前澤友作Twitterより

写真拡大

 フェラーリにプライベートジェット機、200億円はあっさり超えるアート蒐集。ネット服屋ことZOZOTOWN・前澤友作社長の金持ち自慢が止まらない。球団経営をぶち上げ、女優・剛力彩芽との交際もオープン過ぎて、その錬金と勘違いにうんざりするのである。

 ***

〈ラッシュにもまれてつらそうな顔をしているサラリーマンを見ているうちに、このまま大学に行って就職するというレールに乗っかるのは嫌だなと〉

 と過去に語っているのは、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する「スタートトゥデイ」の創業社長・前澤友作氏(42)である。

 女優・剛力彩芽(25)との交際、彼女とのロシアW杯決勝現地観戦、その後の剛力のインスタグラム全削除、自社ブランド立ち上げ、「プロ野球球団を持ちたい」発言。あれもこれも2018年に起こった、あるいは起こされた前澤社長絡みの出来事であり、その度に自社の株は上昇し……といった具合に、カネと女と発言は地下茎の如く絡み合い、社長ご当人の人生双六に一役も二役も買っている節がある。

前澤友作Twitterより

 早実高在学中から音楽活動にのめりこんでいた彼は、その言葉通りにレールから外れた。94年に高校を卒業しても大学に進学はせず、当時交際していたガールフレンドの米国留学に付いて行くことにしたという。

 帰国後、自宅の6畳1間を事務所とし、米国で買い付けたレコードやCDのカタログ通販を手掛け、年商は1億円に。同時に続けていたバンド活動も順調でメジャーデビューまで果たすが、前澤氏はビジネスの方を選んだ。98年に自社を設立。00年頃にファッションのネット通販に打って出て、04年にZOZOTOWNを開き、07年に東証マザーズ、12年に東証1部上場を成し遂げた。

 地元・千葉への愛は深く、本社所在地近辺に住む社員には「幕張手当」を月5万円支給。基本給とボーナスは約900人いる従業員一律で、違うのは役職給のみ。地元愛で言うなら、16年に千葉ロッテの本拠地球場の命名権を「10年31億円」で買い取り、【ZOZOマリンスタジアム】と名付けた。

営業利益は326億円

 今年3月期の数字で見ると、参加ブランドは6443、年間購入者数722万人、商品の取扱高2705億円、本業の儲けを示す営業利益は326億円。エルメスやプラダ、グッチといったラグジュアリー系を除いたブランドが軒並み顔を並べていると言っていい。

「試着させずに服を売るなんて無理という声、流行、消費増税といったハードルを、便利さやオシャレ度、ブランド数の増加、送料無料サービスで越え、成長曲線を描いてきました」

 と、業界関係者。

「例えば、セレクトショップを展開するユナイテッドアローズは本来ならライバル。でも、重松さん(理(おさむ)名誉会長)は早い段階でZOZOに億単位を出資していたし、業界内で評価する人はそれなりにいました」(同)

 そして設立から20年の時を経た今年、前澤氏自身が、

〈訳あってめちゃめちゃ働くことにしました〉

 と宣言。スマホと連動させて各自の体型を隈なく記録する「ZOZOスーツ」の無料配布、それを基にプライベートブランドを興し、Tシャツとデニムパンツ、そしてオーダーメイドスーツの販売を始めたのだった。

5500億円超の資産

 自分たちでモノを作らない「ネット服屋」の批判を気にしたわけでもなかろうが、ロータス投資研究所の中西文行代表はこう手厳しい。

「ZOZOは紙媒体が主流だったファッション通販をネット展開しただけで、ビジネスモデルとして簡単に模倣のできる代物。自由闊達さを売りにしているようですが、それだってグーグルのマネに見えるし、ユーチューブなどのように他社に真似できないサービスを提供しているわけではない。ITといえど、マイクロソフトやソフトバンクなどと違って、先人が築いた優れたシステムに乗っかった、特段アタマのいい人材がいなくてもできるビジネスモデルなんです」

 目下、同社の時価総額は1兆5千億円に迫ろうという勢いで、それはJALやANAといった日本を代表する企業に伍し、東証1部上場銘柄の中で100位前後に位置している。前澤氏は自社株の37・94%を所有する筆頭株主で、個人資産は5500億円超。配当は年34億円に達するのだ。

「時価総額が1兆円を超える企業というのは、現在149社。日本の経済界において、それは間違いなく大台と言えます」(同)

 7月17日付の大和証券のレポートによれば、9月上旬に発表される日経平均株価の定期銘柄入れ替えで、候補の一つに擬せられている。

「東証としても、IT企業を仲間に入れることで産業構造の変化に順応したニューエコノミー企業を取り込みたい、市場の新陳代謝を進めたいという思いがあるはず。株価指数を決める225銘柄への採用が濃厚と報じられれば、株価は更に上昇するでしょう」(同)

 企業としては、双六で言う「上がり」の状態ということになる。

エンツォ・フェラーリ、123億円のバスキア

 前澤氏は増え続ける配当を収めた財布から、アート作品に超高級車、60億円ともされるプライベートジェットまでを手に入れてきた。その逐一は頼まれてもいないのにSNSで世界に向けて発信されており、「金持ち喧嘩せず」が常識の世の中に、少なくとも喧嘩を売ってきたことにはなる。知人のひとりは、

「クルマはいいものを持っていますね。世界に399台しかないエンツォ・フェラーリ、77台限定のアストンマーティンとかマイバッハ仕様のGクラスにブガッティ・シロン。6千万円から3億円くらいまで。本人はこれ見よがしってつもり、ないみたいだけどね」

 アートについては、88年に27歳で死去したジャン=ミシェル・バスキアの【無題】を昨年、約123億円で落札。予想価格のほぼ2倍の額で、英BBCは大きく報じた。また一昨年には、同じバスキアの作品を約62億円で手に入れている。その他、著名なアート作品と共に暮らしつつ、桃山時代の茶碗は自宅で食事する際に使うのだとか。

「マーケットではなくシークレットで作品を売りたい超富裕層や世界的な著名人がいて、彼らとの出会いは前澤社長にとって貴重なんでしょう。女性ですか? モテるんじゃないですかね。何人もの相手と同時に付き合うことは一般的にはうまくいかないと思われがちだけれど、彼はそうは思っていない。結婚はしていないけど事実婚をして子供だっているようだし、二枚目でもなければ背も低くて、お猿さんみたいですが、モテると思いますよ。因みに秘密めいた合コンをやる性格ではない。銀座の高級クラブに足繁く通うって話も聞かないね」(同)

「週刊新潮」2018年8月2日号 掲載