千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える

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定年延長70歳で完済予定の住宅ローンは老後破産リスクと病気のリスクをカバーせよ!

人生100年時代、完済年齢が後ろ倒しになる30年後を見越した住宅ローンの選び方

どうも千日です。100歳まで生きる時代が来ると言われてます。その一方で年金の支給開始は後ろ倒しになり、その支給額も減っていく。それで老後破綻や老後破産してしまう『長生きリスク』に対応しなきゃ、なんて皮肉な世の中ですよね。

これから家を買う人は、老後生活の長期化によって貯蓄が底をつき、自己破産してしまわないような住宅ローンの借り方、返し方を考えなければなりません。

国土交通省がまとめた『平成29年度 住宅市場動向調査 報告書』によると、いま家を買っている人の平均的な完済予定年齢は70歳です。

形態 取得年齢 返済年数 取得年齢+返済年数
注文住宅 39.5歳 建物31.1年 土地33.2年 建物70.6歳 土地72.7歳
分譲戸建住宅 37.4歳 30.7年 68.1歳
分譲マンション 39.5歳 29.7年 69.2歳

一般的な定年退職の年齢は60歳ですから、このまま行くと貯蓄を取り崩しながら住宅ローンを返済することになります、中にはもう返済を続けられない…なんていう人が出てくるでしょう。

住宅ローンが残っていると生活保護は受けられません。生活保護のお金で受給者が自分の財産を作ることになるからです。せっかく購入した我が家を手放さなくてはならなくなります。

このリスクに対処する方策を二つの側面から解説しましょう。

  • 定年を延長して収入のある期間を延ばす。
  • 高齢化による病気のリスクを保険でカバーする。

では始めますね。

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40代後半から共働きで定年を70歳まで延長して完済を目指す住宅ローンの注意点

こちらは千日の住宅ローン無料相談ドットコムで千日にご相談頂いた方のリアルなケースです。

年齢と年収

夫44歳 430万 定年65歳(70歳まで勤務できる)

妻39歳 280万 時短勤務2021年から復帰予定

子供9歳、4歳

自己資金 350万円
物件価格 2978万円
物件タイプ 新築マンション2020年3月完成予定(46歳でスタート)
借入予定額 2628万円
住宅ローン 固定金利で借入したいのですが、フラット35がオススメでしょうか?三井住友信託の20年固定も安いと聞きました。
相談内容 70歳まで勤務可能とはいえ、この住宅ローンで老後破産にならないか不安です。大丈夫でしょうか?また、おすすめの住宅ローンがあれば教えてください。

では、まずこの住宅ローンが無理なく返済できるのか?というところから検討します。千日は「無理なく完済できる住宅ローン」をシミュレーションするために、4つのルールを提唱しています。

  1. 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
  2. 返済額が一定になる元利均等返済方式
  3. シミュレーションの金利は固定金利
  4. 定年時のローン残高は1000万円以下

これをざっくりあてはめて無理なく返済できる住宅ローンの金額をマトリックス表にすると以下のようになります。

(単位:万円)

 年齢/月収 15万 20万 25万 30万 35万 40万
25歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
30歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
35歳 1997 2663 2972 3535 4125 4714
40歳 1997 2357 2630 3043 3550 4057
45歳 1768 2029 2263 2515 2934 3354

※これは定年の年齢を60歳という前提での表です。

実際の定年は65歳で70歳まで延長できるということですので、上記の表に当てはめるときに、年齢を5歳若くすれば65歳定年、10歳若くすれば70歳定年での金額を求めることができます。

  • 定年65歳:借入2357万円(月収20万円で40歳のところ)
  • 定年70歳:借入2663万円(月収20万円で35歳のところ)

なので、単純に見れば定年70歳ならば問題なく返済できるレンジ内に入っていることになります。

収入が減り、支出が増え、病気にかかりやすくなるリスクをカバー

ただし、問題はそんなに簡単ではありません。

  1. 収入の減少:定年が延長されても、なんだかんだで後半の収入は減ります。
  2. 支出の増加:購入して7年後には長女の大学入試、12年後には次女の大学入試と支出が増えます。
  3. 健康リスク:60歳を超えると健康リスクが倍増します。また、両親の介護が必要になり介護費用が必要となるリスク、働けなくなるリスクが増えます。 

