東京湾フェリーをご存知でしょうか? 神奈川県の久里浜と千葉県の金谷を結ぶ短距離のフェリーです。アクアラインもあるのに今どきフェリーなんて、と思うことなかれ。青春18きっぷでの首都圏からの日帰り汽車旅にちょうどよいのです。
この記事では、東京湾フェリーの乗船レポートと、東京湾フェリーを利用した汽車旅ルートをご紹介します。東京湾フェリーのアクセスや乗船方法も解説します。
東京湾フェリーって?
東京湾フェリーは、神奈川県の久里浜港と千葉県の金谷港を結ぶフェリー です。東京湾の最も狭くなったところを結んでいるため、乗船時間はわずか40分 です。
(出典)東京湾フェリー航路マップ
朝6時台から夜19時台まで、おおむね1時間に1本運行されています。カーフェリーですのでクルマでの乗船も可能ですが、人のみであれば片道大人720円(往復1,320円)と気軽に使える料金です。青春18きっぷを活用したエコな旅にもやさしいですね。
詳しくは、東京湾フェリーのサイトをご覧ください。
東京湾には、世界各国からの貨物船やタンカー、客船などがひっきりなしに行き来しています。東京湾フェリーは、その航路を横切るように進むため、たくさんの船を眺めることができます。往来する船を眺めているだけで、あっという間に到着してしまいます。青春18きっぷでの汽車旅にアクセントを加えるのにはちょうどよい時間です。
東京湾フェリーにはどうやって乗るの?
徒歩での乗船であれば、直接フェリーターミナルへ行って乗船券を購入し、案内に従って乗船するだけ です。予約も不要です。極めて簡単ですね。
それほど混雑しませんので、希望の便に乗船できないということはまずありません。ただ、お盆休みなどは窓口が混雑するようなので、乗船券を購入する時間的な余裕を少し見ておいたほうがよいでしょう。
注意が必要なのは、鉄道駅から久里浜港・金谷港が少し離れていることです。各港へのアクセスは以下の通りです。
- 久里浜港:京急久里浜駅から京急バスで約10分(200円)
- 金谷港:JR浜金谷駅(内房線)から徒歩8分(約500メートル)
JR横須賀線の久里浜駅からも京急バスが出ていますが、京急久里浜駅からのほうが本数が多いようです。JRの久里浜駅から京急久里浜駅まで、徒歩でも5分ほどです。
金谷港からJR内房線の浜金谷駅へは徒歩でアクセス可能です。内房線は列車の本数が少ないので、東京湾フェリーから内房線への乗り継ぎをしたい場合は、あらかじめダイヤを確認しておいたほうがいいです。
東京湾フェリー 乗船レポート
2018年7月、世間が夏休みに入ってから最初の土曜日に、東京湾フェリーに乗船してみましたので、乗船レポートをお届けします。
横須賀線で久里浜駅へ
青春18きっぷの利用可能期間に入っていましたので、自宅から青春18きっぷでJRを乗り継いで久里浜駅へ。
横須賀線の久里浜駅は、久里浜の中心街からちょっと離れているのでローカルな雰囲気が漂います。
京急久里浜駅から京急バスで久里浜港へ
京急久里浜駅まで5分ほど歩いて移動すると、駅前のバスターミナルには久里浜港駅のバスが停車していました。
これに乗車して、10分ほどで久里浜港に到着します。
久里浜港フェリーターミナルに到着しました。
フェリーターミナルの中はそれほど広いわけではありませんが、乗船券を販売する窓口や自動券売機のほか、レストランやお土産屋などが入っていました。
2階にあがると椅子が並ぶ待合室があります。
金谷港から「かなや丸」と船体に書かれたフェリーがやってきました。これが折り返し金谷港行きのフェリーとなります。
フェリーターミナル2階の乗船口の前で待っていると、船首からクルマやバイク、自転車が乗り込んでいく様子を見ることができました。
さて、いよいよ乗船です。
フェリー内部は広々! 売店もあります!
フェリーの客室は2階建てになっています。乗船口があるのが1階で、船首のほうに客室が並びます。2階の客室のほうがずっと広いので、階段を上がって2階へ。
2階の客室は、広々とした客室内に、ソファーやボックスなど、いろいろなタイプの座席が並びます。自由席なので、どの座席に座っても構いません。
ホットスナックや飲み物、お菓子などを販売している売店もあります。ビールもありましたね。
2階席で景色を眺めたいのなら、船首のほうにある窓側のこのボックスがおすすめです。ただ、あとで紹介するように、天気が良ければ甲板に出てみるのもよいと思います。
売店で「横須賀海軍カレーパン」を購入。200円くらいだったかと。出港までのひとときを、おやつタイムとして過ごしました。
いよいよ出港! 東京湾は船の博物館!
