うきよのおはなし~江戸文学紹介ブログ~

江戸文学に少しでも興味を持つ方が増えれば良いなと。

蒸し料理の巻。 ~「青頭巾」(『雨月物語』より)その6~

「青頭巾」[『雨月物語』より]続きだよ!

僕にもバールのようなものちょうだい!

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※この記事では、霞亭文庫の画像を適宜改変して利用しています
霞亭文庫書誌詳細
※画像はクリックすると拡大します。

翻刻

もてつよく撃(うち)ければ。大きに叫(さけ)んでそこにたをる。この音に主(あるじ)の
嫗(うば)なるもの燈(あかし)を照(てら)し来るに見れば。若き女の打たをれてそあ
りける。嫗(うば)泣(なく)/\命を乞。いかゞせん。捨て其家を出しが。其のち
又たよりにつきて其里を過しに。田中に人多く集(つど)ひてものを
見る。僧も立よりて何なるぞと尋ねしに。里人いふ。鬼(おに)に化(け)し
たる女を捉(とら)へて。今土に瘞(うづ)むなりとかたりしとなり。されどこれら
は皆女子(をんなご)にて男たるものゝかゝるためしを聞ず。凡女の性(さが)の
慳(かたま)しきには。さる浅ましき鬼(もの)にも化するなり。又男子(なんし)にも隋(ずい)
煬帝(やうだい)の臣家(しんか)に麻叔謀(ましゆくばう)といふもの。小児(せうに)の肉を嗜好(このミ)て。潜に
民の小児を偸(ぬす)ミ。これを蒸(むし)て喫(くら)ひしもあなれど。是ハ浅まし
き夷(ゑびす)心にて。主(あるじ)のかたり給ふとハ異(こと)なり。さるにてもかの僧の
鬼になりつるこそ。過去(くハこ)の因縁(いんえん)にてぞあらめ。そも平生(つね)の行

赤字が前回のくずし字クイズの答えです。

【現代語表記】

持て強く撃[打](う)ちければ、大きに叫(さけ)んで、そこに倒る。
この音に主(あるじ)の嫗(うば)なる者、灯(あかし)を照(てら)し来るに見れば、若き女の打倒れてぞありける。
嫗(うば)、泣(な)く泣く命を乞う。
如何(いかが)せん。
捨てて、其の家を出しが、其の後(のち)又、頼りに付いて、其の里を過ぎしに、田中に人多く集(つど)いて物を見る。
僧も立ち寄りて「何なるぞ」と尋ねしに、里人言う、「鬼(おに)に化(け)したる女を捉[捕](とら)えて、今、土に瘞[埋](うず)むなり」と語りしとなり。
されど、これらは皆、女子(おんなご)にて、男たる者の、かかる例(ためし)を聞かず。
凡そ女の性(さが)の慳(かだま)しきには、さる浅ましき鬼[物](もの)にも化するなり。
又、男子(なんし)にも、隋(ずい)の煬帝(ようだい)の臣家(しんか)に、麻叔謀(ましゅくぼう)と言う者、小児(しょうに)の肉を嗜好(このみ)て、潜[密](ひそ)かに民の小児を偸[盗](ぬす)み、これを蒸(む)して喫[喰](くら)いしもあなれど、是は浅ましき夷(えびす)心にて、主(あるじ)の語り給うとは異(こと)なり。
さるにても、かの僧の鬼に成りつるこそ、過去(かこ)の因縁(いんえん)にてぞあらめ。そも、平生[常](つね)の行

【さっくり現代語訳】

バールのようなもの)持って強く打ちつけると、大きな叫び声とともに、何かがその場に倒れました。

この音を聞いて、家の主人の老女がやって来て、灯火を照らして見てみると、バールのようなもので打たれた若い女が倒れていました。

老女は涙ながらにバールのようなもので打たれて倒れた女命乞いをしました。

は、バールのようなもので打たれて倒れた女をどうしたものかと思いましたが、そのままバールのようなもので打たれて倒れた女は放っておいて、その家を出ました。

その後、はまたついでがあってその里を通ったところ、田んぼの中に、多くの人が集まって何かを見ています。

も 野次馬根性で 立ち寄って、「どうしました?」と聞くと、里人は、「鬼になった女を捕まえて、今、土の中に埋めた所です」と答えたということです。

しかしながら、これらの例は全て女性で、男性がこのようにになった例は聞いたことがありません。

女性は生まれながらにして、ねじれた心を持っているので、このように下品なにもなってしまうのです。

まあ、でも、(ずい)の煬帝(ようだい)の家臣に、麻叔謀(ましゅくぼう)という者がいて、子どもの肉が好きで、人の子どもをこっそり誘拐して、蒸して食べたそうです。

ですが、これは所詮、下品な野蛮人の持つがそうさせたのであって、ご主人が語った住職とは性質が違います。

何はともあれ、ご主人が語った住職になったのは、過去の因縁からなのでしょう。
そもそも、普段の

【解説】

快庵禅師説法続きです。

ええと、人の肉住職のようにで食べたり、麻叔謀のように蒸したり、色々な調理法があったみたいですね、ガクブル

バールのようなものと書きましたが、もちろんシャレで、実際に殴ったのは「禅杖」

座禅の時にお坊さん肩を叩くあのの事を「禅杖」と言いますが、ここでは単に旅のお坊さんが突いているのことでしょう。

それにしても、快庵禅師はおもいっきり女性蔑視人種差別発言をしていますね。。。

あくまでもこの時代はこういう認識だったということで、あえて忖度はせずしましたことをご了承くださいませ。。。

次回予告とくずし字クイズ

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かな文字ヒント!
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これらの文字は漢字なのです。
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三つ目コーナー

わーい、バールのようなもの貰ったよ♪

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怖いよ。

 

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