住宅ローンのスタートが遅くなる分、こうしたリスクに対応する住宅ローンの選択、返済計画を立てる必要があるのです。 

収入の減少と支出の増加というリスクに対応するためには、当初から繰上げ返済資金を貯めていく必要があります。

また、団信の疾病保障が有効です。年齢が高いということは、団信に入れば得ということです。まえに20代は団信に入ると損だという記事を書きました。

ということは、年齢が高い人は疾病保障をつけることで得をするということです。真面目な話、ある一定の年齢を超えると病気のリスクが急激に上がります。

全疾病保障が無料で付帯する住信SBIネット銀行

住信SBIネット銀行では全ての病気やケガで1年以上働けなくなった(又は入院した)場合に住宅ローンがゼロ円になる団信が無料で付帯します。

1年以上入院するなんてほとんど無いから意味ない。

こんな風に言う人がいますけど、65歳を超えるとそんなことは言ってられないですよ。

こちらは厚生労働省による「患者調査(2014年)」から千日が抽出した表です。2014年10月時点の推計入院患者数を入院期間、性別、年齢階級、傷病大分類別に集計したデータで一般に公表されているものです。

(単位:万人)

年齢別 入院期間 精神疾患除く傷病
1年以内 1年超
総数 856.3 196.5
65歳以上 639.3 162.4
65歳未満 217.0 34.1

入院患者数のうち、65歳未満で1年超入院している人の数は確かに少ないですね。しかしこれが65歳以上になると5倍くらいに跳ね上がるんです。

70歳まで仕事をして住宅ローンの返済を続ける人はほとんどいないという考え方が当たり前だからですね。だからこそ、この疾病保障が無料で付帯しているという面もあるのです。

しかし、これからは70歳まで仕事して住宅ローンを返すというのがアリなんですよ。なら、今のうちにこの保険に入っておくのが得策ということです。

ガン50%保障が無料で付帯するじぶん銀行

同じことはガン(悪性新生物)についても言えるのです。じぶん銀行ではガンにかかったら住宅ローンが50%になるガン50%保障が無料で付帯します。 

こちらは厚生労働省による「患者調査(2014年)」から千日が抽出した表です。2014年10月時点の推計入院患者数を入院期間、性別、年齢階級、傷病大分類別に集計したデータで一般に公表されているものです。

(単位:万人)

年齢 性別 ~39歳 ~49歳 ~59歳 ~69歳 ~79歳 生涯
全ガン 男性 0.9 2.4 7.5 20.1 39.6 60
全ガン 女性 1.8 5.2 10.3 17.6 27.5 44.9

折れ線グラフにしました。

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60歳を超えてからがグンと上がってますよね。無料で付帯するというものですので、あまり期待していないかもしれませんが、年齢が上がってくると素晴らしい費用対効果があるのです。

身体障害保障の付くフラット35

フラット35の団信には民間銀行の一般団信には無い魅力があります。死亡に加えて身体障害(身体障害者福祉法1級or2級)についても保障の範囲に含まれるのです。一般の団信は死亡と高度障害になっています。

項目 フラット35団信 一般団信 備考
死亡 住宅ローンがゼロ円  
身体障害 身体障害者福祉法に定める障害等級(1・2級)の「身体障害者手帳」を交付されれば住宅ローンがゼロ円になる。保障の要件が具体的。 高度障害よりも軽い障害であっても保障される。
高度障害 非常に重い障害状態でその後の生活に重大な支障をきたす状態になると住宅ローンがゼロ円になる。保障の要件が抽象的。 高度障害の一部については、新団信では保障対象ではなくなるものもある。

かなり、保障が厚くなったと言えると思います。

注意点としては『身体障害』と『高度障害』ではそもそもの定義が異なるので、単純に範囲が広がったということではなく、備考にあるように逆に保障対象でなくなってしまうものもあるということですね。

  •  ペースメーカを植え込み、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される場合(1級)
  • 人工透析を受けており、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される場合(1級)