この日は、久里浜港を9時25分に出港するフェリーに乗ったのですが、出港時間が近くなってくると乗客が増えてきました。夏休み最初の土曜日ということもあってか、家族連れや学生のグループが多く、船内は一気に賑やかになりました。
この日は朝から晴天でしたので、出港してすぐにカメラを持って甲板へ。
遠ざかっていく三浦半島を眺めていると、周囲には漁船のような小さな船がたくさん。かなり多くの船が行き来している中を、当たり前ですが、ぶつからないように進んでいきます。というより、こちらのフェリーの航路を塞がないように避けてくれているようです。
甲板の一番うしろから。写真左側が三浦半島の先端のほう、右側が横須賀など東京湾の奥になります。
途中で、同じ東京湾フェリーの「しらはま丸」とすれ違いました。1時間毎に運航、片道40分ですので、このように途中ですれ違うのですね。
「LNG」と書かれた大きなガスタンクを積んだタンカーが通り過ぎていきました。前の小さな2隻の船舶は、タンカーを先導しているのでしょうか。
東京湾の奥へ向かって進んでいきました。日本が輸入した液化天然ガスを運んでいるのでしょう。
東京湾フェリーは、東京湾の一番狭くなった部分(浦賀水道)を横切りますが、ここは世界各国からの船舶の通り道なのですよね。まるで船の博物館のように、いろいろな船舶を眺めることができました。
そうこうしているうちに、房総半島が近づいてきました。街や工場などが見られた久里浜港周辺とは異なり、金谷港のほうは、海岸線近くまでせり出した低い山々が目立ちます。
金谷港のすぐ後ろには、観光名所「鋸山」(のこぎりやま)が見えてきました。329メートルの低い山ですが、山頂からは東京湾・浦賀水道を一望できる絶景スポットです。ロープウェイで山頂まで4分で行けるので、金谷港到着後に訪問するのがおすすめです。
あっという間の40分、金谷港に到着
ということで、わずか40分で金谷港に到着です。
結局、出港してからずっと甲板にいました。離れていく三浦半島や近づいてくる房総半島の景色、それに浦賀水道を行き交うさまざまな船を眺めていると、本当にあっという間でした。
東京湾フェリーを活用した青春18きっぷ日帰りルート
最後に、乗り鉄ブログらしく(?)、東京湾フェリーを活用した首都圏発の青春18きっぷ日帰りルートをご紹介します。
いすみ鉄道・小湊鉄道のディーゼルカーを楽しむ旅
房総半島の中央を東西に横断する形で、いすみ鉄道・小湊鉄道が走っています。この二つの路線は、非電化のローカル線で、古いディーゼルカーが走っていることでも知られています。特に、いすみ鉄道には、JR各社から買い取ったキハ28といった古い形式のディーゼルカーがあります。
沿線は、いすみ鉄道側はのどかな田園風景、房総半島中央部は養老渓谷に近い山間部を走行しますので、変化に富んた車窓が楽しめます。
以前、このブログ記事でもいすみ鉄道のことを紹介していますので、よろしければご覧ください。
詳細は各社のサイトをご覧ください。
いすみ鉄道・小湊鉄道を楽しむルートですが、以下のようになります。
- 東京/千葉方面~(外房線)~大原~(いすみ鉄道・小湊鉄道)~五井~(内房線)~浜金谷~(東京湾フェリー)~久里浜~(横須賀線)~東京方面
外房側からいすみ鉄道・小湊鉄道で房総半島を横断し、内房線で浜金谷へ出て東京湾フェリーで久里浜に渡るルートです。
いすみ鉄道・小湊鉄道は私鉄ですので青春18きっぷは利用できません。別途運賃が必要ですが、このルートであれば、おそらくJR線部分だけで青春18きっぷ1日分の元は取れるでしょう。
鋸山・鎌倉の観光を楽しむ旅
観光メインの場合は、浜金谷駅から歩いて8分ほどの鋸山ロープウェイに乗ってみるのもおすすめです。天気が良ければ、東京湾越しに富士山が眺められます。鋸山から東京湾の絶景を眺めて、その後、東京湾フェリーでその東京湾を渡るのも楽しそうです。鋸山ロープウェイについては、下記リンク先のサイトをご覧ください。
また、神奈川県側では、横須賀線を鎌倉で途中下車して、散策を楽しんでみてはいかがでしょうか? 時間があれば、江ノ電に乗って江の島観光をしてもよさそうですね。
汽車旅ルートとしては以下のようになります。
- 東京方面~(内房線)~浜金谷~(鋸山ロープウェイ・観光)~浜金谷~(東京湾フェリー)~久里浜港~(横須賀線)~鎌倉~(横須賀線)~東京方面
こちらも、東京駅発着の場合、ぎりぎり元が取れそうです。
以上、東京湾フェリーの乗船レポートと、東京湾フェリーを活用した青春18きっぷの汽車旅ルートをご紹介しました。フェリーは港までのアクセスが大変で面倒なのでは?と思いがちですが、東京湾フェリーには意外と気軽に乗れます。景色もいいですし、房総半島~神奈川方面のショートカットルートとしても便利ですので、ぜひ利用してみてください。