モーニング娘。20周年企画

譜久村聖(後編)私が憧れていたモーニング娘。は今も

  • 第10回
  • 2018年8月2日

  

鞘師の夢をモーニング娘。が奪うのはもっといけない

道重さゆみという支柱を失い、バラバラになりそうだったモーニング娘。を「それぞれの個性を引き出す」というアプローチで再びまとめ上げた9代目リーダーの譜久村聖。2015年春のツアーファイナルの日本武道館公演では、観客から大歓声がわく見事なステージを披露してみせた。

しかしそれは、絶対的なエースへと成長していた鞘師里保が卒業を決心した公演でもあった。鞘師は同年秋にブログで卒業を発表すると、大晦日のコンサートを最後に、グループを去っていった。

「やっぱり悔しいという気持ちは強かったです。道重さんの卒業を見送った9期から11期までの9人で目指していた夢は、かなわなくなってしまった。気持ちはものすごく沈みました。ただ、だからといって彼女の夢を私たちが奪うのはもっといけないことだとわかっていました。それなら限られた時間の中で何をするべきかを考えなければいけない、このメンバーでいられるのは残りわずかだという思いが、みんなの気持ちをひとつにしてくれたと思います。モーニング娘。はそうやって少しずつ成長していくグループなんだと改めて痛感しました」

卒業と加入の繰り返しで代謝を促すことで、第一線で活躍するグループであり続ける。これは、この連載で各リーダーが語ってきたモーニング娘。の大きな特徴の一つだ。メンバーが入れ替わるたびに感じる、寂しさや悲しさは避けられないが、それを乗り越えた先には、個々のメンバーやグループ全体の成長があった。

  

「変化に対して落ち込むことはたくさんありましたが、すべてを受け入れることが大事だと気づきました。それに私が不安を感じていたら、ファンの皆さんにも伝わってしまう。だから今は、卒業や加入を“新しい変化”と思って前を向いて、楽しく受け入れることが大事だと思っています。どんなときも自信を持って、物怖じせずにやっていきたいと思うし、メンバーもそうであってほしいと思っています」


アイドルがこんなに踊るなんて意味が分からない

変化を受け入れて進む決意をした譜久村が率いるモーニング娘。は、また新たなステージへ歩みを進めることになる。2016年2月、鞘師の卒業から2カ月あまりが経過した“モーニング娘。'16”は、テキサス州ヒューストンで開催されたイベントのメインアクトとして単独コンサートを開催した。

「誰でも来場できるフリーの会場だったのですが、最初は私たちのファンの方がほとんどだったのに、どんどん人が増えていって、最終的に6,000人くらいが集まってくれたんです。現地の方々は『アイドルがこんなに踊るなんて意味が分からない』と驚いてくれたみたいで、それはやっぱりパフォーマンスを評価してもらえたということですよね」

プラチナ期に提唱した“格好いいモーニング娘。”の集大成のひとつであるフォーメーションダンスは、再び世界でも評価された。それは他のアイドルグループにはまねできないパフォーマンスだという自負もある。

「今はAKB48さんや乃木坂46さん、欅坂46さんなどいろんなアイドルがいますが、私たちの方が踊っている。そこに対する自信は強く持っています」

  

エンターテインメントの本場の観客から喝采を浴びるほどのクオリティーまで高めていくには、並々ならぬ努力が必要だった。その努力を楽しむ気持ちを教えてくれたのが、高橋愛だったという。

「私は元々、自分の立ち位置などを気にして、大人数の中で目立つことばかり考えていたのですが、高橋さんを見ていると『歌やダンスは楽しむものなんだ』ということがものすごく伝わってくるんですよ。高橋さんが全身で楽しむ姿を見て、パフォーマンスはまず自分が楽しまなければいけないと気がつきました。言葉ではなく、行動や背中で教えてくれたのが高橋さんでした。もちろん練習など苦しい時もありますが、そんな時こそメンバー同士で励まし合えますから」

そして、仲間を支え、喜びを分かち合うリーダー像は、新垣里沙から学んだ。

「新垣さんは、一人ひとりのことを丁寧にしっかりと見て下さって、注意するべき事はもちろんきちんと言っていましたが、よく褒めてくださった。それがその頃の私には本当にうれしくて、その喜びは今もよくおぼえています。だからこそ自分がリーダーになってからは、私も後輩に対して同じように接したいという気持ちになれたんです」

【動画】YouTube「モーニング娘。'18『Are you Happy?』(Morning Musume。'18[Are you Happy?] Promotion Edit)」


ただの女の子集団にはしたくない

そんな2人の背中から学び、いまグループを引っ張る譜久村には、まだ果たせていない目標があるという。

「横浜アリーナでの卒業コンサートで道重さんがおっしゃっていた、『私も知らなかったような、もっともっと大きな景色をみんなには見てほしい』という夢は、やっぱりかなえたい。モーニング娘。'14時代のメンバーの夢は、すべてかなえてから卒業したいです。その一つとして、私はさいたまスーパーアリーナまで行きたいと思っていますし、そこに立つに相応しいグループになりたい。ガンガンに攻めていきたいです」

「私はモーニング娘。を、ただの女の子集団にはしたくないんです。先日、初めてアクロバットにチャレンジした時も皆さん驚かれたと思うのですが(笑)、『今度はこんなことをやってる!』と皆さんに新鮮な気持ちになってもらえることに、どんどんチャレンジしたいです!」

  

プラチナ期への憧れ、今も生きている

20年の歴史の中で、モーニング娘。は、メンバーの卒業と加入、継承と改革を繰り返した。一時の低迷にも負けず、時代の流れとは異なる“ダンス技術への特化”が突破口になると信じて鍛錬を続けた。

その結果、復権を果たしたグループの現リーダーとして、さらに上を目指す彼女は、プラチナ期と称されるようになった先輩たちについて、どう考えているのだろうか。

「私はその頃のモーニング娘。が純粋に大好きで、だからオーディションに参加しました。そして、当時の先輩方には大変な苦労があった事を、メンバーとして活動していく中で知りました。2013年の田中さん(田中れいな)の卒業公演で、私は初めて日本武道館のステージに立たせていただきました。その時、恐れ多いと思いつつも、いただいたチャンスを無駄にしてはいけないと、『これからは私が先輩の思いを引き継ぐ!』という強い気持ちでステージに立つことができました」

「そうやって先輩方が連れてきてくださった場所や目指した夢を、後輩たちが大事にする。今のモーニング娘。'18が愛でいっぱいなのは、先輩方の残してくれた思いがあるからです。私が憧れていたモーニング娘。は、今もしっかり生きています!」

(インタビュー・文:平賀哲雄、撮影:Jumpei Yamada)

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モーニング娘。'18公演情報

モーニング娘。'18「メキシコ公演」開催決定!
http://www.helloproject.com/morningmusume/event/detail/5d7ac059c7c0a006b73036567c369ea5cfd3d7f5/

モーニング娘。'18コンサートツアー秋〜GET SET, GO!〜
http://www.helloproject.com/morningmusume/event/detail/ac73467decb61a2c523bcc0bcfc1b4bcca0b05d5/

モーニング娘。'18・アンジュルム「rockin'on presents ROCK IN JAPAN FES.2018」出演決定!
http://www.helloproject.com/morningmusume/event/detail/de280057b0467a0f8777bc7ad3d0f17cabcaecee/

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