こういった比較的可能性の高いリスクについて住宅ローンの残高がゼロ円になるのは大きな魅力です。加齢とともにリスクが高くなるものですし。 

完済に問題無いか?シミュレーション

実行予定は2020年ですからかなり先になりますが、とりあえず最新の2018年8月時点の条件で前述3つのおすすめ住宅ローンについて比較をしてみましょうか。

2692万円35年 ①フラット35(団信あり) ②住信SBI20年固定(全疾病保障) ③じぶん銀行(ガン50%保障)
金利 1.34% 1.26% 0.457%

これらの毎月の返済額と65歳の残高、70歳の残高を比べてみましょう。

(単位:千円)

2692万円35年 ①フラット35(団信あり) ②住信SBI20年固定(全疾病保障) ③じぶん銀行(ガン50%保障)
毎月返済 78 77 67
65歳残高 13,545 13,454 12,536
70歳残高 9,619 9,537 8,716

変動と固定で毎月の返済額に約1万円の差があります。金利が倍以上になっても返済額が倍になるわけではありません。これは返済額に含まれる利息の差ということです。

65歳残高はもし定年を延長できなければ一括返済しなければならない額です。

総務省の「平成26年全国消費実態調査」によると世帯主の年齢が65歳以上の世帯(高齢者世帯)平均収支は以下のようになっています。

(単位:千円)

収支 高齢勤労世帯(2人以上) 高齢無職世帯(2人以上) 高齢無職単身世帯(男性) 高齢無職単身世帯(女性)
収入 399 239 139 130
可処分所得 350 209 119 121
消費支出 284 243 149 153

高齢無職世帯と高齢単身世帯では毎月3万から4万円の赤字になってますよね。この消費支出の中に住宅ローンの返済は含まれません(消費じゃないから)。

ここに住宅ローンの返済7万~8万を加味すると、高齢無職世帯では11万円から12万円の赤字になります。高齢勤労世帯でもギリギリ収支ゼロなのです。

なので、しっかりこの残高を減らす貯金を貯めておかなければ危ないということですね。 

総支払額でどれが有利か?シミュレーション

次は総支払額でどうか?というシミュレーションです。

(単位:千円)

2692万円35年 ①フラット35(団信あり) ②住信SBI20年固定(全疾病保障) ③じぶん銀行(ガン50%保障)
借入費用 753 688 688
65歳まで返済額 17,879 17,649 15,440
65歳残高 13,545 13,454 12,536
住宅ローン減税 -2,288 -2,284 -2,241
差し引き 29,890 29,508 26,424
順位 3位 2位 1位

※上記「借入費用」は概算です。

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金利変動リスクと総支払額でバランスの取れた住信SBI20年固定

総支払額の順位は、結局のところ金利の順位ということになります。

1位:変動金利0.457%

2位:20年固定1.26%☜おすすめ

3位:フラット1.34%

しかし、変動金利の方は当たり前ですが、金利の変動リスクがありますよね。安くて当然です。

金利変動リスクをゼロにできるのは20年固定とフラット35ですが、20年固定の方が金利が安い分だけ総支払額で38万円安くなりますね。バランスが取れているのは住信SBIネット銀行の20年固定です。

金利の上昇に対応できるならじぶん銀行の変動金利も可

じぶん銀行の変動金利を選ぶ場合は…

  • 毎月の返済額の4分の1を貯金した上で、貯金も含めて手取り月収の4割以下になっていることが必要です。
  • また、5年以内に金利が上がったときには約550万位を一括返済することも想定しておく必要があります。

今の変動金利の毎月返済は6万7千円ですから、これの4分の1を貯金するとなると、8万4千円です。これを手取り月収の4割以下にするには、月収21万円ほど必要となります。

年収430万円ならばジャストクリアしている感じです。

金利が上がったときに返済する金額の表は以下のようになっています。

(単位:万円)

2628万円借入から金利上昇したら繰上返済すべき金額
残期間 30年 25年 20年 15年
残高 2,283 1,926 1,560 1,184
0.5→1.0% 159 113 74 43
0.5→1.5% 304 218 144 84
0.5→2.0% 435 314 210 123
0.5→2.5% 554 403 271 160
0.5→3.0% 663 485 328 195
0.5→3.5% 762 561 382 229
0.5→4.0% 853 632 433 261

