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第1話 発病

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運命の日。



2002年2月15日



それは何の前触れも無く、突然やって来た。



その日、仕事は休みだったが、代わりに、バンドの新しいメンバーとの初合わせを予定していた。

バンドは19の頃から7年続けていて、私にとって人生最大の趣味となっていた。

私の担当楽器はドラムだった。

朝食後、とりあえずドラムを叩いて体をほぐすのは毎日の日課であり、生活の一部となっていた。

その日も、朝食をすませると、いつものように練習用のエレキドラムがある部屋に向かった。

ドラム部屋は離れにあり、そこに行くまでに一旦庭に下りる事になる。

愛犬がじゃれ付いて来るので、頭を撫でてやるのも毎日の日課だった。

いつもと何一つ変わらない日常、外は気持ち良く晴れていた。

部屋に入った私は、おもむろにドラム椅子に腰掛け、おもむろにエレドラの電源を入れ、おもむろにスティックを握り、おもむろに叩き始めた。

何もかも、いつも通りのハズだったが。。。???

・・・何かがおかしい。。。

スティックを握った左手に違和感がある。なぜか、ちゃんとスティックが振れない。

まるで左手に変なクセがついてしまったみたいに、手首が動かず、全然スナップしない。

自分の意思に反して、左腕がガチガチに力が入った状態になってしまうのだ。

引きつる、、、と言うのとも少し違う。痛みは、、、無い。

あるのは説明しようの無い気持ちの悪い違和感だけだった。

不自然に固まった手の形は、どう見てもグロテスクだった。

例えるなら、手のひら大の蜘蛛。

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第1話 発病

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