国連報告者、トランプ米大統領のメディア攻撃を批判
国連は2日、ドナルド・トランプ米大統領が繰り返すメディア攻撃は、ジャーナリストが暴力の被害を受ける危険を高めていると警告した。
言論と表現の自由に関する国連の特別報告者デイビッド・ケイ氏と米州人権委員会のエディソン・ランサ特別報告者は連名で、トランプ氏のメディア攻撃は「戦略的」なもので、報道の自由や「検証可能な事実」を損なうと批判した。
さらに両氏は、大統領によるメディア攻撃で、「ジャーナリストが暴力の標的になるリスクが高まり」、「報道への信頼を損なうよう意図されている」と懸念を示した。
この警告が出る数時間前には、トランプ氏の娘イバンカ・トランプ大統領補佐官が、メディアは国民の敵だと思うかという質問に「そうは思わない」と答え、父親の姿勢から距離を置いた。
これを受けてトランプ氏は、「娘のイバンカが、メディアは国民の敵かどうか質問された。いいえと答えたのは正しい。国民の敵なのは、メディアの大部分を占めるフェイクニュースだ!」とツイートした(太文字は原文では大文字強調)。
しかし、ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は2日、定例会見でメディアは国民の敵ではないと言明するよう求められたが応じなかった。そのため、CNNのジム・アコスタ記者が抗議のため会見場を退席した。
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トランプ氏と政権関係者、支持者によるメディア攻撃が、このところ相次いでいる。7月31日にフロリダ州タンパで開かれた支持者集会では、トランプ氏の支持者たちが会場で取材する報道陣を罵倒し、中傷する様子をCNNが撮影した。メディアに強い罵倒表現が投げつけられるこのビデオを、CNNのアコスタ記者がツイートし、「タンパのトランプ集会で目にした悲しい光景のほんの一例だ。トランプや保守系メディアにいる一部の人が煽り立てる敵意によって、誰かけがをするのではないかととても心配だ。同じアメリカ人をこんな風に扱うべきじゃない。報道陣は敵じゃない」と書いた。
7月29日には、米紙ニューヨーク・タイムズの社主が「国民の敵」という表現をやめるよう大統領に促したと明らかにした。
トランプ氏が頻繁に繰り返すメディア攻撃には、側近や与党・共和党内からも批判の声が上がっている。
トランプ政権の広報部長だったアンソニー・スカラムーチ氏はツイッターで、フロリダでのトランプ支持者たちを非難し、あのような行動は「自分たちらしくない」と書いた。
かねてからトランプ氏に批判的なジェフ・フレイク上院議員(共和党、アリゾナ州選出)は今年1月の時点で、トランプ氏のメディア攻撃を旧ソ連の独裁者、ヨシフ・スターリンのようだと批判していた。