盆休みに友人と酒を飲んでいて、音楽の話になった。彼はキンクスやアニマルズなどの古いロックや60年代ポップスに造詣の深い好人物だ。そんな彼が「ポップスの歌詞に意味は不要じゃないか」と言いだした。「どんな素晴らしい歌詞も、メロディやコードの構造の美しさに負けてしまう。その証拠に」と彼が挙げたのは、ダスティ・スプリングフィールドのヒット曲「タルサから24時間」だった。
最愛の恋人を一夜にして裏切ってしまう、儚くも情熱的な物語。「こんなドラマチックな歌詞なのに、そこに言及されることはあまりない。作曲者であるバート・バカラックの名前は知っていても、作詞をしたハル・デヴィッドを知る日本人は少ないだろ」と彼は嘆いた。
歌謡曲がいつの間にかJ-POPと呼ばれるようになって、歌詞の存在意義は年月を経るごとに薄らいでいるように思う。今その中心に存在するのはAKB48だ。最新シングル「恋するフォーチュンクッキー」を聴いてみよう。
華やかなストリングスはモータウン風。フィリーソウルを思わせるブラス・アレンジ。大仰でないサビメロは上品な印象。2012年12月に散開したガール・ポップ・ユニットTomato n’ Pineの凝りまくったサウンドに比べればクオリティは劣るものの、粗製乱造のJ-POP界にあって、よく練り込まれた作品だと思える。それ以前に、かわいい女の子たちが元気に歌っているのが良い。元気でかわいい女の子を嫌いな人間はいない。AKB48はそれ自体が社会現象だが、グループ・アイドル・ブームのトリガーとしての功績は、いまさらながら、とてつもなく大きい。
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