ソウル大学が海外の学術誌を他大学と共同で購読する方向で検討を進めている。学術誌を発行する海外の出版社が定期購読料を毎年3-4%引き上げていることから、赤字の額が無視できなくなってきたからだ。
ソウル大学図書館は現在3万53種類の電子ジャーナル(デジタル形式の学術誌)について定期購読を行っている。今年の予算は84億ウォン(約8億4300万円)だ。ところが海外の出版社がどこも毎年購読料を引き上げているため、ここ数年は一般の図書費などを充当している。このような形で積み上がった赤字はすでに16億ウォン(約1億6000万円)に達しているという。
それでもソウル大学はまだましな方だ。別のある大学では定期購読料を支払うことができず、今年に入って購読を一時的に中止するケースも相次いでいる。しかし電子ジャーナルを利用する研究者や学生も多いため、購読を中止するわけにもいかないのが実情だ。韓国教育部(省に相当)によると、全国の大学と大学院で電子資料を利用する件数は1人当たり2013年は94件だったのが、昨年は261件へと急増している。
このような状況を受け、ソウル大学図書館は他の主要国立大学と連携し「大学図書館ネットワーク」を立ち上げ、来年から電子ジャーナルを共同購読する方向で検討を進めている。先月26日にも10の国立大学を招待して費用の分担について意見を交換した。今後は共同契約の条件を取りまとめた上で、電子ジャーナルの版権を持つ海外の出版社と価格交渉に乗り出したい考えだ。全国の四年制大学は電子ジャーナルの購読に毎年総額で1200億ウォン(約120億円)以上を負担している。
この問題についてソウル大学図書館長を務める社会学科の徐二鍾(ソ・イジョン)教授は「予算が足りないことを理由に、研究に必要な資料を購入しないわけにはいかない」とした上で「(海外の出版社に対して)契約上弱い立場にある複数の大学図書館が連携し、価格交渉力を高めることが狙いだ」とコメントした。
ソウル大学は今回の電子ジャーナル共同定期購読が成功すれば、次は他の国立大学と連携して単行本の共同購入や共同保管用書庫などについても検討を進める計画だ。同時に私立大学と協力する方法も模索する。ソウル大学は韓国国内の複数の有名私立大学から図書館の共同利用について参加を打診されたが応じなかった。「名門大学だけがグループをつくっている」などの批判を避けるためだったという。
ソウル大学は図書館の共同利用まではいかなくとも、電子ジャーナルについては門戸を開くことにした。ソウル大学の関係者は「来年から新規の学術誌を購読する際には延世大学と協議し、重複購入を減らすことで一致した」と明らかにした。