事実を確認すべくナザリックに戻るモモンガ様だったが────
◇馬車の中のNPC────
「はぁ…………」[シャル]
「どうなさいました? シャルティア様」[セバ]
「どうもこうもないでありんすぇ…………アルベドはモモンガ様、いえアインズ様の正妃という地位を手に入れたというのに、わたしにはまだお呼びがかからない…………やはり、胸、なのでありんしょうか…………」[シャル]
「そんなことはないと思いますよ。シャルティア様」[セバ]
「慰めはいらないでありんす…………」[シャル]
「いいえ、シャルティア様。私もそう思いますわ。アインズ様は胸の大小で
「もちろんアインズ様は狭量などではありんせん! だけど、だけど、アインズ様にも
「それにつきましては、おそらく問題はないかと」[ソリュ]
「なぜ!? なぜそう言い切れるでありんすか!?」[シャル]
「ナーベラルがお手付きになったようですので」[ソリュ]
「「えっ!?」」[シャル・セバ]
「アルベド様を基準にすれば、ナーベラルの胸は決して大きいものではありません。ですので、胸の大小で伽を務める者を選ばれる、ということはないのではないかと」[ソリュ]
「ちょっ、ちょっと待つでありんす! いい、今、聞き捨てならないことを言いせんでしたかぇ!?」[シャル]
「わ、私も初耳です。本当なのですか、ソリュシャン?」[セバ]
「ナーベラルがアインズ様のお手付きなったことでしょうか? でしたら、ええ、間違いありませんわ」[ソリュ]
「い、いつの間に…………」[シャル]
「確か、アインズ様がモモン様という名前で人間の街に行かれて、初日のことだったかと」[ソリュ]
「しょ、初日…………」[シャル]
「な、なぜ私に報告が来ていないのですか? ソリュシャン」[セバ]
「私が知ったのは、偶然アルベド様とナーベラルの
「ん、コホン。なるほど、了解しました。では、私たちもそれに習いましょう」[セバ]
「…………たい…………て…………」[シャル]
「? シャルティア様、なにか?」[ソリュ]
「いったい、どうやって!? どうやってナーベラルはアインズ様の寵愛を得られたの!? どんなきっかけで!? なにがアインズ様の琴線に触れたの!?」[シャル]
「シャ、シャルティア様? 言葉遣いが…………」[セバ]
「はっ!! ん、んん!! ナ、ナーベラルはどうやってアインズ様のご寵愛を得たでありんすか?」[シャル]
「申し訳ありませんシャルティア様。詳しい内容までは…………」[ソリュ]
「そう、でありんすか…………」[シャル]
「ですが、部屋で二人になってすぐ…………という言葉をアルベド様が漏らしておられましたので、アインズ様とお二人きりになる機会があれば、ご寵愛を得る可能性も高いかと」[ソリュ]
「そ、それは本当でありんすかぇ!?」[シャル]
「至高の御方に関わることで嘘など申しませんわ」[ソリュ]
「そ、そうよね。ごめんなさい」[シャル]
「いえ、シャルティア様のお気持ちも分かりますので」[ソリュ]
「ソリュシャン、あなたも…………」[シャル]
「ナザリックに存在する女で、偉大なる御方に恋焦がれないモノなどおりませんわ」[ソリュ]
「そう…………そうでありんすよね。至高の御方を想う気持ちは皆同じ…………お互いに、頑張ろうじゃありんせんか、ソリュシャン」[シャル]
「はい、シャルティア様」[ソリュ]
「お二人共。仲良くご歓談のところ申し訳ないのですが、どうやら獲物が針に掛かったようです」[セバ]
「おや、ようやくでありんすかぇ」[シャル]
「シャルティア様、よろしければあのザックという男は私に頂けないでしょうか?」[ソリュ]
「構いませんぇ。貴女とは同じ目標を持つ同士でありんすもの」[シャル]
「ありがとうございます」[ソリュ]
「…………馬車が止まったようでありんすね」[シャル]
「そうですな」[セバ]
「盗賊退治などあまり気は乗りんせんが────アインズ様の為、蹂躙を開始しんす」
◇シャルティアの反乱────
「シャルティアが裏切った、だと?」
