タリバン、米高官との接触認める カタールで先週
アフガニスタンの旧支配勢力タリバンの幹部は30日、米国務省の高官と先週、カタールの首都ドーハで会談したとBBCの取材で認めた。
タリバン幹部の一人は、アリス・ウェルズ国務次官補代理と直接会談したのは「非常に重要」なことだと語った。
米紙ニューヨーク・タイムズは今月、トランプ政権が国務省に対し、タリバンとの直接交渉する方策を探すよう指示したと報じている。
アフガニスタン政府と戦ってきたタリバンは長らく、米国のみが和平交渉の相手だと表明してきた。
アフガニスタン政府の同席なくタリバンと直接するのは、米国の政策の大きな転換を示している。米国は、同国にとって最も長期にわたる戦いとなっているアフガニスタン戦争の終結を目指している。
6月には、イスラム教の断食月(ラマダン)の終わりを祝う「イド・アル=フィトル」に伴い、前例のない3日間の停戦が双方によってほぼ順守された。その後は、西部バードギース州にある軍の検問所などで攻撃が起きている。
BBCのマハフズ・ズバイデ記者は、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが最初に報じたタリバンと米高官の接触について、タリバン幹部2人から確認を得た。幹部によると、ドーハにあるタリバンの政治活動の拠点を統括するアッバス・スタニクザイ氏が率いる6人の代表団が米側と会ったという。
米国務省は、ウェルズ国務次官補代理が先週、カタールに滞在し、アフガニスタンの和平プロセスについて政府関係者と協議したと認めたものの、タリバンとの会談については肯定も否定もしなかった。
タリバン幹部の一人は、タリバンと米高官との間にさらなる会談に向けた接触ルートを作ることについて、「予備的」協議を行ったと述べた。さらなる詳細については、幹部たちは明らかにしなかった。
別のタリバン幹部はロイター通信に対し、「近く再び会談し、対話を通じてアフガニスタンの紛争を解決することで合意した」と語った。
会談はさら2回行われたとの情報があるが、確認は取れていない。
ウェルズ国務次官補代理との会談でタリバンは、アフガニスタン政府関係者の同席させないよう強く求めたとされる。米国はこれまで、和平交渉にはアフガニスタン政府高官の参加が不可欠だと主張していた。
2001年9月11日の米同時多発テロ事件を受け米国は同年、アフガニスタンに侵攻。タリバンを政権から追いやり、17年続く戦争のきっかけを作った。
ドナルド・トランプ米大統領は昨年、米軍のアフガニスタン駐留継続を表明し、タリバンを交渉の席に着かせるよう圧力をかけるため空爆を激化させた。
2013年にも直接交渉の試みがあったが、タリバンがドーハで新たに設置した拠点で旗を掲げ、1990年代に政権を獲得したときに使っていた国名「アフガニスタン・イスラム首長国」を使用していることに、当時のハミド・カルザイ・アフガニスタン大統領が強く反発したことで、頓挫していた。
(英語記事 Taliban sources confirm Qatar meeting with senior US diplomat)