東京医大、女子受験者を一律減点 男女数を操作か

社会
2018/8/2 10:51
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 東京医科大(東京・新宿)が医学部医学科の一般入試で、女子受験者の得点を一律に減点し、合格者数を抑えていたことが2日、関係者への取材で分かった。一部の男子学生に加点をしたこともあったという。受験者への説明がないまま、遅くとも2010年ごろに入学者の男女数に恣意的な操作が始まっていたとみられる。

女子受験者の一律減点が明らかになった東京医科大学(2日午前、東京都新宿区)

女子受験者の一律減点が明らかになった東京医科大学(2日午前、東京都新宿区)

 東京医大を巡っては、文部科学省の私立大支援事業を巡る汚職事件で、東京地検特捜部が捜査。大学側が同省前局長の息子を不正に入学させたとされている。

 東京医大などによると、医学部の一般入試はマークシート式で機械採点する1次試験(英語、数学、理科)に合格した受験者が、2次試験(面接、小論文、適性検査など)に進む。その後、学長や教授らでつくる入試委員会が合否を判定する仕組みだ。

 東京医大はマークシート方式の1次試験後に、女子の得点を一律に減点するなどしていた。過去には1次試験を通った現役の男子学生に、自動的に2次試験の小論文の点数を加点したこともあるという。大学関係者はこうした操作を認めた上で「10年ごろには既に暗黙の了解でやっていた」と話した。

 背景には、大学病院の医師を確保したいという大学側の意思があるとみられる。この関係者は「テストの点数通りにやると女子の合格者が多くなるが、女子は離職率が高い。どういう学生がいいかという大学としての判断で、(加点は)大学の裁量の範囲内なのではないか」と話した。

 18年度の一般入試では、医学部医学科に男子1596人、女子1018人が受験。1次試験の合格率は男子が18.9%、女子が14.5%となった。2次試験を経て最終的に合格したのは男子が8.8%、女子が2.9%だった。

 文科省は毎年、国公私立大に入学者選抜について通知を出し、中立・公平に実施することを求めている。何が不正かは具体的に規定されていないが、同省は「選抜方法を募集要項に記入し、その通りに実施してほしい」としている。大学側には既に、過去6年分の入試が適切に行われたかを調査、報告するよう求めており、報告内容次第では指導や補助金減額などを検討する。

 東京地検特捜部は7月24日、文科省の前科学技術・学術政策局長、佐野太被告(59)を同省事業の対象校選定で、東京医大に便宜を図った見返りに、息子を不正合格させたとして受託収賄の罪で起訴。東京医大の臼井正彦前理事長(77)と鈴木衛前学長(69)=いずれも辞職=も贈賄罪で在宅起訴した。

 東京医大の広報・社会連携推進課は取材に「内部調査を行っている状況下であり、適宜結果を公表する」とコメント。点数操作についても調べており、結果は近く公表されるとみられる。

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