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 KDDI(au)は、総務省や公正取引委員会から問題を指摘されていた2年縛りや4年縛りを見直す。2018年8月1日に開いた2018年4~6月期連結決算(国際会計基準)の説明会で高橋誠社長が明らかにした。

 4年縛りとは、端末を4年(48回)の割賦払いとしたうえで一定期間の経過後、新端末に機種変更すると最大2年(24回)分の残債を免除するプログラムのこと。KDDIは「アップグレードプログラムEX」などの名称で提供し、同プログラムへの再加入を残債免除の条件としているため、ユーザーの拘束性が高いとして公正取引委員会が問題視していた。

 このため、KDDIはプログラム再加入の条件を基本的に撤廃する考え。「システム対応の問題があるので時期は未定だが、できるだけ早く対応したい」(高橋社長)とした。公正取引委員会は残債免除の条件に旧端末の下取りが入っている点も問題視していたが、こちらについては「これから公正取引委員会とも議論しながら対応すべきは対応する。現時点で確定的なことは言えない」(同)との回答にとどめた。

 4年縛りの問題を巡っては、ソフトバンクの「半額サポート」も同様な指摘を受けている。同社も「現時点で具体的な対応として決まったものはないが、公正取引委員会の指摘を踏まえ、消費者視点でより良いサービスを検討している」(広報)という。

 一方、2年縛りは携帯電話大手3社が契約期間を2年間としつつも、実際には24カ月分以上の料金負担を求められる実態を総務省が問題視している。2018年6月には大手3社に行政指導を出し、2年契約満了時点までの違約金と25カ月目の料金のいずれも支払わずに解約できるようにすることを求めた。

 これを受け、KDDIは違約金なしで契約を解除できる期間を現行の25カ月目と26カ月目の2カ月間ではなく、24カ月目を加えた3カ月間に拡大する考え。こちらも「システム対応があるため、来春に対応する方向で検討を進めている」(高橋社長)。総務省の要請も対応期限が2019年3月末までに区切られており、これに合わせた格好となる。

 競合のソフトバンクも「解除料が不要な更新期間を一定期間前倒しする方向で検討している」(広報)。NTTドコモも「24カ月目または24カ月目の後半2週間などに期間を広げることを考えている」(幹部)。ただ、「大手3社で条件が異なるとユーザーの混乱を招きかねず、公正競争の観点でも特定の事業者が不利になるのは避けるべき」(同)との声もあり、最終的には大手3社で足並みをそろえる可能性が高そうである。

 KDDIの2018年4~6月期連結決算は売上高が前年同期比1.9%増の1兆2217億円、営業利益が同2.6%増の2888億円と、増収増益だった。新料金プランのauピタットプラン/auフラットプランの契約数は7月末で900万件を突破。解約率(パーソナルセグメント)は同0.2ポイント減の0.71%に低下した。モバイル通信料収入は新料金プランの影響で前年同期に比べて減少したが、ライフデザインやグローバルなどの増益でカバー。「中期目標達成に向けて順調な進捗」(高橋社長)とした。

2018年4~6月期の営業利益の増減要因
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