【135】 3月14日(火)
小森千晶 細川直美
本間あかり つみきみほ
花山信太 林 泰文
宮下みつ 貴島サリオ
本間和則 蓮池貴人
鳳プロ
田上 渉 筒井道隆
・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★
湖水館。あかりの部屋。
千晶が来たのを喜び「おばちゃん、一緒に遊ぼうよ」と和則。
和則は映画を見てきてもいいかと聞き、あかりは1人で行っちゃダメだと言う。
「和則、どういうわけか、映画が好きでね。 ‥それで?」
「田上君、昨日会ったのよ。待っててそしてかりんの実をあたしだって齧るのよ
あたし、どうしたらいい?」
「言ったでしょ? 何もできない、一人で立ち直るしかないって。
千晶に何ができるのよ」
「わからないから聞いてるんじゃない‥‥」
「田上君諏訪に帰るって言った事があったの。18歳だったわ。
その時私、反対したのよ。 向いてる方角が違うんじゃないの、
一度はハリウッドに行かなくちゃって。私にも責任あるのよ」
「だとしても何だっていうの? 本人の責任よ」
「あかりはそうして冷たいの?」
「あたしは冷たい女です。 千晶は話をすりかえているわ。
それと千晶を好きだって事と別よ。
そんなわかり切ってる事をどうして私に聞くのよ。
渉君を受け入れる? 浩平さんと別れて?
それともせめて一晩限り渉君の思いを遂げさせてあげる? できる?」
「あかり!」
「千晶、あなた今旦那さんとうまく行ってないんじゃない?
その分、渉君に行ってるのよ、あたしは黙って見てる。好きにしなさい」
「あかり、あなたはいつか言ったわ。
傷つくことなんか怖くない、 傷つくことが怖くて人を愛せないって」
「だから? 誰の事思ってそう言ってるの? 浩平さん? 渉君?
今でもそう思ってるわ。でもね、私とあなたは違うの。違うのよ。
千晶はいつも周りのことを先に考える。私、あなたのそういう所大好きよ。
自分を一番大切にして。それでどうするか決めなさい。
いいわね?わかったわね? じゃ、今言ったこと繰り返してみて」
「自分を一番大事にする‥」
小森屋。千晶が帰宅すると、家の前で信太とみつが話をしている。
「あ、お嬢さん、お帰りなさい」「ただいま」
「や! 松本のしめじをもらったんでおすそ分けにね」
「お嬢さん、どちらへ?」 「ちょっと湖水館にね」
「本間のところか。
あいつ、殊勝に仲居さんなんかやって変われば変われるもんだな。
母は強し、か」
台所。
「みっちゃん、花山君と随分楽しそうだったわ。笑顔が眩しいくらい輝いてた。
羨ましかったわ。私にも少し分けてほしい位に。
ねえみっちゃん、花山君のこと好きなの?」
「いえ、とんでもないです! 信太さんは・・社長さんは・・・」
走って逃げてしまう。
都座・客席。あかりがくる。
渉と和則は肩を組んで楽しそうに映画を見ている。
和則を客席に残して、映写室裏の部屋に上がるあかりと渉。
「まだ拗ねてるの? 次の目標見つからない?」
「ほっといてくれって言っただろ」
「あたしはやっぱり映画しかないと思うわ。渉君から映画を取ったら何も残らない。
さっきだって和則とあんなに生き生きと見てたじゃない。
映画はハリウッドだけじゃないわ。 日本でも」
「東京へ行くなと言ったのはお前じゃないか」
「諏訪で映画館のオヤジをしながらお金を貯めて、映画をつくる、
プロデューサーになる…あなたの人生はそれやらなきゃ終われないのよ。
私で出来ることがあったら何でもやってあげるから」
「本間…」
「私じゃ駄目? 私を千晶だと思いなさいよ」
(つづく)
小森千晶 細川直美
本間あかり つみきみほ
花山信太 林 泰文
宮下みつ 貴島サリオ
本間和則 蓮池貴人
鳳プロ
田上 渉 筒井道隆
・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★
湖水館。あかりの部屋。
千晶が来たのを喜び「おばちゃん、一緒に遊ぼうよ」と和則。
和則は映画を見てきてもいいかと聞き、あかりは1人で行っちゃダメだと言う。
「和則、どういうわけか、映画が好きでね。 ‥それで?」
「田上君、昨日会ったのよ。待っててそしてかりんの実をあたしだって齧るのよ
あたし、どうしたらいい?」
「言ったでしょ? 何もできない、一人で立ち直るしかないって。
千晶に何ができるのよ」
「わからないから聞いてるんじゃない‥‥」
「田上君諏訪に帰るって言った事があったの。18歳だったわ。
その時私、反対したのよ。 向いてる方角が違うんじゃないの、
一度はハリウッドに行かなくちゃって。私にも責任あるのよ」
「だとしても何だっていうの? 本人の責任よ」
「あかりはそうして冷たいの?」
「あたしは冷たい女です。 千晶は話をすりかえているわ。
それと千晶を好きだって事と別よ。
そんなわかり切ってる事をどうして私に聞くのよ。
渉君を受け入れる? 浩平さんと別れて?
それともせめて一晩限り渉君の思いを遂げさせてあげる? できる?」
「あかり!」
「千晶、あなた今旦那さんとうまく行ってないんじゃない?
その分、渉君に行ってるのよ、あたしは黙って見てる。好きにしなさい」
「あかり、あなたはいつか言ったわ。
傷つくことなんか怖くない、 傷つくことが怖くて人を愛せないって」
「だから? 誰の事思ってそう言ってるの? 浩平さん? 渉君?
今でもそう思ってるわ。でもね、私とあなたは違うの。違うのよ。
千晶はいつも周りのことを先に考える。私、あなたのそういう所大好きよ。
自分を一番大切にして。それでどうするか決めなさい。
いいわね?わかったわね? じゃ、今言ったこと繰り返してみて」
「自分を一番大事にする‥」
小森屋。千晶が帰宅すると、家の前で信太とみつが話をしている。
「あ、お嬢さん、お帰りなさい」「ただいま」
「や! 松本のしめじをもらったんでおすそ分けにね」
「お嬢さん、どちらへ?」 「ちょっと湖水館にね」
「本間のところか。
あいつ、殊勝に仲居さんなんかやって変われば変われるもんだな。
母は強し、か」
台所。
「みっちゃん、花山君と随分楽しそうだったわ。笑顔が眩しいくらい輝いてた。
羨ましかったわ。私にも少し分けてほしい位に。
ねえみっちゃん、花山君のこと好きなの?」
「いえ、とんでもないです! 信太さんは・・社長さんは・・・」
走って逃げてしまう。
都座・客席。あかりがくる。
渉と和則は肩を組んで楽しそうに映画を見ている。
和則を客席に残して、映写室裏の部屋に上がるあかりと渉。
「まだ拗ねてるの? 次の目標見つからない?」
「ほっといてくれって言っただろ」
「あたしはやっぱり映画しかないと思うわ。渉君から映画を取ったら何も残らない。
さっきだって和則とあんなに生き生きと見てたじゃない。
映画はハリウッドだけじゃないわ。 日本でも」
「東京へ行くなと言ったのはお前じゃないか」
「諏訪で映画館のオヤジをしながらお金を貯めて、映画をつくる、
プロデューサーになる…あなたの人生はそれやらなきゃ終われないのよ。
私で出来ることがあったら何でもやってあげるから」
「本間…」
「私じゃ駄目? 私を千晶だと思いなさいよ」
(つづく)
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