例えば借入から5年後には、残期間30年になっていて、そのときの残高は2,283万円です。

その時点で金利が0.5%から2.5%に上昇したとしたら、554万円を繰上げ返済することで、今後も7万円弱の毎月返済で完済できるということです。つまり、場合によっては554万円の損だってあり得るということです。

これはそうなると予言しているのではなく、リスクの大きさを把握するためのものです。

それを「想定内のリスクとして受け入れられるか?」という物差しです。どうか誤解無きよう。

まとめ

最後にまとめとして、おすすめしたネット銀行の住宅ローンの詳細を書いておきます。

20年固定では住信SBIネット銀行、変動金利ではじぶん銀行でしたね。変動金利ではどちらも同じ0.457%ですが、住信SBIは20年固定に力を入れているので、20年固定で紹介しました。

それぞれで無料で付帯する疾病保障特約は次の通りです。

住信SBIネット銀行全疾病保障 じぶん銀行がん50%保障
精神障害等を除く全ての病気やケガで働けなくなったらローン返済がゼロ円になる。 6カ月の余命宣告をされたら住宅ローン残高がゼロ円になる。
8疾病で12カ月継続して働けなくなったらローン残高がゼロ円になる。 医師にガンと正式診断されたらその時点のローン残高が50%になる。
8疾病以外の病気やケガの場合でも入院により12カ月継続して働けなかったら、ローン残高がゼロ円になる。 入院などの条件なし。
住信SBIネット銀行の審査へのリンク(マネープラザの実店舗) じぶん銀行はauユーザならさらにポイントバックあり(サイトへのリンク)
住信SBIネット銀行は収入が名義人である大黒柱に偏っている場合におすすめ

収入が住宅ローンの名義人である大黒柱に偏っていて、もう一人はパート収入や臨時雇用収入である場合は、住信SBIの方がマッチします。

病気になって入院費が高額になっても、高額医療保険制度で自己負担の上限は数万円です。長期間就業できず勤め先からの収入が途絶えた場合でも最長1年6カ月までは傷病手当金で生活を維持できます。

そして、この入院期間が12カ月を超えればローン残高はゼロ円になります。

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夫婦の収入がほぼ同じ位の場合はガン50%保障が無料で付帯するじぶん銀行

夫婦の収入がほぼ同じくらいで、妻も定年までフルタイムで働くというライフスタイルであれば、早い段階で保障が受けられるじぶん銀行がマッチします。

6カ月の余命宣告を受けたらローン残高はゼロ円になります。

また、がんと診断された時点でローン残高が50%になります。つまり、今後は返済が半分に軽減されるので、今の家に住みながらパートナーの看病を続けることが出来ます。その後の住宅ローンの負担は大きく軽減されるでしょう。

実店舗での相談サービスあるSBIマネープラザ

また、SBIマネープラザが販売する「MR.住宅ローンREAL」は、住信SBIネット銀行の商品です。ネット銀行の商品でありながら、実店舗での相談を受け付けており、実店舗から申込を受け付ける商品です。金利も全疾病保障も手数料も全く同じです。

ネット銀行には書類の記入に不備があるとその都度手戻りとなるなど、ネットならではのデメリットがありますが、そのデメリットが無くなるという点だけでも魅力的です。

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auユーザーならキャッシュバックがありおすすめ

auユーザーならKDDIが代理店として販売しているau住宅ローンがおすすめです。商品の中身はじぶん銀行と全く同じです。

通信料の他にも保険契約のまとめ割、au電気料金のまとめ割などでキャッシュバックが受けられますので、金利以外の部分でもメリットがあります。もちろん先ほどのガン50%保障も無料で付帯します。

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以上、千日のブログでした。

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《あとがき》

ブログで紹介しているマイホームの購入と住宅ローンのノウハウの詳細をまとめたのがこちらの本です。

 

全国の大型書店と通販で発売中です。ブログでは、さまざまなエントリーに分散してしまいがちな情報を分かりやすく整理し、よりすぐりのノウハウと考え方をまとめた本です。

まずは一通りのことを知りたい人にオススメです。

2018年8月2日 

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