「はい、アインズ様。セバスの話では野盗と遭遇、殲滅した後、シャルティアは残りの野党を捕獲するべくアジトに向かったようです。その間に不審な点はなく、アインズ様のご寵愛をどうすれば受けられるかと口にしていたと聞いております」[アル]
「なるほど、つまりそれ以降、反旗を翻すなにかがあったということか」
「はい、そう推察されます」[アル]
「ふむ、マスターソース・オープン…………確かに、シャルティアの文字が黒くなっているな」
「ご覧の通りに」[アル]
「ん? アルベドと…………ナーベラルの名前がピンク色になっているな」
「はい。アインズ様♡」[アル]
「マーレの名前も、ピンクになっている」
「まあ、アインズ様ったら、いつの間にマーレまで♡」[アル]
「これは…………」
「はい♡」[アル]
「あれだよな」
「はい、間違いないかと♡」[アル]
「そうか」
「はい♡」[アル]
「んん!! あー、これは、な…………決して浮ついた気持ちでヤッたのではないぞ、アルベド」
「もちろんでございます、アインズ様♡ アインズ様の大いなる愛は、その寵愛を受けたもの全ての心と体に深く刻まれております♡」[アル]
「う、うむ。そうか」
「はい♡」[アル]
「分かっているなら、うむ、よいのだ。うむ」
「アインズ様?」[アル]
「な、なんだ? アルベド」
「マーレとは、いつ?」[アル]
「あー、うむ、マーレとは、な、あれだ。ナザリックの偽装をやり遂げた際に、褒美に欲しいものはないかと聞いたら、私と、その、結婚したいと言われて、な」
「なるほど、あの時でございましたか」[アル]
「お前を
「はい、もちろん承知しております。私よりも前か後か、少しだけ気になったものですから」[アル]
「う、うむ。私は、お前が初めてだぞ、アルベド」
「は、初めて…………?」[アル]
「あ、いや」
「くふーーーーーーーー!!」[アル]
「あぁ、ちょ、ちょっと待つのだアルベド、今は…………!!」
「我慢できません!!」[アル]
「あっはい」
◇至高の戦いを前に────
「それで、お伺いしましょうか? なぜ、アインズ様がお一人で向かうことを認めたのです?」[デミ]
「もちろん、アインズ様がお決めになったことだからよ?」[アル]
「なぜ、アインズ様が
「アインズ様は仰ったわ」[アル]
「…………なんと、仰ったのですか?」[デミ]
「私の愛する者たちが戦う姿など死んでも見たくない、と」[アル]
「!!」[デミ・コキュ]
「そうまで言われて、止めることが出来る? デミウルゴス」[アル]
「それでも…………それでも止めるべきだったのではないですか!? このナザリックで戦うことの出来る守護者は、女性ばかりではありません! 私やコキュートスだって…………」[デミ]
「あなたは勘違いしているわ。デミウルゴス」[アル]
「な、なにを…………」[デミ]
「アインズ様は、ナザリックに存在するもの全てを愛している。そう仰ったのよ」[アル]
「!!」[デミ・コキュ]
「アインズ様の愛は、広く、深く、大きいわ、デミウルゴス。あなたが考えているよりも、ずっとね」[アル]
「なんと、なんと勿体無いお言葉…………」[デミ]
「オゥオゥオゥ…………!」[コキュ]
「どう? ここまで仰っていただいているというのに、まだアインズ様を信じることができないかしら?」[アル]
「…………いえ、確かに、そこまで仰られたアインズ様をお止めすることが出来る者など、このナザリックには存在しないでしょう」[デミ]
「なら、そこに座って大人しくあの方の勇姿をご覧なさい。私たちは応えなければなりません。あの方の愛に、あの方の信頼に」[アル]
「オゥオゥオゥオゥ…………!」[コキュ]
「…………いつまで泣いているんですか、コキュートス…………」[デミ]
◇至高の戦い────
「アインズさまぁ! なかなか痛かったですよぉ!」[シャル]
「そうか。では続けて〈
「ガフッ! な、なぜ連続で超位魔法を…………!?」[シャル]
「さらに〈
「ぐうぅぅぅううううっ! なぜ! なぜぇ!?」[シャル]
「知りたいかね? シャルティア」
「あ、あぁぁ…………」[シャル]
「
