ナーベに釣られるように歩き出した蟲のメイド、髪を結いあげたメイド、ロングヘアのメイド。そしてこの場に残り、イビルアイと対峙したのはロールヘアのメイドと三つ編みのメイドだ。
「私の名前はベータって言うっす! そんでこっちはイプシロン。まぁ覚えてても意味ないと思うけどよろしくっす!」
「そうか。これはご丁寧にな。私の名前はイビルアイ。お前たちを倒す者だ!」
場違いなほどに明るく、おどけて挨拶をするメイドに一泡吹かせてやろうとイビルアイは初手から自分の切り札を発動させる。
「行くぞ!」
高らかに吠え、イビルアイは魔法を発動させた。
*
「くっ!」
イビルアイは負のエネルギーが込められた水晶の弾丸を撃ち込む。三つ編みのメイド――ベータを狙って放たれた弾丸は庇うように前に立ったイプシロンの体に突き刺さる。しかし、まるで体に飲み込まれるかのように弾丸が消えていき、無傷の肌が残される。
「やはり悪魔に使えているメイドがまともなわけがないな! だが、庇うという事はもう一人には効くということだ!」
別の攻撃魔法を発動させようと、ベータの姿を捉えようとした瞬間、何かが破裂するような音と共にイビルアイの体が空中に弾き飛ばされる。イプシロンの後ろに居たはずのベータが突然真横から現れ、手に持っていた巨大な武器で吹き飛ばされていた。
イビルアイは吹き飛ばされた勢いを利用し、<
「ベータ、気を付けて。彼女の魔法には何らかの方法による負の追加効果があるわ!」
「りょーかいっす!」
まったく通用していないわけではないようだが、物理ダメージが入ってないためまったく意に介さない様子のイプシロンと、転移魔法によるものか盗賊系の能力を持つモンスターだったのか未知の能力を使ったベータへの警戒心を最大限に引き上げる。
再度武器を振り上げたベータから距離を取ろうと<
ベータの武器が届かないほどの高さにいるはずと、焦る気持ちを抑えて視線を下に向ける。そこには人では有り得ざる程に腕が伸びたイプシロンの姿があった。その手にはナイフが握られており刃先は鮮血で染まっていた。
「なっ!」
イプシロンから距離を取り、異様に目を見開いていると、再び視界からベータが消えていることに気が付く。それと同時に一つの可能性に思い至り、魔法を発動させる。
「<
透明化を見破る魔法によって、イプシロンとは逆の方向から武器を振り上げ、イビルアイに飛びかかろうとしているベータの姿を捉える。攻撃を防ごうと防御魔法を発動させようとしたところで仮面越しに目が合う。次の瞬間ベータはまるで嘲るように手を上げ、再度姿を消した。
「なんだとっ!」
魔法の効果は続いている。それなのに透明化が見破れない。後ろにはイプシロンが近づいてきている。イビルアイは体勢を立て直すために元居た場所から高速で移動する。
「糞! モンスターがチームを組んだり、協調して来たり……間違っているだろううが!」
罵声を吐き出し、イプシロンが効果範囲内に入るのを確認すると、魔法を発動させる。
「<
砂が周囲に広がり、イプシロンを――ベータの姿は未だ無い――その身に収める。砂を相手にまとわりつかせて行動を阻害すると同時に、盲目化、沈黙化、意識を散らせるという副次効果も持つ広範囲魔法。そればかりか彼女の切り札によって負のエネルギーを付与された砂塵は生命のエネルギーを貪る。
「<
どこからかベータの声が響くと、次の瞬間砂の中からベータが姿を現す。
「褒めてやるぞ! 隙なく耐性への備えをしているな!」
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「くっ、化け物め! <
皮膚が溶けている左手を無視してベータの姿を探すも、まだ透明化を続けているのか捉えることはできない。イビルアイはさきの行動から予測を立て、イプシロンとは反対の方向に魔法を発動させる。
「<
散弾は何に当たることも無く突き進み、次の瞬間目の前に現れたベータの蹴りが目に入る。
「あまいっすよ!」
「<
眼前に作りだされた水晶壁とベータの蹴りが轟音を立ててぶつかり合う。水晶壁に罅が入り、<
アニメ2期。最後の駆け足感は否めませんでしたがエントマの戦闘シーンが素晴らしかったですね。でも2期から入った人確実にナザリック側が悪役ですよねこれ……
7月に3期も始まりますが、侵入者と大虐殺。どちらも好きな話なので今から凄く楽しみです。2クールで余裕を持ってやって欲しいですね。