こういう、細長い土地に建物が列車のように連なっているの、おもしろい。
「トレインハウス」と呼ばれる住宅がある。細長い土地に奇妙な感じで建物が連なって建っているケースをそういう。全国にちらほら存在する。地図好きならだれしも気になる物件だろう。
以前、デイリーポータルZのイベントで三土さんも「トレインハウス」を紹介していた。さすがだ。 ぼくもいくつか「見に行きたいトレインハウス」をメモしていて、今回そのうちのひとつを訪れることができた。その様子をレポートしよう。場所は尼崎だ
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。
前の記事:「「門かぶりの松」がおもしろい」 人気記事:「マンションポエム徹底分析!」 > 個人サイト 住宅都市整理公団 正真正銘のトレインハウスまず航空写真をご覧ください。
そして現地の様子。一見なんてことない住宅街だが、トレインハウスだと言われてみればたしかにちょっと不思議な感じに見えませんか。
両脇が道路。
大きな列車の先頭に見えてくる。
両サイドの道路が、それぞれ逆方向の一方通行になっている。そういう意味で、いわば「中央分離帯に住宅が建っている」ともいえる。
この尼崎のトレインハウス、なぜこうなっているのかというと、敷地が元々線路だったからだ。文字通り正真正銘のトレインハウスなのである。
左が現在(正確には2017年)の様子。右が1975年。線路だったことが分かる(国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より・左:整理番号・CKK20174/コース番号・C4/写真番号・5/撮影年月日・2017年4月14日 右:整理番号・CKK748/コース番号・C11/写真番号・15/撮影年月日・1975年3月14日)
この線路は、尼崎港線と呼ばれていた路線のもの。塚口駅から尼崎港駅(本記事の最後に跡地をたずねます)までを結んでいた。さかのぼれば1891年に馬車鉄道としてはじまり、最後は貨物線として機能していたが、1984年に廃止されたという。
つまりトレインハウスの連なりを横切るこういった道は「線路なき踏切」だ。
散歩、たのしい今回ぼくが見て回ったのは、尼崎港線跡のうちJR尼崎から南に歩いて、終着駅だった尼崎港駅までの2kmちょっとの間(こちらの地図の赤い線で囲んである部分)。
前出の写真は中間地点のトレインハウスだ。あらためてJR尼崎駅付近からの様子をご覧いただきたい。 JR尼崎近くの線路跡は、空き地になっているケースが多い。「トレイン空き地」である。
航空写真で見た今のようす。上はJR。(国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より・左:整理番号・CKK20174/コース番号・C4/写真番号・5/撮影年月日・2017年4月14)
同じ範囲の戦後すぐ、1948年のようす。土手で現在のJRを越えているのがわかる。(国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より・整理番号・USA/コース番号・M18-4/写真番号・16/撮影年月日・1948年2月20日)
これは「トレイン工場」だ。
このエリアは工場が多くて楽しい。
こういうの、持って帰りたくなるよね。何に使うわけじゃないんだけど。
そんな工場群の中にあった定食屋さん。
看板を見て、
共食いキャラだ! と興奮したんだけど、
掲示してあったメニューを見たら、べつに豚肉がウリというわけでもない。ざんねん。いやちがう。よかったよかった。
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