「あぁぁぁああああああ!!」
◇至高の戦いを見ていた者たち────
「なんと…………圧倒的ではないですか…………」[デミ]
「秒殺デアッタナ」[コキュ]
「超位魔法の連打で一度シャルティアを滅ぼし、アイテムによって復活したシャルティアに特殊技術で止めを刺す…………」
「瞬殺ノ方ガ正シイカモ知レヌ」[コキュ]
「あれほどの力をお持ちだったとは…………正直私は、いえ、私たちは至高の方々のお力の、ほんの一端しか知らされていないのかもしれませんね」[デミ]
「ウム。私モアインズ様トシャルティアノ戦イハ、三:七デアインズ様ガ不利ダト予想シテイタ」[コキュ]
「ああ…………アインズ様♡ アインズ様♡ 早くお戻りくださいませ♡ 私は、私はもう…………♡」
「……………………」[デミ・コキュ]
「アインズ様~~~~っ♡」
「シャルティアの復活準備を進めますか…………」[デミ]
「ソウダナ」[コキュ]
◇シャルティア復活────
「…………アインズ様?」[シャル]
「目覚めたか、シャルティアよ」
「わたしはいったい…………はっ、なぜ裸に? あ、ああ、もしかして、わたしはここで初めてを…………」[シャル]
「それはまた今度な」
「えっ…………?」[シャル]
「んん! シャルティアよ、お前の最後の記憶はなんだ?」
「あ、はい、えぇと…………ソリュシャンとどうすればアインズ様のご寵愛を受けることが出来るか話して」[シャル]
「そこは飛ばしてよい」
「え、はい、その後は…………盗賊のアジトを襲って中にいた人間をナザリックに送って…………その後は、その後は…………」[シャル]
「どうした、覚えていないか?」
「はい…………申し訳ありません」[シャル]
「いや…………よい、よいのだシャルティア。他に異常はないか?」
「はい、問題はないようでありんす」[シャル]
「そうか…………うむ…………」
「あの、アインズ様…………わたし、なにか?」[シャル]
「それは私から伝えます、アインズ様」[アル]
「…………うむ、そうだな。では任せたぞ、アルベド」
「畏まりました…………ほら、行くわよシャルティア」[アル]
「え…………? 行くって、何処にでありんすか?」[シャル]
「アインズ様の勇姿を映像に残してあるの。複数のアングルから撮影してあって、すでに編集済みよ。それを皆で観に行くの」[アル]
「わたしも撮影したんだよ!」[アウ]
「ぼ、ぼくも手伝いました!」[マレ]
「そうか。では、二人には褒美を与えねばな」
「そんな、褒美なんて…………」[アウ]
「お、お姉ちゃん…………ゴニョゴニョ…………」[マレ]
「ぴえっ!」[アウ]
「? どうした、アウラ」
「いいい、いえ、何でもありません、アインズ様! あの、その、ご褒美…………期待して、いいんでしょうか…………」[アウ]
「ああ、望むものがあるなら、言うといい」
「わ、分かりました! あ、あ、あ、後でお伺いします!」[アウ]
「あ、あの、ぼくも、いっしょに…………」[マレ]
「あらあら…………仕方ないわね、ご褒美ですもの。今日は二人に譲るわ」[アル]
「! そ、そういうことか。だが譲るって…………アルベドとは帰ってすぐに」
「さ、行くわよ皆!」[アル]
「ちょ、ちょっと、なんでありんすか? この疎外感は!」[シャル]
「観ればわかるよ。さ、行こうかシャルティア」[デミ]
「うう…………デミウルゴスもなんか怒ってる感じでありんす…………」[シャル]
「それは仕方ないんじゃないかな」[アウ]
「仕方ないと思います」[マレ]
「仕方ナイ」[コキュ]
「仕方ないのよ」[アル]
「なんなんでありんすかーーーーーーー!?」[シャル]
◇その少し後、ナザリック某所────
「いやぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」[シャル]
ふはは。
一日に三話書いてやったわ。
私にしては多い方。
でも他の人には普通くらいの量なのかな?
もっと早く、そして面白いものを書けるようになりたい今日この頃。
まあ、もう今日は疲れたから寝るけど。