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婚活で切られ就活で祈られる「MARCH女子」の語られざる悲哀

悩みを聞いてみると…

本来高学歴であるMARCHの立ち位置

「MARCH(マーチ)」と、5大学をひとくくりにした呼び方がある。それぞれ明治、青山学院、立教、中央、そして法政大学の頭文字をとった用語だ。

受験で使われることが多いが、現在は就活から婚活のお見合い参加条件など、幅広い業界で利用されている。

偏差値順に学生数で計算すると、MARCHは各学年の子どものトップ15%しか入ることのできない難関校である。MARCHの上に学力でそびえたつのは都内だと東大、一橋、東工、早稲田、慶應、上智、東京理科、ICUなどに限られる。

少子化が進み、私立大学の存続が危ぶまれる中でも常に高倍率であり「安泰」と呼べるグループのひとつだろう。

だが、その立ち位置ゆえに独自の悩みを抱えるMARCH出身者がいた。筆者は就活と婚活の2軸で人生相談を受ける立場から、特にMARCH出身女性の「悲哀」とも言えるご相談を承ることが多くある。

 

就活で現れる一般職という「ピンクの門」

就職活動を控えた大学生のうちでも、トップ校出身者は大手企業の総合職へ応募することを考える。総合職とは幹部候補であり、正社員のなかでも高収入や出世がある程度までは約束されている、いわばエリートコースだ。

当然ながら優秀層であるMARCHの学生も総合職を志望する。しかしそこでMARCHの学生は突如、「学歴フィルター」に直面する。学歴フィルターとは、企業が採用時に学歴別で待遇差を設けることを指す。

説明会の参加登録画面で東大生は空席アリと表示されても、MARCH層には満席と表示される、そもそも早慶以上限定の面接ルートが存在する……などが、学歴フィルターの最たるものだ。

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MARCH層はそこでいきなり「頭が悪いから弊社お断り」の看板を突きつけられるのだ。この傾向は、女子学生により顕著である。女性の場合は総合職のほかに、一般職の枠がある。

一般職とは事務作業の補助をしたり、企業の受付を担当したりするサポート業務だ。出世は望めず、かつては男性社員の結婚相手候補としての意味合いも強かった。

特にやる気へ満ち溢れ、総合職を志望するMARCH女子ほど「あなたは総合職となるには学歴が低すぎる。一般職であれば応募できる」という現実に打ちのめされやすい。

ブロガーのちきりん氏はこれを「ピンクの門」と呼ぶ。

ピンクの門(一般職)を選ぶ女性を男性社員は褒め、いたわる。しかしそこには「守られるべきサポート業務の女性」という前提があり、平等な切磋琢磨する社員同士の関係は失われる。もちろんそれを享受する女性もいるだろう。

だが、トップ15%の成果を受験で残したにもかかわらず「君には一般職として、可愛がられる役をやってほしい」と言われるのは心外だという声も多い。