえばIR法案について、読売新聞の世論調査では62%もの国民が反対している。安倍内閣寄りと言われている読売新聞の調査でさえ、このような数字なのだ。ちなみに朝日新聞の調査では、反対76%、賛成17%だ。

公職選挙法改正案では、読売新聞が反対67%、賛成が20%だった。朝日新聞は反対56%、賛成28%だ。意外なことに読売新聞のほうが、反対が多い。この結果をみて僕は、世論調査の公正さをむしろ信じたのである。

いずれにしても、この法案は国会議員の「救済策」としかいえまい。さすがに、小泉進次郎さんなど、党内からも疑問の声があがっているようだ。

さかのぼって、6月に成立した働き方改革関連法案についても、疑問だらけだ。

実は、働き方改革のキモである、高度プロフェッショナル制度について、僕は途中まで誤解をしていた。対象となるのは、たとえば金融ディーラーやコンサルタントなど、年収1075万円以上の専門職だととらえていた。ところが、だ。こうした条件等は、今後、厚労省の労働政策審議会で議論され、省令で成立するというのだ。

つまり、国会での審議は必要ないということだ。たとえ審議会が、対象や要件を拡大したりしても、国民は何も言えない。審議会に「白紙委任状」を渡したようなものなのだ。国民にとって、とても認められるものではない。

そもそも「森友」「加計」問題で、国会では「ウソ」があたり前になってしまった。おおもとは、安倍晋三首相だ。森友学園問題に「関わっていたら首相を辞める」と安倍首相が発言したことが始まりだった。この発言を守るために、多くの人がウソをつかざるを得なくなったのだ。

まずは、当時の理財局長だった佐川宣寿さんだろう。彼は、国会であきらかに虚偽答弁をしている。そのため偽証罪で告発された。

だが、僕はむしろ佐川さんに同情しているのだ。安倍首相、麻生太郎大臣を守るために、彼は虚偽の答弁をせざるを得なかった。それなのに、安倍首相も麻生大臣も、何の責任も取らない。佐川さんだけが失職したのだ。

今月25日に退任した、経済産業省の柳瀬唯夫さんも同様だろう。僕は、柳瀬さんを古くから知っている。彼は、非常に有能であり、上司の許可なく勝手なことをするような人物ではない。安倍首相の秘書官として、安倍首相を守るために、自らの人格を犠牲にして、虚偽の発言をした。そして、辞めざるを得なくなったのではないだろうか。

それでも安倍内閣の支持率は、朝日新聞の世論調査では38%、共同通信の調査でも43.4%だ。こんな状況でも、安倍内閣が、なおも支持率を維持していることが、僕には理解しがたいのである。

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