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阿寒湖に「夜の森」テーマパーク アイヌ文化の体験も カナダから誘致、18年夏の開業めざす

2017/6/3 日本経済新聞 朝刊

阿寒湖観光はアイヌ民族の文化が重要な要素となっている(伝統行事の「まりも祭り」)

 NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構(釧路市、理事長・大西雅之鶴雅ホールディングス社長)は阿寒湖温泉地区への外国人観光客数を2020年度に倍増させるための主要施策を固めた。カナダで展開される夜の森を舞台とする体験型テーマパークを国内で初めて開設するなどで、欧米からの誘客を強化する。

 釧路市は観光立国ショーケース、国立公園満喫プロジェクトなど国の4つの観光推進施策に指定され、地方都市での外国人観光客誘致のモデルと位置づけられている。同機構は日本版DMO(観光地経営組織)候補に登録され、阿寒湖温泉地区の観光戦略を練っている。

 導入をめざすテーマパークはカナダ・ケベック州で展開されるフォレスタ・ルミナ。釧路では「阿寒フォレスト・ルミナ」(仮称)として18年夏の実現をめざす。最新のデジタルアートを使い、アイヌ民族の文化を見ながら約2キロにわたって阿寒湖の森の中を歩く、自然と文化を融合させる体験型観光の試み。今後、推進主体として釧路市内外の企業が参画する株式会社形式の「阿寒DMC」を設立する計画だ。

 さらに、18年春をめどに国の特別天然記念物マリモの生息地を訪れる体験型ガイドツアーを始めるほか、温泉街の空き店舗を活用した街中アートミュージアム、アイヌアート工房などの整備、国際的なトレッキングコースの設定、スキーなど世界レベルのスノーリゾートとして施設整備を強化するなど全部で5つの施策を推進する方針だ。

 大西理事長は「アイヌ民族の文化と自然の共生を体験できるほか、世界に認められるアドベンチャーツーリズムの聖地としても整備したい」と話す。

 阿寒湖温泉地区では20年度の外国人観光客を約25万人と、15年度の2倍にする目標を立てている。欧米からの伸びがカギになるとみており、同地区を訪れる外国人に占める欧米オーストラリアからの比率を15年度の2%から20年度に16%にすることを目指している。

[日本経済新聞朝刊2017年5月16日付]

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