【8月2日 AFP】韓国・ソウルの警察は2日、100年前に沈没したロシアの「宝船」を発見したとする新興企業による主張が虚偽だった疑いがあるとして、同社およびシンガポールの会社1社に対する捜査を開始した。このシンガポール企業については、創業者の国際手配書の発行も要請している。

 ソウルに本社を置くシニルグループ(Shinil Group)は先月、日本海に沈没したロシア帝国の巡洋艦「ドミトリー・ドンスコイ(Dmitrii Donskoi)」を見つけたと発表。同艦には1300億ドル(約14兆5000億円)相当の金塊や金貨が積まれているとみられると主張していた。

 しかし同グループにはそれ以来、株価を人為的につり上げる、あるいは同名のシンガポール企業が最近発行した仮想通貨を買わせるのがこの発表の狙いだったのではないかという疑いの目が向けられてきた。

 金融規制機関は韓国のシニルグループに対する調査を開始したと発表。一方警察も先週犯罪捜査に着手し、シンガポールのシニルグループの「ユ(Ryu)」という姓の創業者を指名手配したと明らかにした。ユ容疑者は同時に、2014年の詐欺事件への関与も疑われているという。

 ある警察関係者はAFPに対し、ユ容疑者が「宝船の詐欺疑惑における重要人物だ」と話し、当局が国際刑事警察機構(インターポール、InterpolICPO)にユ容疑者の「赤手配書」発行を求めたとしている。赤手配書は、被疑者の身柄引き渡しを目的として、所在の特定と暫定的な逮捕を要請するもの。

 警察は2014年から、別の事件で捜査中に国外逃亡したユ被疑者を捜索しているという。(c)AFP