「オトコが育児に参加するのが当たり前」の時代に変わりつつある。旬の経営者や学者、プロフェッショナルたちも、自らの育児方針や育休取得についてパブリックに言及することが増えてきた。優秀なリーダーたちは、我が子にどんな教育を与えようとしているのか。また自身はどう育てられたのか。そしてなぜ、育児について語り始めたのか。
連載11回目に登場するのは、アメリカのシリコンバレーで、日米のベンチャー企業の発掘・育成を手がけるWiLの創業経営者である伊佐山元氏。19歳の長女が世界難関の米スタンフォード大学に入学。子どもたちの学習を支えているのは、毎晩にリビングでみんなが集まって学ぶことだと明かす。どのような子育て方針を貫いてきたのか、話を聞いた。今回はその前編。
伊佐山さんは日米のベンチャー企業の創生や育成に携わる第一人者として活躍されています。アメリカのシリコンバレーに生活の拠点を移したのは2001年。当時はまだ、日本人は珍しかったのではないでしょうか。
伊佐山氏(以下、伊佐山):はい。銀行の留学制度で、2年間の勉強のつもりでスタンフォード大学に留学したのですが、MBA(経営学修士号)を取得後、新しい産業が次々と生まれる秘密を理解するため、シリコンバレーに残ることを決めました。
渡米した当時は娘が2歳、大学院を修了した頃には長男も生まれていました。アメリカで子育てをする選択も含めてチャレンジでしたが、夫婦で「何とかなるだろう。家族で一緒にサバイブしていこう」と決断しました。
今でこそ、シリコンバレーのベンチャー企業で日本人を見かけるようになりましたが、当時はほとんどいませんでした。苦労もありましたが、振り返ってみると、「この業界で生き残るだけで価値がある。ダメなら日本で出直そう」という、ある種の割り切りがあったので、やってこられたのかもしれませんね。
改めて、ご家族構成は。
伊佐山:妻と子ども4人の6人家族です。妻は大学時代のテニス部で知り合った2歳下で、今は専業主婦ですが、もともとはNTTのエンジニアです。
子どもは、上から大学2年生になる19歳の娘と、その下に息子が3人、15歳、14歳、9歳と続きます。にぎやかに暮らしています。
そのお嬢さんが、2017年にスタンフォード大学に入学されたとか。
伊佐山:世界の強豪が競う受験で、合格率は4%らしいので、僕も素直に強運だなと思いました(笑)。全学年通してもほかに日本人はいないらしく、孤軍奮闘しているようです。
彼女はちょうど今、夏休みを利用して、アイディオの日本オフィスでインターンとして働いています。
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